第21話 魔王討ち取る
「しかしよお、様子を見に行って先に仕掛けるとは何事だ!それでまた勝っちまうってどういうことだよ。どんだけめちゃくちゃに強いんだ。こいつは!」
「そう言わないでください。ギルドマスター。きっとお仲間がやられるのを見ていられなかったんですよ」
「おかげで生き残りの連中はほぼ助かったんだかな。まったく無茶にもほどがあるぜ」
「はあ、すみませんね」
「イチゴ姉、プラム全然動かないよ」
「仕方ないわよ。マスターを全力で補助したんだからエネルギーが切れるのも無理ないわ」
「そうそうマスターが起きればすぐ復活するわよ」
「でもマスターはエミリー様が言った通りの方で私たちが全力でお仕えするに値するお方だわ」
「そうね」
「うーん。よく寝た。あれイチゴの膝枕だったのか。どおりで気持ちがいいと思った」
「あ、プラムも起きましたよ。よかったよかった」
どうやら俺は疲れて寝てたようだな。それにしてもみんなで俺を取り囲んで守ってくれていたのか。ありがたいことだ。
無茶はしたけどケガ人もだいぶ助かったようだしまあ良しとするか。
俺たちはこの後、町の片付けや戦の後処理をしていた。2、3日かかってしまったがやっと戻れることになった。
「さあて久しぶりにエミリーのとこに帰るか」
「そうですね私も奥様の顔が見たいです」
「体がガタガタなので見てもらいたいです」
「そうね。プラムが一番ひどいわね」
「おいゼン!ちょっと話がある。来てくれ」
なんだギルドマスターは?また俺になんかさせようってのか?
「実は各町の制圧はほぼ終了した。だが魔王軍の第2陣がこの西の平原で集結中だそうだ。数およそ1万」
「1万!?そんな大群どうやって迎え撃つんだ?」
「こちらもあちこちの町から軍を出して対抗するしかあるまい」
何だかとっても嫌な予感がするな。まさか魔王倒して来いなんて言うんじゃないだろうな。
「実はなお前の強さを見込んで魔王倒してきてもらいたいのだ」
「ふざけんなー!馬鹿ギルドマスター そんな1万人もいる中に突っ込んで行って相手の大将をやっつけて来いって言うのか?」
「いや多分な、敵も大将だから一番後ろの方にいるんだろ?裏から回ればそんなに多くはいないだろう。なんとかなるんじゃないか?表の方の1万にはこちらも人数を揃えて睨み合い持ち込むから、その間になんとかしてくれ」
まあわからんでもないがこないだいたあの5メートルよりも大きいんだろう?さらに強いんだろう?まあ断ってもどうせアシュラ神から命令が来るかもしれんしな。一応引け引き受けるしかないか。
「分かったが一度町へ帰らせてくれ。そこで補給をしてすぐこちらへ追いつく」
「分かった。いいだろう。俺たちはこここのまま立って西の平原へ移動する早く追いついてこいよ」
「分かった。特別手当を期待してるぞ」
俺たちは飛んでエミリーの所に帰ることになった。まあ1時間もあれは着くだろう。
しかしいくら不意打ちをかけると言ったって周りには護衛もいるだろうし、 こっちはイチゴたちを全部連れて行ってもオレを入れて8人だ。何か手はないものか。
「そういうわけで敵の大将を打つことになったんだけど、ちょっと勝算が薄いんだよね」
「あんたねー勝算がないなら受けなきゃいいでしょ。まったくもう」
「しょうがないだろ。誰も受けなきゃ ここに1万の軍勢が攻めてくるんだぜ。どのみち全滅だ」
「うーん」
「一対一ならどんな奴が相手でも、おいそれとは負けんのだがなあ」
「一対一なら勝てるの?」
「まあ何とかなるだろう」
「それなら手がないこともないわよ」
3時間ほどイチゴたちの整備をして俺たちは西の平原へ向かった。なるほど確かに1万はいそうだな。すごい数だ。
時々大きいのがぽつんぽつんと見える。あれが敵の大将達だろう。一番後ろの巨大なやつ、あれが魔王というわけか。例によって空にはコウモリがたくさん飛んでいるし厄介な相手だ。
それに対して人族の軍は8000。よくこれだけ集めたものだ。まあこれでも普通にやったら瞬殺で負けるだろうがな。
こちらは山に布陣しているので相手を見下ろす形になっている。色々障害物もあるのでかなり持ちこたえられると思う。さてどうやって後ろへ回り込むか。
うーん面倒くさいが低空を飛行して 迂回して行くしかないな。お、味方の援護射撃が始まったようだ。コウモリたちが人族の軍の方へ行く。
「よしみんな、なるべく低く迂回して敵の軍の裏側へ出るぞ」
「「「分かりましたマスター」」」
10分後に俺たちは敵の本陣の後ろまで来ていた。茂みの中から敵本陣を見ると大きい直立の象が部下たちに囲まれていた。それでも部下たちは100体程度はいるだろう。
俺は彼女たちに透明化の魔法をかける。最後に自分自身にもかける。魔法と言ってもエミリーにスクロールに書いてもらったものだ。
「よし、みんな手はず通りにな」
「「「はいマスター」」」
このあとは彼女達5人がバリアーの魔法を魔王の周りにかける手筈になっている。この魔法は俺が使えるのでイチゴたちも何とかなる。
これで四方と天井を覆い隠せば誰も入ってこられない。しかも術者も見えないので攻撃のしようもあるまい。残った俺たち4人で魔王倒すことになっている。
「「「バリアー」」」
「むう?何だ? どうやらネズミが舞い込んだらしいパオ」
よしバリアーが張られた。100メートルほどに広がる。魔王の部下も何人か バリアーの中に入ってしまったが仕方がない。一緒に倒してしまおう。
「エクスプロージョン!エクスプロージョン!エクスプロージョン!」
これで10人ほど入った部下たちは全部片付けた。後は魔王一人だ。
「小賢しい奴めこのような魔法でわしが倒せるかパオ」
「この野郎!アースジャベリン!アースジャベリン!アースジャベリン!」
「ふん!こんなもの」
「ウインドカッタートルネード!ウインドカッタートルネード!」
くそう、効かないか!こいつには本当に魔法が全然効かないのだろうか。いや何か弱点はあるはずだ。
イチゴ達も各々の武器で攻撃する。3人とも誠に見事な攻撃だだがほとんど効いていない。
「ファイヤーストームトルネード!ファイヤーストームトルネード!」
ん?効いてるのか?ああそうか。こいつは皮膚が異常に硬いのだな。だからどんな魔法も効かないように見えるが 炎で炙ってやったら蒸し焼きになるかな?
「ファイヤー!ファイヤー!ファイヤー!ファイヤーーー!」
「ぐおおおおおお、熱い熱い熱いー!」
やつの目に槍を突き立てる!
「喰らえ!ライトニングトルネード!ライトニングトルネード!ライトニングトルネード!」
「ぐぁああああああ!ふん!」
ブオー!すごい風だ。俺は吹っ飛ばされてバリアーにぶち当たる。
「おのれ!この象野郎!いててててて」
「ぐおおお、そこかパオーン」
やつの巨大な剣が飛んでくる。右足をかすめた。血が流れる。
「うぐ!ファイヤーストームトルネード!ファイヤーストームトルネード!ファイヤーストームトルネード!」
「ぎやーああああああああ!」
ドズーン!やっと倒れたか。とどめだ!やつの目から槍を突き立て脳を焼く!
「ファイヤーストームトルネード!ファイヤーストームトルネード!ファイヤーストームトルネード!はあはあはあはあ、よし!」
「おめでとうございます!マスター」
「やりましたねマスター」
「うん、印にこの立派な牙をもらって行こう」
二本の巨大なキバを折り取りストレージにしまい撤退の準備をする。
「みんなバリアーを解いたら撤退するぞ!」
「「「分かりましたマスター!」」」
「魔王様!魔王様がやられた!」
「相手はどこだ!」
魔王軍の本陣は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。しかし俺たちは冷静に撤退を開始する。
来た時と同じように低空を飛んで迂回をして人族の本陣へ向かった。
「ここまでくれば大丈夫だろう。ちょっと待ってくれイチゴ!足の治療をする」
「大丈夫ですかマスター?」
「エクストラヒール!これでよし」
人族の本陣に俺たちは全員戻ってこれた。




