14、学校はリアルな世界
学校について、教室に入ると一瞬教室がザワついた。
顔見るとキモいしか言わなかった奴らが、無言で目で追う。
席に着くと、隣の吉川がそうっと聞いて来た。
「え? 君、四季島君? 」
ため息付いて、うつむき加減から流し目してみる。
昨日鏡で見てると、この顔が一番エロかった。
微笑んでみせると、吉川がいきなり真っ赤になった。
おお、効果てきめん。
だが、このくらいにしとこう。
僕にはザンジバルがいるし、他に男作る気は無い。
女の子は、そうだな、どうでもいいや。
どうせ僕はゲイだし。残念ながら、普通のエロ本ではオナニー出来なかった。
世の中みんなママみたいにパパりん一途ならいいのに。
でも、結局僕ら捨てられたけど。
今ママに会っても、なんとも思わないに一票。
いや、どうだろ。
やっぱ会えば泣いちゃうかな。僕は基本、ママを嫌いにはなってない。
「あの、四季島君? 随分、イメチェンしたのね。」
「そうだね。」
「四季島君、そんな顔だったんだ。」
「そっちがいいよ! ぜんぜんいいじゃん! 」
「そうだね。」
僕は、ニッコリ、そうだねで全部返事した。
面倒くさい。
今までキモいしか言わなかった口が、いきなり手の平返ししてきた。
マジ、ウザい。
「きりーつ、礼~ 」
思わず先生と目が合う。
ニッコリ、微笑みで返した。
「おっ! どこの美人かと思ったら四季島じゃないか!
見違えたぞ~
お前化粧しない方がいいぞ、そのほうがうんといい! なあみんな! 」
ザワザワして、ほんとキモい。
人間って、こんなに見た目で人の価値を変える。
先生~ お前、昨日までドブ 覗き込むような目してたじゃん。
変わりすぎだろ。
キモいキモい! 3学期、また塗って来よかな!
まあ、確かにメグミさんの言うことは的を射ている。
みんな綺麗は好きって事だ。
でもさ、おまえら僕のこと変態って、言ってたじゃん?
僕の言い分は何一つ聞いてくれないでさ。
おかげで僕は、教室でいつも孤立してたし。
まあ、いいよ、許してやるよ、そうだな…… 神様にでもなったつもりで言うと、
寛大な心であなたたちを許そう。うん
まあ、僕がさ、女の子だったら、きっとかわいいはずなんだ。
天使が僕の性別を間違えたんだよきっと。
だって、ママはいくつになってもギャルが似あってて、とっても可愛かったんだよ?
僕もママみたいに……
え?
あれ?
ああ、そっか。
僕は、ママを真似していたんだ。
僕のせいで出ていったママを真似て、パパりんが……
寂しくないように? え? え~~?
NO、 NO、 ウッソだあ〜
都合のいいように言ってんじゃないよ。僕ぅ〜
そう言うのが偽善って言うんだよ〜、そこまで僕があの親たちの事考えてるわけ無いじゃん。
いや、あれかな? パパりんの気を引こうとしてた感じ?
僕は自分の心の奥底もわからなくて、窓から空を眺めるとため息をつく。
青い空には、パパりんのパンツみたいな真っ白い雲がゆったりと流れて、人の気も知らずのんびりしてた。
終業式終わって体育館から教室に戻ってると、ドンと背を叩かれた。
「よ~、なんだよマリン、自分ばっか綺麗になっちゃってよ~
ギャルやめんの? 」
ギャルメイク仲間の、隣のクラスの吉原しい子、しいちゃんだ。
まあ、数少ない友達。あと2人、メイク仲間がいるけど、しいちゃんほど仲良くない。
しいちゃんは、いわゆるマブダチだ。
家にも遊びに来たことあるけど、帰ってきたパパりんが、しいちゃんの顔を見て一瞬呆然として笑った。
パンダが、なぜうちにいるんだろう?って思ったらしい。
バチバチのつけまつげで、最近どんどん化粧が濃くなってるんで、ほんとの顔忘れた。
「バーカ、メイク変えただけじゃん。
美容師さんに一番綺麗になるメイク教えてもらったのー 」
「マジかよ、専属美容師まで見つけたかよ!
俺も綺麗になりてぇ! どこ行けばいいんだろ。」
「僕が出会った人、遠いからなあ。」
「あー、手軽に相談出来る奴がええなあ。遠いと電車賃余計にかかるし。」
「わかった、今度会ったとき相談してみる。」
「おう! 頼むぜ相棒! じゃあな、LINE寄こせよ。
俺、塾の夏合宿行くから夏休み中は会えないけど、また新学期な。」
「ホントしいちゃんは、見た目とギャップがあるよなあ。
勉強の鬼だもん。」
「あたりめえよ、俺は京大行って、ノーベル賞取るんだ。
まあ見てな、ギャル馬鹿にした奴らに、ギャフンと死語言わせたるぜ。」
「頑張れよ~ 」
「いえ~い」
しいちゃんは凄いんだよなあ。
目的がしっかりしてる。
女子でも隠れた意識高い系だ。
まあ、なんでノーベル賞取るかは京大行って考えるらしいけど。
取れなくても、志がずば抜けてるじゃん。
ノーベル賞なんて、誰も目指さないもん。
僕は最大級でリスペクトするし、応援する。
世の中で一番、幸せになって欲しい女の子のトップだ。




