レヴィンのデートミッション お嬢様セレナ
王様はレヴィンを見てはあっとため息をついた。
レヴィン「なんすか...そのため息...俺何かしました?」
王様「なんでお主なんじゃ...他に真面目な聖騎士おると言うのに...」
レヴィン「俺は真面目ですよ!!!超固いっす!!」
ワハハと笑いが出る聖騎士達。
王様「実はのう...お主に会いたいという子がおってのう...」
その言葉にレヴィンより周りの聖騎士たちがにゅっと身を乗り出す!
聖騎士A「え、ちょっと待って!その“気に入った”ってどんな感じですか!?」
聖騎士B「どんな子か早く教えて下さいよ!王様!」
レヴィンはポカンとしてる間に他の聖騎士たちがわらわらと食いついて来る!!
レヴィンは頭を抱える。
「もう…なんで俺が聞く前からみんな盛り上がるんすか…!」
王様「気立ての良いとても良いところのお嬢様じゃ...よりによってこやつを気にいってしまったらしくてのう...」
レヴィン「よりによってって...」
王様「セレナ…ここから南に位置するカルデラ王国のお嬢様じゃ。」
聖騎士たち、一斉に目を輝かせる。
聖騎士たち「セ、セレナ様!?」「うおおー!」「やばい、あの子だ!!」
レヴィン「お、お嬢様…!? な、なんでそんな人が俺を…?」
王様「この前アルデラ王国に来た時、お主を見かけたらしくてのう…金髪で、目がサファイヤみたいに綺麗な色をしている、爽やかそうな方って…誰じゃそれは…本当にお主か?」
アーサー「…うむ!! 大体は一致していますね!!!」
だが、誰もアーサーの意見には共感しなかった。
レヴィン「えっ…マジですか…!? 俺、そんなに爽やかそうに見えてたんすか…」
王様「うむ、見た目もさることながら、お主の立ち居振る舞いも気に入ったらしい…わしには全くわからんがなあ…」
レヴィン「立ち居振る舞い…!? 立つ姿ですか…!?」
聖騎士様「ほほう…なら会わせてみる価値はあるな…ふふっ」
レヴィン「うわっ、なんか楽しんでません…?」
王様「お主、まずは軽く挨拶して、デートのような形で話をしてくるとよい…」
レヴィン「デ、デート!?え、俺がああ!?い…いや、いやいやいや…!」
聖騎士たち「レヴィンじゃ無理だろ」「ああ、無理だな」
レヴィン「ひっでえ!?」
レヴィン「え…でも俺、顔隠してるのに…あんな格好でデート行くんすか…」
王様「そこは閉ざされた都市国家じゃ…あまりお主の噂も流れておらん。暗黒騎士位は知っているようじゃがお前だとは知られておらんよ」
レヴィン「え…よっしゃーーー!!顔出して街歩けるーーー!!」
王様「うむ、だがくれぐれも礼儀をわきまえるのじゃぞ」
レヴィン「礼儀…!? あ、ああ!任せといてください、俺、紳士ですよ紳士!!」
王様「これはミッションじゃ…絶対不躾な行動は避けるんじゃ。お主は顔だけはいい!ボロが出んようにするんじゃ!!」
レヴィン(この前もハリスに「ボロが出ないように」とか言われたなあ…ボロってなんなんだよ…)
王様「…ともかく、明日カルデラ王国に向かうのじゃ」
レヴィンの“恋愛ミッション”、ついに始動…!
聖騎士たちは、笑いをこらえながらもワクワクした目で見守る。
聖騎士A「いやー、レヴィン、恋愛ミッション、始まったな!」
聖騎士B「顔だけって言われたから、逆に全力でボロ出すんじゃね?」
王様はにやりと笑い、レヴィンの背中を押す。
王様「お主の真面目さと紳士っぷり…アルデラ王国の品位が試されるからな!しっかりとリードするんじゃぞ!」
レヴィン(圧、すっげ…)
嫌な予感しかしないレヴィンだった。
ー鏡の前で全身をチェックする。
コートのシルエット、セーターの色合い、パンツのシンプルさ…うん、悪くない。
レヴィン「よし…これでデートっぽく見える…はず!」
満足したのか、レヴィンはそのまま布団へダイブ。
レヴィン「よーし、寝よ寝よ!」
プランを考える間もなく、爆睡するレヴィンだった。
朝早く、カルデラ王国に向かうレヴィン。
「ふあああー…ねみー…」
馬車に揺られ、のんびり景色を眺める。
1人乗りの馬車だから、顔を出しても誰も気にしないし…
すううーーーーー
はあー!!空気がいっぱい吸える感じがする!!!
1時間ほど揺られると、カルデラ王国に到着する。
そういやこの前仕事で来たなあ…今度はここで顔を出して、普通に食事とかもできるのか…。
馬車が街の門をくぐると、人々の生活音や活気が流れ込んでくる。
レヴィンは思わず目を細め、深呼吸する。
馬車を降り、馬の顔を撫でると、馬は顔を擦り寄せてくる。
しばらく撫でてあげるレヴィン。
レヴィン「ははっ、人懐っこいなー、お前ー。綺麗な馬だなー」
馬とじゃれ合い、もたれ掛かるレン。
レヴィン「えーと…時計塔の下に待ち合わせだったよな…」
通信機を見て時間をチェック。まだ少し余裕がある。
そういやアディオが「待ち合わせには10分早く行く」って言ってたな…待ちすぎても遅すぎてもギリギリでもダメらしい。
じゃあ、もう行くか…
レヴィン「帰りも頼むな…」
馬の顔をもう少し撫でると、ヒヒーンっと鼻を鳴らす。
街の石畳を歩きながら、時計塔へ向かう。
周囲の人々の声や子どもたちの笑い声、香ばしいパンの匂い…日常の風景が心地よく、胸が少し弾む。
そのまま匂いにつられ、パン屋に入って焼きたてのパンをごっそり購入。
時計塔の下で少し腰を下ろすと、通り沿いのパン屋で買ったパンをそっと取り出す。
周りに人がいようとお構いなしで、大きな口を開けて頬張るレヴィン。
んまっ!!!
思わず声が漏れる。馬車の中でもパンを食べたが、この焼きたてパンもんまい!!
チラチラ、通行人がレヴィンを見ている。
「美味しそう…」
「どこで買ったんですか?」
「あそこのパン屋さんです!!!すっげー美味いですよ、今なら焼きたて食えますよ!」
レヴィンに言われ、何人かはパン屋に向かっていく。
周りの人たちは、レヴィンの豪快な食べっぷりと嬉しそうな表情につられ、自然と笑顔になってしまう。
「ふふ…なんだか楽しそうに食べてますね」
声をかけてきた人に、レヴィンは口いっぱいのまま手を振る。
「マジで美味いっすよ!」
通りは自然と和やかな雰囲気に包まれる。
買って戻ってきた人たちと一緒に頬張ると、初対面なのにいつの間にか話が弾み、笑い声で包まれていた。
そこへ、ハーフアップに編み込みをした綺麗なワンピースの女性がキョロキョロと辺りを見回していた。
レヴィンは気付かず、両隣の人と大盛り上がり。
しかしまだパンに夢中で、周囲の人々と笑いながら頬張っている。
セレナ「あの…もしかして…レヴィン様…ですか」
女性に声をかけられ、数人がそちらを見やる。
「ふあっ!?!」
口いっぱいに頬張っていたレヴィンは、待ち合わせをしていたことをすっかり忘れていたが、口の中はパンで大渋滞だった。
「セレナです…」
おずおずと名前を紹介してくれたセレナは、お嬢様らしい品の良さが全開の女性だった。
柔らかく澄んだ声、落ち着いた佇まい、そしてハーフアップに編み込みを綺麗なワンピース…
一方、レヴィンはまだ口の中が大渋滞で、何も返せない。




