殲滅のマタドール:110話 闘争王
部屋へと戻った私はそこで最低最悪な光景を見る事となる。
室内にはアイツが居た。普段の淡々とした表情ではなく、愉快な見世物を見るかの様な悪意に満ちた笑みを浮かべて……。
ギュンターと戦争を止めるという理想を語らい、ギリアムさんの淹れたお茶で心を落ち着けていた私達の寝室が……その最低な男により、侵食される。
「ア、アンタ……」
「お二人のプライベートルームにお邪魔して申し訳ありませんね……しかしながら、私の正体についてしっかりとお話した方が良いと思いまして……」
「余裕たっぷりでムカつくわね、そんな風に自分から正体を明かしたダムザのボンクラボンボンも結局倒されちゃったっていうのに……」
「ああ、アーサー・ゴッドボルトですか……彼はなかなかに愉快な青年でしたね。死した大切な者の為にと抱いた想いがやがて大きくなりすぎて……そして、自ら破滅の道へと進んで行った……」
ベッドの縁に腰を降ろしながら語る彼は、まるで子供の様な笑みを浮かべていた。無機質な印象を受ける普段とのギャップで余計に、心底気色悪いと思えた。
椅子に腰を下ろし相手を睨み付けるギュンターと、その隣に立ち彼の肩にそっと手を置く私を見て最高に気色悪い笑い声を上げながらヴィクトルは手を叩き言い放つ。
「それでは役者が揃ったところで自己紹介といきましょう!まず、私はヴィクトル・ブラウンという名を借りた偽物です……本物のヴィクトル・ブラウンの名前と肉体をこうして借り受けているのです……」
「……は?……他人の名前と肉体を……借りる?……」
「ええ……それではネタバラシといきましょうか!実は私は人間ではないんですよ……ある目的の為にこうして人の体の中へと入り込んでいる存在なのです……」
「……アンタ、頭大丈夫?……そんな精霊じゃあるまいし、人間の中に入り込むなんて−−−」
徹底的に小馬鹿にしてやろうと思った私は……彼の向ける瞳を見て言葉を失った。
気色悪い笑みを向ける彼の片目が……異様な赤い光を発しながら大きく変質していた。まるで爬虫類の目の様に……人間味の
無い瞳をしていた……。
ま、まさか……コイツ……本当に……!?。
息を飲む私を見据えながら、彼は己の正体を明かした。
「爆炎竜サラマンダー……かつてこの世界に存在した最低最悪の竜、あまりにも凶暴過ぎる気性故に精霊界に追放された悪食の闘争王……」
「サ、サラマンダーだと!?……バカな……」
「何ならこの場で本当の姿を晒してもいいが、そうなれば城が崩れてしまう……まだ俺の目的にこの城は必要だ。壊すにはまだ早い……」
驚愕するギュンターの言葉を聞き愉快そうに笑うと、彼は恐らく本来の口調である傲慢かつ煮え滾るマグマの様な熱い何かを宿らせながら魘されたように語り出した。
「長かった……共食いの果てに残った俺があの狭い空間に囚われ、愚かな下等生物共の言いなりになるという屈辱的な時間から解放されるまで……とても長かった!。俺を解放してくれたのはあのネメシスとかいう女のおかげだ……奴は何かと便利な道具を色々と取り揃えていてな、他にもこういった物もある……」
そこで彼は懐から小さな短刀を取り出した。悪趣味極まりない豪華な装飾と鋭い剣先を輝かせるその短刀の中央には……不思議な物が埋められていた。濃い緑色のそれは、薄く輝きを発しながら表面に見た事もない記号の群れを映し出している。
「多次元干渉連結システムとかいう物らしい……原理は分からんが、どうやらこれを使えば俺はこの世界で何でも出来るようだ……」
「……そ、そんな物……あるわけないじゃない!……」
「ところがあるんだよ、この世界ではない何処かには……」
笑みを浮かべたまま彼が指を鳴らした瞬間、突如私の着ていたドレスが弾け飛んだ。
暫く呆然としていた私は、その信じられないような能力を目の当たりにして慌てて胸元を隠すとその最低な男の顔を睨み付けた。
「サ、サシャ!大丈夫か!?」
椅子から私を心配したギュンターが立ち上がろうとした瞬間、ベッドから降りた男が素早く剣を振るい……彼の首筋に短剣の刃先を食い込ませる。
「……っ……」
「慌てるな……本当にお前達が驚くのはこれからだぞ?」
ゆっくりと足を動かし、刃先を離した男はニタニタと笑みを浮かべながら私の方へと歩いて来る。
何をしたがっているか、私は理解して……そして、殺意に近い怒りを向けるギュンターを落ち着かせる様に静かに首を振る。
「さて、この力を使って俺が何をするのか……当ててみるがいい 」
「……トカゲの帝国でも作るつもり?ダムザの近くで似たようなのを見たわ、地べたを這いずり回って御主人様にせっせと餌を運ぶアンタにお似合いの兵隊達を……」
「ああ、奴等か……あれはあれで悪くない兵隊だが如何せん知能が低くてゲームの面白みが欠ける……」
「……だったら何が目的なのよ……」
「俺の目的……それは−−−」
そこで、後ろにたったクソトカゲはいきなり私の髪を掴み上げると……思い切り引き上げた。
「あ、うぅぅぅっ!……」
「俺の目的は闘争だ!血を流し、敵を殺し、そして何もかもを蹂躙する!……それこそ、俺の目的だ!」
「サ、サシャ!……」
この、クソトカゲっ!!……。
耳元にその不快な顔を寄せると、奴は私の胸を鷲掴みにした。吐き気がする……この最低なクソトカゲ!。
目の前で蹂躙されようとする私を見て、今まで見た事もない無い程の怒りをギュンターは浮かべていた。拳を硬く握り締め、普段は困ったようなやや頼りない笑みを浮かべていた顔に殺意を宿している。
だが、そんな殺気すらも楽しむかのように……このクソトカゲは蹂躙を続けた。
「いいぞ、お前の胸を通して怒りが伝わる……心臓の鼓動を早め、肌に汗を伝わせて……屈辱に顔を赤らめる……。実に美しいな、エルフ族の娘よ……」
「黙りなさい!……この、エロトカゲ!……」
「勇ましい性格だ……そんな心をへし折り、恐怖と憎悪を与える瞬間こそが人間の最も愛でるべき部分であると俺は考えている……」
「うるさいっ!!今すぐアンタなんて消し炭にして便器に放り込んで流してやるんだから!!この−−−」
その瞬間……鈍い音と同時に私の……胸に……何か……。
……あ……え、えっ?……なに、これ……?。う、腕?爪?……変なの……胸から……生えて……。
「サ、サシャァァッ!!……」
ギュンターの……声が、聞こえ……。
「さあ、狂って鳴け……女……」
「お"、あ"……あ"ぁあぁっ!?……」
……なにかが、引き抜かれて……からだ、たおれて……。
え、えっ?……わ、た……し……死ぬの?……。
ま、待って……まって……アヴィ……アヴィ……まだ、あの子に……。
……い……や……ぁぁ……しに……たく……な……。
−−−−−
「うぅうぅあああああああああ!!んゔぅぅぅぅうぅううあっ!!」
「し、しっかりしろ!サシャ、サシャ!?」
「あ、ぐっ、うゥゥゥゥゥっ!……あ、あぁぁあっ!……」
胸を押さえながら絶叫したサシャは錯乱状態のまま、落ち着かせようと手を伸ばしたギュンターの腕を振り払った。
裸のまま、涙と鼻水を垂れ流し失禁する彼女の脳裏には先程の悍ましい死の感触がこびり付いていた。心臓を貫かれ、音が遠のき、やがて体温が冷たくなっていく。
その恐ろしい体験は気丈だった彼女の心をへし折った。
「いやぁぁぁぁぁぁあああっ!!アヴィ、アヴィ、アヴィィィィッ!!たすけて、たすけて、すたけてよぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ハハハハハッ!夫の目の前で他の相手に縋る等とは、何とはしたない女だ……!」
心底愉快なのか、ヴィクトルは目尻に涙を浮かべるとその残虐な愉悦に打ち震え乾いた唇を舐める。足元から水溜まりを広げるサシャの体からゆっくりと手を離すと、奥歯が噛み砕けるのを感じながらギュンターは激昂し血と共にその殺意を向ける相手の名を叫んだ。
「ヴィィィクトルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」
あくまで彼女との結婚は協力関係を築く為の偽装ではあったものの、大切な同志にして理想を共有できる親友の心を傷付けた相手を彼は殴り殺すと決めた。その胸倉を掴み上げ、右拳を相手の頬に叩きつけようとした瞬間、悲痛な声が響いた。
「ダメぇぇぇぇッ!!……」
その声を聞き青年は動きを止める。ゆっくりと振り返ると、クシャクシャになった顔を向けるサシャが歯をガチガチと鳴らしながら必死に首を振っていた。
「……俺の授かったこの力は世界の理すらも変える。先ほど俺は腕のみを元の姿へと戻しその娘を確かに殺した。そして、再び修復した……」
「バ、バカな事を!……そんな……事が……」
「……お前も見た筈だ……巨大な爪で胸に大穴を空け、唇から血を吐きながら死んでいくこの娘の姿を……」
驚愕する彼の前で男は笑うと、その短刀を懐へとしまった。そして、新たな支配者となった世界の王は高らかに宣言する。
「俺はこの短剣、"ラグナロク"の力を以てこの世界を闘争へと叩き込む!目的など不要、終戦も不要!人類も魔物も平等に闘争を行い、生き残った者だけがこの全ての頂点へと君臨する王である俺に決闘を申し込む権利を得るのだ!その為に俺は世界のバランスすらも変えて来た!」
「……まさか、10年前の魔物の急増は……!」
「あのまま戦争状態が続けば人類間で勝手に絶滅を迎えそうだったからな……俺が駒の数を調整し、少しばかり早く争いを止めてやった。争いも起きぬまま勝手に滅んでしまっては元も子もないからな……」
まるでゲームの駒を調整するかの様に、男は魔物の数を増やして戦争を止めたのだと言う。自分へ向かって来るたった一人を待つ為だけに、魔物の襲撃により数えきれない程の人間を犠牲にして……苦しめた。
その最早デタラメとも思える行いに怒りを通り越し、ギュンターは絶句した。
「今夜の日付変更時間、それが貴様等のタイムリミットだ……」
彼の肩を叩くと、支配者の男は不敵に笑いながら部屋を去ろうとした。そして、扉を開けた所で振り返ると貼り付けたような笑みを浮かべ、言い放つ。
「ああ、そういえば……貴方の執事なんですがね……」
「ギ、ギリアム!?お前等、ギリアムをいったいどうした!?……」
「……こっそりと外部へ通信を試みていたので申し訳ないですが制裁を部下の手で加えさせて頂きました……。もう間もなく死ぬと思いますので連れてくるように指示を出しておいたんですよ……」
あまりにも冷酷に言い放たれた言葉を前に、目を見開いたまま……ギュンターは硬直した。
何かを引き摺るような音を立てながら、黒服を着た女が彼を連れて来た。顔面に真っ赤な返り血を浴びた女は緑の髪を揺らしながら部屋へ入ると、彼を乱雑に床へ放り投げた。
それは、普段着込んでいるタキシードをボロボロに引き裂かれ……全身を真っ赤に染めたギュンターの親友の姿だった。
「……ギリ……アム……?」
血塗れの唇からは、僅かにヒューヒューと息が漏れ……まだ僅かに息のある彼が必死に何かを伝えようとしているのが分かる。
へたり込んだギュンターは目を見開いたまま、動けないでいた。
「それでは最後の別れの時間を過ごすと良い……明け方に死ぬあなた方を含めてね……」
その部屋の扉が閉まった瞬間、人の姿を借りた闘争王は扉越しに聞こえる少女の悲鳴に唇を吊り上げた。
------
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!ギリアムさん!!ギリアムさん!!……」
「ギ、ギリアムッ!!しっかりしろ!!ギリアム!!」
……ひどい……こんなの、ひどすぎる……!。
あちこちを切り裂かれ、血塗れのギリアムさんは……いつも向けてくれる穏やかな笑みではなくて、その立派な白い髭を真っ赤に染めて……虚ろな目をしていた……。
そして、微かに息を漏らしながら……必死に何かを……。
「……ギュン……ター……」
「ギ、ギリアム!サシャ!治癒魔術を!……」
……ど、どうし……よう……どうすれば……いいの……?……。
わたし、どうしたら……。
「しっかりしてくれ!サシャ!早く治癒魔術を!」
「……え、ええっ!……」
ようやく我に返った私は、ルーンの刻まれた手を掲げると言った。
「イノセンス・ブルー!……」
傷は相当に深い!それなら、西部基地の戦いで死にかけていた皆を助けた最上級魔法を……!。
…………。
………。
え、えっ?……あ、あれ……。
なん、で……なんで……治癒魔術……出ないの?……。
「ど、どうした!?サシャ!?」
「や、やってる!!やってるけど!!……ルーンが……光らないの……」
「ど、どうなってる!?……」
こっちが聞きたいわよ!?……なんで、なんでこんな大事な時に……!。
それなら、もう少し下級の治癒魔術で……!。
「ウェーブ・レザレクション!……」
これなら、そんなに魔力は使わない!……これなら、これで……!。
………
……
なん、で……つかえない、の……?。
「どうしたんだサシャ!?君は上級治癒魔術も使える筈だろ!?ギリアムを助けてくれ!……」
「な、何でよ!?どうしてなのよ!?なんで治癒魔術が使えないのよ!?……」
まさ、か……まさか、まさか、まさか……。
あいつ、私を蘇らせる時に……私の……魔力……。
「サ、サシャ!?……」
「……ごめん、なさい……」
「サシャ?……」
「……あいつ、私の魔力を……封じたみたいなの……!」
「そ、そんな!……そんなぁぁぁぁぁっ!!」
頭の中が真っ白に染まるのを感じながら、私は下を向いた。
冷たい涙が、頬を伝っていくのを感じた。
「……ッ……ギュン……タァァ……」
「ギ、ギリアム!!しっかりしてくれ、ギリアム!!お前は幼い頃から俺を支えてくれて、民の為の国家の在り方を教えてくれたじゃないか!!……」
「……すま、ん……ギュン……タァァ……」
「嫌だ!!死ぬな、死なないでよ!!……先生ッ!!……」
激しく咳き込みながらも、彼は……震えた手を持ち上げると……最後の力を振り絞り、彼に何かを残した……。
指の先で、彼の手の甲を……三度叩く。
そして、その行動を終えると穏やかな笑みを浮かべ……彼の手は、小さな音と共に……床へと落ちた。
……ギリアムさんが……死んだ……。
「……ふ、ふふ……あは、あはは……あははははははははははははははっ!!」
終わりだ……もう、何もかも終わり……。
最初からもう、私達……あんな奴に勝てなかったんだ。
余計な抵抗なんてしたから……大人しくしてれば、ギリアムさんも……助かったかもしれないのに……。
「……終わりね……私達……」
「……黙れ……」
「……無理だったのよ……最初から……」
「……黙れと言ったぞ……」
「もういい加減に諦めさせてよ!!もう、嫌よ……こんなの……こんなぁぁぁっ!!……」
心が折れきった私は……とうとう泣き叫んだ……。
もう、ダメだ……あんなバケモ相手に……何をしろっていうのよ……。
おしまい、なにもかも……おしまい……。
涙を零しながら俯く私へ静かに歩み寄ると……彼は突然、私の頬を叩いた。
ボンヤリと赤くなった頬を上げ彼を見ていると、瞳に涙を浮かべたギュンターは……絶望に押し潰されそうになりながらも、まだ諦めてはいなかった。
「先生の最後の望みを無駄にする気か!?」
「……ギュンター……」
「先生は……最後に俺達に希望を、託してくれた!……君達が戦争の危機を回避してくれた後に、彼はいざという時の為の非常通信網を作り上げてくれていた!非常に短く、単純な通信石を通した……秘密の救難信号だ!……」
「……きゅうなん……しんごう……?」
そこで私は、死ぬ間際にギリアムさんが取った行動の真意を察した。指を3回叩く、それは彼の使用した通信石を通して何者かに非常事態を知らせたのだ。
でも……でも……。
「……だれ、に……助けを……」
「……一人は、西部国境警備基地司令官……ヨハン・ガーランド……!」
「……ヨハン……」
クリスティーヌを倒してから……彼は西武方面の司令官となりあの基地を継いだ。少し前にも、巨大な怪物を相手に……部下と連携して打ち破った心強い友人……。
「もう一人は……親書をお前達に託してくれた、あのオリバー・クロムウェルだ!……」
「……オリバー……さん……」
ダムザの……大統領……。あんな人にまで、連絡網を作っていたなんて……。少しおちゃらけた変なおじさんだけど、元々医者だった事もありその心に苦しむ人を救うという熱い信念を秘めた頼れる大人……。
二人が……私達の為に……動こうとしてくれている。
腫れた頬に手を添えると、ギュンターは真っ赤になった目で私を見据えて……既に絶望を振り切った力強い言葉を掛けた。
「君達の作った友人達は予想通り……皆、熱い想いに燃える信念を持った人ばかりだ……」
「……っ……みんな……私達の、ために……!」
「……自信を持て、サシャ……皆を信じろ!……ヨハンやオリバー大統領……アヴィ、そしてレティシアを信じろ!」
「……う、うっ……うぅぅぅぅああああああああああああああああああああああっ!!」
私は大声で泣きながら、彼の腕の中へと飛び込んだ……。
そうだ、みんな……皆が!……私達を救おうと動き出してる!……。
私達の旅の……齎した結果が……世界の危機を、救う力に……なってる!!。
私は絶対に……負けるわけにはいかない!!
大きく息を吐くと、涙を拭い……彼に微笑み掛ける。
「……ごめんなさい、ギュンター……もう平気よ……」
「……それでこそ、私の同志で……親友だ!」
肩に手を置くと、既に失意から立ち直りつつある彼は優しく微笑みかけてくれた。
そして目線を外すと、困った風な表情を浮かべて言った。
「……あ、あの……申し訳ないんだが……」
「……気にしないで、ギュンター……立ち直れたのは貴方のおかげよ……」
「ま、まぁ……それもあるんだが……その……」
そこでチラチラと視線を動かす彼の目線に合わせて視界を下げた私は……自分が裸だった事に気付いて思わず声を上げた。
「バ、バカッ!!あっち向いてて!!」
「わ、分かった!……俺は此処に居るからシャワールームで着替えてくるといい……」
大きく息を吐いた私は、立ち上がると両手の頬を叩いた。
……また、犠牲を生んでしまった。ギリアムさんは暖かく私達を見守り、そしてサポートしてくれた頼もしい人だった。王族の振る舞いに慣れない私に色々と教えてくれて、彼のおかげで私はここまでやって来れた……。
なら、そんな彼を……私の大切な人を奪った奴をどうするか……。決まってる!……そんなのは、決まってる!。
「……あのエロトカゲ……鼻っ柱を叩き折ってやる……!」




