パート12
翌朝。
俺が登校する時間になっても幸は起きなかったから、昨日頼んだ通り香里さんに任せて、俺は学校に行く事にした。
教室に着くと、そこにはすでにたくさんのクラスメイトが来ていた。その中には俺の親友、佐竹洋介の姿もあった。
「おはー洋介」
「ん? お、幸一か。おはー」
洋介とは高校に入った時からの付き合いだ。ちなみに俺の不幸っぷりも、こいつは知っている。
「なんか今日もやつれてるな。また不幸な事でも会ったのか?」
「まあな……」
……うん。今日もここに来るまでにいろいろな不幸が訪れましたよ。
アパートを出れば石につまずいて転ぶわ、急に横から小学生が出てきて頭突きされるわ、猫のしっぽを踏んであちこち引っかかれるわ、散歩中の犬に吠えられて追いかけられるわ……。
しかも学校に着いても、教室に着くまでの道のりも遠く感じた。
階段を踏み外して頭を強打するわ、しかも俺の前にいた女子にスカートの中見てると勘違いされて殴られるわ……。
というか、今日はやけに不幸が折り重なってないか?
「そんな事より、ちょっと聞いていいか?」
「俺にとってはちょっとどころの話じゃないんだが……。一体何なんだよ?」
「何故、お前の体から美少女の匂いがするんだ?」
「どんな匂いだよ!?」
けれどいきなりの図星を言い当てられたびっくりした。こいつにばれると後がめんどいから、ここはなんとか誤魔化すしか……。
「しかもこれは……かなりの美少女だな。黒髪でそれも足元にまで伸びているのか、そして身長は約145センチでスリーサイズは……」
「待て待て! お前はどこまで勘が良いんだ!?」
「え、今のは俺の理想幼女だが? が、お前がそう言ったという事は、図星だったのか」
「しまったーっ!」
って、理想幼女ってなんだよ……。
「ふっふっふ。俺に美少女関連で隠そうなど、百年早いのだよ」
そう、佐竹洋介。こいつはれっきとした美少女好きのオタクだ。
家が金持ちのお坊ちゃんなんだけど、別に性格は上から目線、というわけでない。むしろ友好的な性格をしている。
ただ、趣味がな……。
美少女キャラクターのフィギュアやグッズ、さらには抱き枕まで買うほどのオタクっぷり。
さらにそれを隠す事なく、周りに打ち明けているのがなおすごい。
クラスでの自己紹介の時も、
『どうも! 俺の名前は佐竹洋介です! 無類の美少女好きでオタクですが、これから一年間よろしくお願いします!』
って、大声で言った。
「休み明けなのに、相変わらずだよな……」
「甘いなお前は。俺の五感は全てそっちの方に直結し、すぐに感じ取れるのだ」
「どこかの副会長よりも、なおすごいな……」
そしてネタが分かってしまう俺も、洋介に染まったのかなーって思ってしまう。




