みつばちの社会性と協力の謎
みつばちの群れを一つの生命と考えた場合、群れの各役割はどのように分担されているのでしょうか。これまでみつばちそのものについての話をしてきましたが、群れ単位で考えるとみつばちの巣そのものも生命の一端を担います。
働き蜂には腹部に8カ所にあるろう腺と呼ばれる蜜蝋を分泌する部位を持っています。分泌されるときは液状ですが、分泌された直後に固形化して蝋鱗と呼ばれる鱗状の蝋の塊になります。これを組み立てることで巣が形成されます。
巣は文字通りみつばちが群れとして住むための足場となります。巣の一つ一つの穴のことを巣房と呼びますが、この巣房には花粉や蜂蜜が蓄えられ、またみつばちが卵から蛹までの成長をする際の個室となります。ほ乳類でいうところの脂肪細胞が栄養を蓄える役割や、形を保つ骨格の役割、子供が成虫へと至るまで育てる子宮の役割などもあります。巣そのものにも生命としての役割が備わっていることが分かります。
女王蜂は卵を産み、雄蜂から受け取った精子を蓄えるので卵巣の役割があります。雄蜂は遺伝子を女王蜂に伝えるための役割を担っています。
また、働き蜂は巣の建設や修繕、巣房の清掃、花粉や蜂蜜の収集、巣の温度調節などの任務を持ちます。それぞれの働き蜂は年齢や体力に合わせて、異なる任務を担います。若い働き蜂は巣の建設や清掃などの肉体労働に従事し、中年の働き蜂は花粉や蜂蜜の収集を担当し、年配の働き蜂は巣の温度調節や巣房の修繕などの繊細な任務を担います。
さらに、みつばちの群れは集団での意思決定を行います。スカウトと呼ばれる一部の働き蜂が新たな巣の場所を探し、それを他の働き蜂に伝えます。そして、全員の合意に基づいて新しい巣への移動が決定されます。このように、みつばちの群れは集団としての知恵を活かし、生命活動を維持しています。
さらに、みつばちの群れは防衛の役割も果たします。外敵が巣に接近すると、働き蜂たちは巣を守るために集団で外敵に攻撃を仕掛けます。群れ全体での協力によって、巣を守るための防衛システムが機能しています。
以上のように、みつばちの群れはそれぞれの個体が異なる役割を担いながら、協力して生命活動を維持し、巣を形成し、繁殖を行うなど、生物としての機能を果たしています。みつばちの群れは単なる個体の集まりではなく、一つの生命体としての組織化された社会性を持っています。




