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魔法科学の最終定理 ──創世の術式と黒甲冑──  作者: 団丸


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白光の衝撃波

 眩しい光に覆われ白い世界になった。カウントだけがハッキリ聞こえる。


「1 ! 」



雷と磁界が交差する瞬間、目に見えない衝撃波がレールを叩く。


白黒の世界から色が染まる様に戻る。


――頼む。

――戻れ。


ポイントレバーは、ギチギチ音を鳴らし少し動いたように感じた。急激な衝突音と共に勢いよくレバーが戻った。


ガッ、チャアアアァァァンッ!!


止まってた世界に、その音で再び動き出す。


後列車両が全て通り切った後に黒い蒸気機関車が、まるで獲物を探す獣のように滑り込んできた。

ライトが眩しく目を細めた。



プァァァァァァァァァンッ!!!!



鼓膜を呪うような汽笛の爆音と共に、すれ違う車両の風圧が鉄の壁となって叩きつける。


ポルックスは屋根の上で身体を極限まで縮ませ、引きちぎられそうな暴風を耐え凌いだ。轟音が、段々と小さく、遠ざかっていく。


「はぁ……っ、あ、あはは……」


肺の中のすべての空気を吐き出すような、深い息が漏れた。

 電流を流し続けた両手は火傷と傷でボロボロだったが、胸の奥はなぜか、言葉にできない充足感で満たされていた。


 デッキを見下ろすと、あの少女があまりの出来事に啞然と立ち尽くしていた。だが、僕の無事を確認した瞬間、決壊したように大きな声をあげて泣き出してしまった。



ハーネスのフックを外しヨロヨロと縦はしごに向かい痛めた手を庇いながら降りた。




少女が駆け寄り僕に抱きつき僕も思わずきつく抱きしめた。温かさに帰ってこれた実感がふつふつと湧いてきた。


機関室からガルド運転士が呼ぶ声で、ハッと正気に戻った。



「坊主、ちょっと来てくれ。」


横殴りに雨が降ってくる。

機関室に戻ると、砂巻き装置の紐を引っ張りながらガルドが口を開いた。


車両に砂を吹き付け、スピードが落ちる。

車輪から勢いよく砂が弾き飛ばされる。


ガルドは血のついた額をぬぐい、機関室の扉を開けた。


「峡谷の使われてない橋に行く前に乗客、全員降ろす。負傷してない男を先に降ろして補助してもらうから車掌と選別してくれ。」




激しい雨のなか、蒸気機関車が闇を裂いて突き進む。


因果を断ち切るため明里をつけ狙う黒甲冑。



黒甲冑はみるみる後部車両のデッキ部分に近づいてきた。


泥土を跳ね上げ徐々に距離を詰めてきた。もはや数十メートルもない。 赤い目は、ただ明里だけを捉えていた。


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