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第1章 4

 「……何者だ!」

 関遼が柳白にそういうと柳白はゆっくりと劉・小狼と

関遼のもとに近付いて来ながら

 「関遼。わしを忘れたのか?お主の父上の

仕えていたわしを……」

 と話しかけてきた。

 「なに……? わしの父に仕えていた?……

もしや、柳白殿か?」

 関遼は自分達の間に割って入ってきたのがかつて、自分の父に

仕えていた柳白であることに気付いた。

 「兄者。 どうした?…… 知り合いか?」

 やっと、関遼に追いついた岩石のような男は新たに現れた柳白で

場が止まっている理由を関遼に訊いた。

 「関遼。その方を傷つけてはならん。

その方はお主の父の親友のご子息だ!……今日のところは

わしの顔に免じて引け!」

 柳白は関遼にこの場から引くように促した。

 「それはできぬ! 多くのわしの手下がやられたのだ。

ここで引く訳にはいかん!」

 関遼は首を横に振り、この場から離れることを拒否した。

 「……困ったの?……」

 柳白が劉・小狼と関遼の間で困っていると風のごとく、柳白の

後ろに突然、黒装束を身に纏った男が現れた。

 「柳白さま。 凍炎の砦が突然、現れた黒弧国軍に

襲われています! すぐに砦にお戻りを……」

 その黒装束の男は柳白に凍炎の砦が突如、現れた黒孤国の兵に

攻め立てられていることを告げると再び、風のごとく消え去った。

 『これはまずい!…… すぐに戻らないと!』

 「若さま。 砦が黒弧国の兵に襲われています!……

すぐに砦にお戻りを!……」

 柳白は劉・小狼に凍炎の砦が黒孤国の兵に攻められている事を

告げると

 「すまん!関遼。用事が出来た…… 我らはこれで帰る!」

 関遼にそう言い、劉・小狼と共に”魔の森”を後にし、

凍炎の砦へと戻った。

 「こらぁ!逃げるのか!…… 待てぇ!」

 岩石のような男が劉・小狼らの後を追いかけようとすると

関遼が

 「まあ。待て! 張爛【ちょうらん】」

 岩石のような男【張爛】のことを引き止めた。

 すると、凍炎の砦を見晴らせていたハーフエルフ【半妖精】が

突然、関遼の後ろに現れ、凍炎の砦が黒孤国の兵に

攻められていることを告げた。

 それを聴いた関遼は

 「張爛。後のことは頼んだ……」

 張爛に後のことを任せると馬を走らせ、凍炎の砦へと向かった。

 「兄者。置いていくなんてヒドいじゃないか!……

俺も行くぞ!」

 張爛も慌てて、馬を走らせ、関遼の後を追いかけた。

 関遼と張爛が凍炎の砦がよく見える小高い丘の上に

着いた時には凍炎の砦は黒孤国の兵に激しく、攻め立てられていた。

 だが、その黒孤国の兵はいつもの黒孤国の兵と何処か違っていた。

 姿は確かに黒孤国の兵なのだが、まるで別人のようだった。

 劉・小狼は凍炎の砦を護るべく、見張り台の上から

 必死に連続で矢を放ち、砦に迫り来る黒孤国の兵を倒していた。

 「ハハハァ…… 良いザマだ!」

 必死な劉・小狼の様子を見て、張欄は大笑いした。

 しかし、関遼は何も言わず、必死で砦を護ろうとして戦っている

劉・小狼のことをじっと見詰めていた。

 何かを意を決したのか、関遼は馬を砦に迫り来ている黒孤国の兵の

中にいきなり、走らせた。

 「……えっ? どうしたんだよ。兄者!」

 突然の関遼の行動に驚いた張爛だったが自分も関遼の後を追い駆け、

砦に迫り来ている黒孤国の兵の中に馬を走らせた。

 砦に迫り来ている黒孤国の兵の中に突撃した関遼と張爛はまるで

劉・小狼のいる凍炎の砦を護るかのように自分達の持っている

武器を振り回し、黒孤国の兵をなぎ倒し始めた。

 たちまち、凍炎の砦を勢いよく、攻め立てていた黒孤国の兵は

突然、自分達の前に現れた関遼と張爛に大混乱になり、

波が引くように凍炎の砦から撤退していった。

 関遼は見張り台の上にいる劉・小狼に強い眼差しを向けると

劉・小狼に何も言わず、張爛と共に”魔の森”へと戻った。


それから数日後。 劉・小狼が凍炎の砦の兵らと共に

黒孤国の兵の攻撃によって、破壊された砦を修繕していると

大量の資材【材木】を持った”魔の森”のゴブリンの盗賊らを

引き連れた関遼と張爛が凍炎の砦に現れた。

 「お前らはあっち。 残りの者らはそっちだ!」

 張爛は引き連れてきたゴブリンの盗賊らに砦の壊れた箇所を

修理するように命じた。

 「何をしているんだよ!お前ら……」

 劉・小狼は砦にやってきて、砦を直し始めた関遼らに

慌てて、駆け寄った。

 「見れば、わかるだろう。 砦を直しているんだよ!」

 「それはわかるよ!…… でも、何故?」

 「まあ。いいじゃないか。…… 砦を直したいから

俺たちはこの砦を直しているんだ……」

 関遼はそう言うと作業を続けた。

 「ま、待てよ! でも、お前らは……」

 そんな、劉・小狼と関遼らのやり取りを砦の見張り台の上から

孔游と柳白が見守るように見詰めていた。

 凍炎の砦の劉・小狼と関遼らの様子を遥か遠い龍炎国の

自分の館で遠見の鏡を使い、見ていた杜闑は怒っていた。


 劉儀との戦いで深手を負った老霍の体を捨てて、すでに杜闑は

老霍に代わり、自らの身体で龍炎国を支配していた。

 それは刻神の力を遥かに凌いでいた。


 杜闑が怒りが修まらず、、部屋の周りを歩き回っていると

突然、部屋の一部に黒い闇が現れたかと想うとその部分に渦が起こり、

その黒い闇の中から杜闑と同じような男・韓忌【かんき】が現れた。

 「ほほほぉ…… 何をそんなに苛立っている。杜闑よ!」

 「これが苛立てずにおえるか…… 奴らの力を受け継ぐ者が

生きておったのだ……」

 杜闑は更に怒りを強めた。

 韓忌は冷静に

 「奴らとは?……」

 杜闑に聞き返すと

 「我に逆らった者達だ!……」

 杜闑は怒鳴った。

 「ああぁ…… あの光の力を受け継ぐ者らか……」

 韓忌が頷きながら、そう言うと

 「ああぁ…… あの光の力を受け継ぐ者らを

根絶やしにしたつもりだったのが…… まだ生き残った者達が

いたようだ!…… 今のうちに何とかしないと……」

 杜闑はかつて、無実の罪で殺した劉儀と関邦のことを思い出し、

怒っていた。

 「よし! わしがお主の悩みの種を取り除いてこよう。」

 韓忌は杜闑にそう告げると再び、黒い闇の中へと姿を消した。


 劉・小狼を含め、凍炎の砦にいる者達は迫り来ようとしている

最悪にまだ誰一人として、気付いていなかった。


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