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絆の煌めき

異能者は体の自由を奪われ、ぐちゃぐちゃに縄で締め上げられていた…


レヴィン「……なんか、習った時と違うな…」

腕を組んで首をかしげる暗黒騎士。

「王様に何回も教わったんだけどな…」


ハリス「これじゃあ、城に着く前に死んじゃうよ!!」

慌てた様子で、器用に縄をほどき始める。

レヴィンの不器用な力仕事を見て、思わず手を出す羽目になったのだ。


異能者「ぐ、ぐえっ…!?」

まだ締め上げられた縄の中で身悶えるも、ハリスの手際の前に抵抗する余地はなかった。


山賊やフェルナンドと付き人も、ぐちゃぐちゃに絡まった縄を解くのを手伝う。


付き人「よくもまあ、こうぐちゃぐちゃになれますね…」

フェルナンド「もう不器用を通り越してますね…」


ハリス「ただ乱暴なだけです」

レヴィン「ひでえ!?」


手を出すなっとハリスに怒られ、渋々座ってドラゴンを撫でるレヴィン。


レヴィン「ちぇ…ハリスのやつ、あんな怒んなくても…」


「あの……」

そこに、山賊たちが列をなして現れた。


山賊「あの…サイン、ください」


レヴィン「……」

腰をかがめ、背中にペンを走らせると――


“暗黒騎士”

豪快な筆致で、文字は力強く跳ね、まるで剣のように自己主張している。


山賊たちはお互いの背中を見つめ、目を輝かせて大騒ぎ。


山賊たち「うおおっ、暗黒騎士だー!! 豪快すぎる!!!」

「すごい、背中に直筆だ!」


レヴィン「……なんか、変な方向に人気があるな…暗黒騎士…」


ドラゴンはきゅうきゅうと甘え鳴き、レヴィンに構ってもらえて満足げだ。



レヴィン「じゃ...戻るか..」

綺麗に縄で縛られた異能者を引っ張る。


そこでフェルナンドの付き人が怖々と尋ねる。

「...わ....私も捕まりますか...」


レヴィン「そんなん知らねえよ...金受け取ったみたいだけど...俺取られてないけど...」

フェルナンド「....金なんか...どうにでもなるだろう...馬鹿者め!!」

付き人「申し訳ございません...!!」

付き人は土下座をして申し訳ありませんっと涙を流した..。




レヴィンは首の後ろに手を回し、はあっと息を吐いた。


レヴィン「……とにかく、帰るか。山賊たちも巻き込まれたみたいで大変だったな」


山賊たちは笑顔で手を振り、嬉しそうに見送ってくれた。


ー来た道を戻る一行。

レヴィンはドラゴンを肩に乗せ、ご機嫌そうに空を仰ぐ。


ハリスはふっと笑い声を漏らした。

ハリス「異能者を前にした時のレン…父親のウォーそっくりだったよ」


レヴィン「え…嘘だろ!?」


あのおっかない父と似てきたのか…!?

ショックを受けるレンに、ハリスは優しく続ける。


ハリス「ま…それでもいいんじゃない?怖がられても、信頼してくれる人はいるんだから。ウォーだってそうでしょ」


レンは少し頷き、口元にわずかな笑みを浮かべた。

レン「……そうかもな。まあ、俺にはお前がいるしな」


ハリスも微笑む。

ハリス「うん。僕もレンがいるから安心できるよ…少し危なっかしいけどね」


その含みのある言い方に、レンは少しバツの悪そうな顔を見せるが、すぐに二人の間に自然な笑いが零れた。

言葉にならない信頼と絆が、静かに二人を包む。


その後ろを、フェルナンドと付き人が熱心に語りながら歩いていった。

二人とドラゴン、そして異能者を連れ、アルデラ王国への帰路は穏やかに進む。



森の出入口でドラゴンを降ろしそこで一旦惜しみつつ別れる...

切ない声で鳴くが次第に自分から森の奥にかけて行った。



アルデラ王国の城門前。

兵士たちが整列し、厳しい視線を異能者に向けていた。


レヴィンは縄で縛られた異能者を前に立たせる。

異能者は眉間にしわを寄せ、唇を噛みしめて黙っていた。


ハリスが横で小さく息をつく。

「これで、あとは王国の方で対応してくれるね」


兵士がコソッとハリスに耳打ちする。

「金銭の横領に、裏切り、他にもいくつか余罪があるようだ…」

異能者の過去が整理されていく。


レヴィンは肩で軽く息を整え、視線を異能者に向けた。

「…あとは王国の人たちに任せるだけだ」


付き人の処分もすべて王国に任せることに。

任務として暗黒騎士として連れてきた以上、自分の判断で裁くことはできない。

責任を果たすのは果たした――それだけを胸に、静かに立っていた。


異能者は城内へと連れられ、その姿が門の奥へ消える。

付き人も同じく王国側に引き渡され、処分が決まることとなった。


フェルナンドは心配そうにその背中を見送る。


3人の間に沈黙が流れる...



レヴィンは肩の荷を下ろすように深く息をついた。

戦闘の緊張、連行の責任感、そして少しの安堵――すべてが、王国の厳格な空気の中で混ざり合っていた。


一行は再び門を背に、アルデラ王国の城下町へと歩みを進める。

そこには戦いの疲れを癒す、ほんの少しの平穏が待っていた。



数日後、レヴィンの元に一通の手紙が届いた。封は丁寧に施されており、差出人はフェルナンドだった。


レヴィンが手紙を開くと、中からは整った文字でこう書かれていた。



「レヴィン様、ハリス様


先日の件では、大変お世話になりました。

おかげさまで、付き人と共に高級宝石店を開業する運びとなりました。

まだ小さな店ではございますが、宝石の選定や品質には自信があります。

もしお暇があれば、ぜひ足を運んでいただければ幸いです。


フェルナンド」



レヴィンは封を閉じながら、ふっと笑みを浮かべた。

「罪に問われずに済んだみたいだな...だけどフェルナンドさん...タダじゃ起きないって感じだな」


ハリスも手紙を覗き込み、肩をすくめて微笑む。

「はは...意外としっかりしてるんだ...良かった」


レヴィンは、あの混乱の中でも前に進もうとするフェルナンドの姿に、少しだけ安心感を覚えた。

「宝石店か……王様に紹介しとくか」

「いいねそれ」


二人の間に、静かな感慨と、過ぎ去った戦いの余韻が漂う。

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