趣味と失言
誠「…行くか…。」
俺は薄暗い館を蝋燭頼りに進んでいった。進んでいる途中、悲鳴やら絶叫が聞こえてきたが俺は無視して進んだ。
誠「ここに何かあるのか…?」
俺を導いていた蝋燭の灯りは、血の付いた扉で止まった。俺は深呼吸してからその扉に手をかけた。が、扉は固く閉ざされていた。
誠「は…?開かないぞ…?」
俺が扉が開かないことに疑問を抱いていると、蝋燭の灯りがまた俺を導くようについていった。…鍵はこっちですよってか…?
誠「……。」
俺は黙って扉から距離をとった。そして勢いよく扉にタックルした。突き破った扉の先には包帯に体を巻かれ、空中に拘束された皆がいた。
誠「なっ…大丈夫か!?」
ベル「…体はなんともないですけど…。」
セナ「動けない…。」
誠「待ってろ、今助け…」
?「クヒヒ…。」
俺の言葉を遮ったのは、包帯に巻かれたゲッソリとした女だった。その女は部屋の奥の暗がりから現れ、ニヤニヤしている。
誠「…これ、お前がやったのか?」
ミイラ「…そう。その飾りはこの狂気のダンジョンのボスである私、ミイラがやったのよ…。」
誠「……。」
ミイラ「今、名前が普通だなとか思ったでしょ。」
誠「め、滅相もない…。」
ミイラ「本当…?」
誠「と、とにかく!この悪趣味な飾りを外せ!」
ミイラ「…悪趣味…?そう思う…?」
そう言うとミイラは近くにあった包帯を引きちぎった。すると皆を縛っていた包帯の一部がほどけ、皆の肌が露出した。どうやら皆、裸で拘束されているらしい。
誠「ほう…素晴らしいな…。」
ミイラ「でしょ…。」
誠「ああ、どうやら俺とお前は趣味が合うようだ。」
剣聖「ちょっと!変な同盟組んでないで助けてよ!」
誠「…え?これはこれでハッピーエンドじゃ…」
アイラ「なわけないだろっ!」
誠「はあ…わかったよ…。」
俺はミイラを剣で斬り裂いた。ボスとか言うわりにミイラはあっさりと倒れ、粉々に散った。ミイラが散ったのと同時に、皆を縛っていた包帯も散っていった。
千夏「あっ…。」
当然のことながら皆は拘束から解かれ、解放された。皆全裸で。いやあ…散ったあともエロを残すとは…ミイラ本当にいい趣味してるな。
アルス「な、なにまじまじと見てるんですかっ!」
誠「あ、すまん…つい。」
俺は皆の裸が見ないように両手で目を隠した。まあ多少の隙間があって少し見えちゃってるけど、別に見たくて見てる訳じゃないよ?たまたま隙間があって、たまたま見えてるだけで…
ベル「手で隠すんじゃなくてあっち向いてください!!」
誠「え、なんで?」
セナ「絶対見えてる…。」
誠「そんなことないよ。俺のことはいいから服を探しなよ。」
俺がそう言うと皆は自分の服を探し始めた。なぜわかるのかって?そりゃあ見えてるからね、うん。
誠「もう目開けていいか?」
千夏「大丈夫ですよ。」
誠「よし、じゃあ帰るか。」
俺達は館から出てギルドに帰った。ボスが弱かったせいで、ギルドに着いたのは昼過ぎだった。俺達はギルドで昼飯を食うことにした。
リディ「今回のダンジョンはどうでしたか?」
誠「実はな…皆すっぽんぽんになってたんだ。」
リディ「…はい?」
誠「それでな、皆服を探してすっぽんぽんで歩き回ってたんだ。」
アイラ「へー…。」
剣聖「まるで見ていたかのような言い方だな…?」
誠「……。」
しまったと思った俺は黙って立ち上がり、逃げ出すように全力で外に走り出した。




