第1章 5
凍炎の砦を直した後も関遼と張爛は何かとつけて、
砦の手助けをするようになった。
そのことを高く評価した孔游は柳白の預かりの下で
凍炎の砦を含めた、周辺の警備をする予備の砦兵として、
”魔の森”のゴブリンの盗賊ら共々、関遼らを砦に迎えた。
劉・小狼はいまいち、関遼らのことを信じていなかったが
何かにつけて、柳白は劉・小狼と関遼らを一緒に組ませた。
『なんで俺があいつらと……』
そのうちに劉・小狼も関遼らに抱いていた疑念も消え、
いつしか本当の兄弟のようにお互いを信頼するようになっていた。
それを知った孔游は劉・小狼と関遼らを自分の部屋に呼び付け、
「実はなぁ…… お前はわしの実の子じゃないのだ!」
劉・小狼に本当のことを告げると全ての経緯を劉・小狼と
関遼らに話し聴かせた。
「うそだ!……」
真実を知った劉・小狼は大変、ショックを受けたが
「一緒に親の仇の杜闑を討とう!」
自分と共に親を殺した真の敵・杜闑を討つことを新たに
関遼・張爛は誓うのだった。
劉・小狼と関遼らの活躍によって、黒孤国の兵の侵略は
極端に減り、凍炎の砦の周辺の治安も安定した。
孔游と柳白は劉・小狼と関遼らの活躍を大変、喜んだが
劉・小狼・関遼・張爛は何か物足らなさを感じ、
日々を過ごしていた。
そんな、ある日。 ”魔の森”に残していたゴブリンの
盗賊の一人が関遼らがいる凍炎の砦に慌てて、駆け込んできた。
「関遼の頭! アジトが乗っ取られました」
砦に駆け込んできたゴブリンは息を切らしながら、
関遼に”魔の森”の自分らのアジトが乗っ取られた事を
関遼と張爛に告げた。
「ど、どういうことだ!……」
張爛が顔を険しく、そのゴブリンに”魔の森”の自分らの
アジトの事を聴き直すと
「じ、実は……」
そのゴブリンは関遼らに数日前にふらりと現れた男に瞬く間に
アジトを乗っ取られた事を説明した。
「なに! 良い度胸だ…… 俺様がそいつを退治をしてくる!」
「張爛! ま、待たんか!……」
張爛は関遼が止めるのも聴かずに砦に駆け込んできた
ゴブリンと共に”魔の森”に向かった。
「しょうがない奴だ!……」
関遼も張爛の後を追い駆けようとしたが
「待て! 俺も一緒に行く!」
劉・小狼はそう言うと関遼と共に張爛の後を追い駆けた。
張爛が”魔の森”の自分らのアジトに辿り着くと
自分らのアジトの前に横たわり、昼寝をしている
美男の若き男・趙燕【ちょうえん】がいた。
「貴様か! 俺らのアジトを乗っ取ったのは?……」
張爛は頭から湯気を立てるかのように怒りしながら、
自分らのアジトの前に横たわり、昼寝をしている
すらりと細身の美男の趙燕に喰って掛かったが趙燕は
大きな欠伸【あくび】をしながら、
「何だ。うるさいなぁ…… 誰だ。お前は?」
面倒くさそうに起き上がった。
「なんだ。その態度は…… 俺らのアジトを乗っ取るなんて
良い度胸じゃないか…… 俺様が成敗してくる……」
張爛はアジトの前にいる趙燕に目掛けて、突進して行った。
だが、事前に趙燕が用意していた落とし穴に張爛は見事に嵌り、
乗ってきた馬から投げ出された。
「はははぁ。…… そんな事じゃ、俺のもとには辿り
着けないぞ! 悔しかったら、掛かって来い!」
趙燕は馬から投げ出され、地面に倒れこんでいる
張爛を小バカにし、挑発した。
「なにぃ……!」
完全に頭に血が上った張爛は自分の武器・鑓【やり】を
ブンブンと振り回りながら、趙燕に突進して行った。
やっと、張爛に追い着いた劉・小狼と関遼は
アジトが見える小高い丘の上からアジトの様子を見ながら
「張爛のバカが…… 完全に相手の術中に
嵌っているじゃないか。」
関遼は馬を走らせ、張爛を止めに行こうとした。
「関遼! ちょっと、待ってくれ! あのアジトの前に
いる若き男、中々面白い。 もうちょっと、様子を見よう!」
劉・小狼は張爛を止めに行こうとしていた関遼を引き止めた。




