表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/61

パート29

 幸と出会ってから、一週間が経った。

 始めは(主に周りが)騒がしかったけれど、それもあっという間に慣れたのか、俺と幸との生活はもうかなり前から一緒に住んでいたかのように、定着していった。

 とはいっても、かなり大変ではある。

 俺が学校に行っている間は高橋さんに見て貰ってるけど、それ以外は全部俺が幸のサポートをしないといけない。まあ両腕が動かせないから当然なんだけどさ。

 食事をさせるのも、トイレに行かせるのも、風呂に入れて体を洗ってあげるのも、服を着替えさせるのも。ほかにもいろいろ、全て俺がやらないといけない。

 でも真里菜や洋介、あと高橋さんにも手伝ってもらってるからあまり苦にはならない。むしろ今までよりも楽しい毎日だ。

 まあ、俺の不幸体質は相変わらずだけど、今のこの幸せに勝るほどじゃない。幸にも、俺と同じように感じていると思う。感じていて欲しい。

 そう思って張り切ってしまったのがいけなかったのか。

 はたまた、俺が勝手な思い込みをしていたのがいけなかったのか。

 そして俺は、昔よく口癖のように言っていたあの言葉を思い出してしまった。

『幸せは裏切る。不幸は裏切ってくれない』


「なあなあ、明日辺りに幸ちゃん連れて公園に行かねえか?」

「……は?」

 昼休み。いつもの三人で弁当を食べていたら、洋介が突然そう言ってきた。

「なんで公園なのよ? どうせなら遊園地とか……」

「いや、前に三人で行った遊園地覚えてねえのかよ、お前。あのあまりにも悲惨だったあの思い出を!」

「……あー」

 そういや春休み辺りに三人で近くの遊園地に行ったんだけど、ジェットコースターで三人で並んでいたのに何故か真里菜と洋介だけが先に乗って、満員だからと俺だけ一人で次のに乗ったり。お化け屋敷でもセットが俺の上に壊れて落ちてきたり。メリーゴーランドで馬から落ちたり。

 とにかく、いろいろと不幸な事が起きてあんまり満足に楽しめなかった。

 ……ダメだ。思い出しただけで泣きそうになってきた。

「それに、幸ちゃんだって商店街のおばさん達ならともかく、あんな人の多い所はまだ無理だろ?」

「まあ、な。確かに最近は外に出させてないと思うから、ちょうどいい機会かもしれないな」

「それなら私ももちろん行くわよ。他にも誰か誘う?」

「そりゃ決まってるだろ。最近田中との関係が発覚した斎京先輩を、連れてくるんだ!」

「いや、関係も何もただ一緒に買い物するぐらいで……」

「その時点で羨ましいんだよこのやろおおおおおおおっ!」

「うるっさい」

 騒ぎ出した洋介の腹を真里菜が思いっきりボディーブローした。あーあー、こんな所で吐くんじゃねえぞ。

「で、俺と幸も別に構わないけど、菊恵先輩にも予定があるだろうしな……。一応今日聞いてみるよ。もしかしたら京香も来るかもしれん」

「京香ちゃんも? そういえば最近会ってないから、ちょっと久しぶりかも」

「京香、ちゃんだと……?」

 あ、そういえば洋介は京香と会ってないのか。だとしたら先に紹介ぐらいはした方がいいか。

「ま、まさかお前の恋人か!?」

「違う! 京香は俺の妹でだな」

「妹だと!?」

「まあ妹と言っても、親が勝手に施設から引き取ったから義理なんだが」

「しかも義理っ! こ、この裏切りがああああああああ!?」

「あんたはいい加減に黙りなさい!」

 洋介の最後の叫びは、真里菜のアイアンクローによって見事撃沈された。

 相変わらずの威力だなー。前に喰らった時、頭蓋骨にひびが入るかと思うほどだからな……。

 洋介が痛みで頭を押さえている間に、俺と真里菜はさっさと昼飯を済ませ、明日の予定を決める事にした。

「なあ、これで公園が使えないなんてオチは無いよな?」

「安心しろ、ちゃんと確認済みだ」

 ならいいけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ