第三話 『義賊』とエキストラ
(さて、どうなりますかね。)
僕は、『義賊』たちのアジトに向かう上官たちを見つめながら心の中で呟く。
「フハハハ!もうすぐだぞ諸君!もうすぐ我々は卑しきコソ泥が盗み出した、金銀財宝を奪うことができる!あと数分の辛抱だ。わざわざモービルで移動する甲斐があるというものだ!」
「そうですねえ。卑しきコソ泥たちが集めた宝というものも、我らの手に収まるというのです。幸福と言えるでしょう。」
「その通り!」
(ふむ、だめですね。これは。明らかに愚かすぎる。いくら彼がどちらかというと本能で動くタイプといえどもこの油断しきったこの人たちでは殺すどころか捕まえることすら不可能と言っても良いでしょうね。まあ、上もそれを理解しているからこそ『彼』を派遣してきた訳でしょうが。それでも彼は逃げおおせた。最悪の場合は、使いましょうか。)
僕は、顔の左部分を覆う仮面を触りながら前方を見る。その瞬間、突如として先行していたケルトス副軍将らの真下の大地が陥没する。
「うわぁ!」
「そ、総員我々を救出せよ!」
「む、無理ですよ!こんなの、地表部分との高さがあり過ぎます!」
副軍将の取り巻きたちが、あわてて騒ぎ出す。すると、彼らの頭上にある崖から大きな高笑いが聞こえる。
「クハハハハ!みてみろお前ら!馬鹿だ、馬鹿がいるぞ!貴族や特権階級の軍人どもは多くが愚者ばかりだと思っていたが、まさかあそこまで馬鹿みたいな奴がいるだなんてな!」
「大将!黙っててくださいよ!せっかくの奇襲が台無しじゃないっすか!」
「ああん?あ、いっけね。」
「大将まさか俺たちが奇襲しているってこと忘れていたんすか!?」
(なるほど、これは確かにバカですね。ですが、それ以上にこのままだとまずい。)
僕は、早々に結論付け彼らをどう殺さずに片付けるのかを思案する。とはいえ、この状況はあまりにも悪すぎる。完全に囲まれてしまっている状態でそれでいて彼らが陣取る場所は僕らの頭上の崖。このままでは、僕らは弓矢で蜂の巣になってしまうだろう。
「さて、どうしましょうか。」
「の、呑気なことを言っておる場合か!早いところ我々を助けろ!」
(とは言ったものの、いくら僕でも彼らにはあまり手の内を晒すような真似はしたくはないんですがね。とはいえ、ここで助けねば後々面倒になりかねない。となれば。)
その刹那、僕たちの頭上にいた『義賊』たちが炎の幕に包まれた。




