セイギノミカタ-4
アリスが目を開けて最初に見たものは、 知らない天井だった。
「ここは……?」
身体を起こして辺りを見渡すが、 やはり覚えのない場所だった。
「おや、 起きましたかな?」
突然の声に、 アリスは驚いて身体をビクリとさせた。
「驚かせてしまいましたかな?」
声がした方を向くと、 話しかけてきたであろうと男が扉を開けてこちらの様子をうかがっていた。
男の手には二つの湯気が昇るカップが乗ったお盆がある。
アリスは慌てて立ち上がろうとするが、 男がやんわりとそれを制した。
「まだ身体の疲れが取れていないはずです。 そのままで結構ですよ」
そう言って男は近くにある机にお盆を置くと、 片方のカップをアリスに差し出した。
「熱いので注意してください」
「あ、 ありがとうございます」
アリスは両手でそれを受け取る。
そして何度か冷ますために息を吹きかけ、 口をつけた。
香ばしいコーヒーだった。
「おいしい……」
アリスがつぶやくようにつぶやくと、 男はニコリと笑う。
「それは良かった」
そういうと男も残りのカップを手に取り、 口をつけた。
男とアリスの間にしばらく無言の空間が流れる。
アリスはコーヒーを飲みながら、 男を観察した。
男は白いワイシャツを着て、 黒いスーツのズボンを履いている。
そしてワイシャツの上に白衣を着ていた。
体型は痩せ型。
髪はボサボサで、 黒縁のメガネをかけている。
そして、 その雰囲気はいかにも『ドクター』といった感じである。
その男はコーヒーを飲み終わったのか、 男はカップをお盆の上に置いた。
アリスも丁度コーヒーを飲み終わり、 カラのコップを男に渡す。
「ありがとうございます、 ごちそうさまです」
「はい、 お粗末さまです」
アリスのコップをお盆に置きながら、 男は微笑む。
「さて、 アリスさんでしたかな?」
「はい、 アリス・アキヤマと申します」
「アキヤマ……ではダイゴロウ・アキヤマさんの」
「はい、 娘です」
「それはそれは。 あ、 申し遅れました。 私は……そうですねぇ、 アドミンとでも呼んでください」
「アドミン……管理者ですか?何かの管理をされているのですか?」
「いやいや、 そんな大層なもんじゃないんだけどね。自分が管理してた物で犯罪に巻き込まれてね、 本名が名乗れないんですよ。申し訳ない」
「いえいえ、 そんな」
「いや、 自業自得といえば自業自得ですから。それで私はネーミングセンスがないものでね。昔管理人と呼ばれてたのでアドミンでいいかと。まぁサルくんとかからはおっさんだの何だの呼ばれてるので、 ご自由にお呼びください」
「ではアドミンさんで」
「はい、 解りました」
そしてまた、 二人の間にしばらく無言の空間が流れた。




