第71話 ジャイアントバット
「ライト!」
薄暗いダンジョンを魔法で照らす。
このダンジョンに入るのはこれで三回目だ。
今回は前回と違って攻略の時間はたっぷりある。
先ずは依頼を受けている七階層を目標に頑張ろう。
一階層、二階層と攻略経験がある階層を難なく突破し、三階層へと足を踏み入れる。
「ミウ! 頼む」
「了解だよ!」
ミウの魔法の矢がビーストを貫く。
以前よりミウもレベルアップしている為、威力が数割増している。
「やったよ! カナタ」
ビーストをやっつけて、俺の頭の上で飛び跳ねる。
「やったの、ミウちゃん!」
アリアも自分の事のように喜んでいる。
かく言う俺も、よくやったとばかりにミウの頭を撫でている。
もふもふした感触が気持ち良い。
「……まだまだ余裕」
ミサキの言う通り、すでにこの階層の敵に苦戦することは無さそうだ。
――とは言っても油断は禁物だが……。
「よし、サクサクと先に進もう」
「「「お〜っ!」」」
――と、いうことで現在七階層、ジャイアントバットと絶賛格闘中だ。
でも、流石にこんな数がいるとは思わなかった。
「ミサキ、そっちに行ったぞ!」
「……了解。まかせて」
広い空間に出たと思ったら、その天井に逆さにぶら下がる大きい蝙蝠。
多すぎて初めは何だか分からなかった。
それらが一斉に襲ってきたものだからたまったものではない。
単独では大した強さではないのがせめてもの救いだ。
「カナタ、まかせて!」
俺の頭の上で長い詠唱を始めるミウ。
俺はその詠唱を邪魔されないように、襲ってくるジャイアントバットを振り払う。
「地獄の業火!」
ミウから放たれた炎が螺旋状に上空に広がる。
その炎が襲ってくるジャイアントバットだけでなく、まだ天井に待機している奴らまでにも襲い掛かる。
ジャイアントバットはなすすべもなく黒焦げとなり、更には跡形もなく消滅する。
炎が消えると、そこには静寂が訪れた。
頭の上のミウはというと、少しへばっているようだ。
「う〜っ。しばらく休憩……」
俺の頭の上でミウがへたり込む。
あれだけ派手な魔法を使えば当然と言えば当然だが……。
「そういえば……、素材って残っているのか?」
肝心なことに気が付いた俺は辺りを見回す。
たしか五匹分の羽が必要だったのだが……。
「三匹分しかないの……」
アリアがまともに残っている羽を見つけてきてくれた。
おそらくミウが魔法を放つ前に倒した分だろう。
他にも何匹か倒したはずなのだが、どうも状態が良くないようだ。
「もうちょっと七階層を徘徊するか……」
「ごめんね、カナタ」
ミウが申し訳なさそうに呟いた。
「いや、あの状況じゃあ仕方がない。ミウは良くやってくれたよ」
あの状況で手段を選んでいれば大怪我につながる。
ミウの選択は正しいと思う。
その後、七階層を徘徊し、残り二匹分の羽も手に入れた。
「そういえば、今の時間はどれ位なんだろう?」
八階層に足を踏み入れた俺はミサキに聞いてみた。
「……もう少しで夕方だと思う」
ミサキの返事に俺は考える。
「じゃあ今日は十階層まで行ってみるか」
「……それがいい。脱出ゲートもある。……ボスもいる」
ダンジョンには十階ごとにボスがいるらしい。
いかにもファンタジー仕様だ。
ボスを倒し、脱出ゲートに一回登録をしていれば、次のスタートからはそこに転送可能だ。
それを考えるとぜひ倒しておきたい。
「よし、じゃあボスを倒しに行こう!」
「うん、がんばるの」
「ミウもやるよ!」
ミウも元気が出てきたようだ。
今の所、出てくる魔物にはほとんど苦戦はしていない。
この調子でサクッとボスを倒して帰りますか。
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