12話 グリムハウト その2
「ギシャァァァァ!」
「ガウウウ!」
目の前の光景は少し信じられなかった……前にいるのは前衛の3人とリザードロード3体だが。俺とシャルロットはその戦いを見ている形となっている。
「す、すごい動きです……し、信じられないくらいに……」
グリムハウト正式メンバーのシャルロットはオドオドしながら話している。独り言か俺に話しかけているのかは微妙だが。そんな彼女が驚くくらいに前衛3人の動きは凄かった。素早いリザードロードが全くついて行けていないレベルだったのだから。
「ふむ、これならば余裕だな」
「当たり前じゃない、なんて言ったってカインの補助魔法の効果が上乗せされているんだからね!」
「へへっ、マジでカインは凄かったみたいだな!」
前衛の3人は完全にリザードロードの動きを見切っているようだった。無駄話?をしながら簡単に避けているしな……これも俺の補助魔法の効力というわけか。天狗にはなれないけど、かなり自信がついたかもしれないな。
俺は自然と笑みをこぼしていた。
「グギャ!」
「私達の前に現れたのが運の尽きと思いなさい! じゃあね!」
最初にリザードロードを討伐したのはシャルナだ。例によって首を飛ばしての勝利だった。続いてリザードロードを仕留めたのはマルクスだ。
「くそっ! シャルナに先を越されちまった!」
「修行が足りないんじゃない、マルクス?」
「言ってろ、これで終わりだ!」
鋭いレイピアによる強烈な刺突攻撃。脳天を見事に貫通させ、リザードロードを即死させるマルクス。彼の動きは見事というほかなかった。最後に残ったのはリーダーであるリーリャさんだ。
「馬鹿者、魔物討伐スピードを競うなどもってのほかだ!」
完全なる正論と共に彼女は巨大な斧を取り出していた。どこに隠し持っていたんだ? というレベルの大きさだ。彼女の体重以上ありそうな斧を簡単に振り回しリザードロードに攻撃した。
「ギギッ!」
「無駄だ、死ね」
リザードロードは一瞬は受け止めたようだが、彼女のパワーに勝つ術はなくそのまま両断されてしまった。これで3体のリザードロードは全て倒されたことになる。グリムハウト側は無傷での勝利だ。俺達後衛はホッとした瞬間であった。
「良かった……リザードロード討伐お疲れ様です」
「ありがとう、シャルロット」
「リーリャさん、シャルナ、マルクス、お疲れ様」
「これだけ楽に倒せたのはカインの補助魔法のおかげよ。こちらこそありがとう」
「そうそう、サンキューだぜ相棒!」
「うわっ!」
意気揚々のマルクスがいきなり俺に首に腕を回して来たのだ。親愛の証みたいなものだろうが、少しだけ苦しい気がする。力が無駄に強いんだな……。
「なあリーダー。これはカインの正式入隊は確実だろ? これ以上、戦闘を重ねる必要はないんじゃないか?」
「ふっ、そうだなマルクス。改めてよろしく頼む、カイン。グリムハウトに加入してくれるか?」
「リーリャさん……はい! よろしくお願いいたします」
どうやら認められたようだ。俺は嬉しくなり大きな声で加入の意志を告げた。
「改めてよろしくね、カイン」
「こちらこそ、シャルナ」
シャルナも俺の加入を喜んでくれているようだ。今日の俺はとても嬉しい気分になっていた。




