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特殊イベント発生、図書館を使って上杉政虎を味方にしよう 前編

さて、こうして幽界にやってきたポチ・雛鶴・政虎は、いつものように図書館に入館した。

ちなみに、図書館の屋外では、いつも通りロケットが打ち上げられているぞ。

「ふうむ、この建物は凄いのう。南蛮風と和風が混在した建築様式になっている、ということで良いのか?空を飛ぶ鉄の矢も、凄まじい迫力じゃな。それで、ここは何の建物なのだ」

「図書館といって、とにかく沢山の本や映像を記録した物がある場所です。鉄の矢はロケットというそうですよ」

「なんか、図書館の中身が変わったわんね。いつも本を探す時に使っている、四角い箱が無くなっているわん」

「ポチ、あれを見て。図書館の利用者が、空中に浮かび上がった画像を使って何か操作しているわ。とりあえず、早く『おっさん』さんと合流しましょう」

「それがいいわん」

「図書館とは、金沢文庫みたいなものか?ところで、おっさんとは何者だ」

「ポチの中に封じられている怨霊で、ここの図書館長をやっています。なんでも、未来から来たそうですよ」

「ふうん、未来から来た怨霊ね。ポチに感じた妙な気配は、そのおっさんによるものか。早く其奴を呼ぶがよい」

「それじゃあポチ、お願い」

「わかったわん。刎友ー、政虎を連れてきたわん。早くポチたちを案内するわん」

すると、疾風とともにおっさんが皆の前に現れた。

「皆様、お待たせ致しました」

「『おっさん』さん、図書館の外で出迎えてくれるのかと思っていましたが、遅かったですね。何かしていたのですか?」

「いやあ、皆さんが幽界に向かった後、少し憲政様の様子を見ていたんですよ。あの人は、普段馬鹿みたいなことをやっていますが、どうも演技っぽいですね」

「憲政様は、わざと道化を演じているというのですか?一体、何故」

「なんか、変態道を極めるとか言って、姫様のセーラー服とかスカートの中を調べていましたよ」

「うっ、やっぱり気持ち悪い・・・。あっ、政虎様申し訳ありません。仮にも義父様を悪く言ってしまうなんて・・・」

「いや、かまわんよ。余としても、憲政殿の奇行には困っておったからな。其方が憲政殿をまともにしてくれたら、助かるのだが。ところで、おっさんとやら。せっかくだから、この図書館の説明をした上で、余をもてなしてみよ。余が満足できるものを出せたなら、おぬしらの話を聞いてやらんでもない」

「『おっさん』さん、お願い!」

「刎友、頼んだわん」

「はあ、分かりましたよ。それじゃあ、まずこれを腕にはめて下さい」

おっさんは、腕輪のようなものを雛鶴と政虎に渡した。

二人が腕輪を腕にはめると、おっさんは腕輪のボタンを押すよう促した。

「「ポチッ」」

すると、二人の目の前にディスプレイが現れた。SF映画とかによく出てくる、空中ホログラムの検索画面ね。

「なんじゃ、これは?」

「今まで使っていた蔵書目録(OPAC)から、ずいぶん進化したわね。この『何でも聞いて下さい』と書かれているところに本の題名を入力して検索すれば、本の在処が分かるのかしら」

「検索窓の部分を指で押せば、入力装置キーボードが展開して文字を入力できます。マイク・・・、えーとここを押せば音声入力もできますよ。それで、入力が終わったらエンターキー・・・、これを押せば検索結果が下に出てきます。あと、これは本の在処を調べるためだけの物じゃないですよ。漠然とした問いであっても、その質問の答えとか、あなたにお勧めの一冊とかを教えてくれますからね。この空中ホログラムには、超高速演算半導体とか光制御半導体とかメタレンズなんかを使ってるんですよ。凄いでしょう」

「うーん、おっさんの言っていることはさっぱり分からんな。とにかく、この検索窓に質問を入力すればよいのか・・・。どれ、幽界とは?」

政虎は、音声入力を選んで空中ホログラムの立体目録を操作した。

立体目録の回答は、以下のようなものであった。

『幽界とは、①人が死んだあとに行くと考えられた世界、②目には見えない霊や魂がいるとされた世界、③現世とは別の、かすかで隠れた次元の世界、等と説明できます。いわゆる、怨霊の跋扈する精神世界(想像上の世界)のことです』

「図書館とは何だ」

『本や記録などの資料を集め、整理し、保存して、一般の人が利用できるようにし、人々の教養、調査研究、余暇活動などに役立つことを目的とする施設です。基本的に、誰でも無料で利用できます』

「ふむ、こんな感じか。では、武田信玄の倒し方について回答してみよ」

『未来に関わることなので、回答できません』

「なんだと。では、余が川中島に出陣したら、武田軍はどのように行動するのか」

『同じ理由で回答できません』

「上杉家が関東を平定する方法」

『お答えできません』

「なんじゃこれは。余が真に知りたいことについて、何も答えてくれぬではないか。よう、おっさんよ。こんな不良品を自慢するなど、余程命が惜しくないようだな。ええい、お前の魂なんぞ、余の力で滅してくれるわ」

政虎は、自身に取り憑いている怨霊の力を使っておっさんに攻撃した。

「うぎゃー、痛い痛い」

ちなみに、雛鶴とポチはあまりの恐ろしさで動けなくなっているぞ。

(うっ、まずい。このままではボクの魂が消滅させられてしまう)

「あっ、うっ、政虎様。こんな所で未来を知って、武田軍に対して有利に動こうとするとか、政虎様らしくないんじゃないですか?」

「あー、なんだと?らしくないとはどういうことだ」

「政虎様は、常に正々堂々とした生き方を貫く義将なのではないですか?ボクが知る政虎様は、事前に未来の情報を得るといった小細工などしないはずです」

「おい、おっさんよ。今、何と言った。未来で、余は義将と呼ばれているのか」

「そうですよ。上杉政虎様は、義に生きる戦の天才と呼ばれています」

「ふうむ、そうか。強きをくじき弱きを助ける義将という生き方、悪くないな。フフフ、良いことを教えてくれたことに免じて、先ほどの失敗は許してやる。では、続けて余をもてなしてみよ」

「ははー、寛大な御処分ありがとうございます。では、政虎様はカフェ内にある茶室へと移動して下さい。ほら、姫様とポチも固まってないで、さっさと移動するー」

「はっ、『おっさん』さん。あの事態を何とか切り抜けたのね」

「今度こそ、おっさんは消滅すると思ったわん」

「まあ、ボクも今まで業政や氏業や吉業に散々脅されてきたからな。多少は耐性がついたのかな?あんまり慣れたくないけどね」

そんなことを話しながら、おっさんたちはカフェ内の茶室へと向かうのだった。

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