第34話 新たな依頼
すいません。今回少し短いです。
居間の真ん中に主役のように置かれているテーブル。
その上にはカップうどんが1つだけポツンと存在し、蓋の隙間から湯気を上げていた。
ピピピピピッ
スマートフォンのアラームが鳴り響く。
その音に反応し、蓋を開けうどんを啜る。
いつもと変わらない、味気ない味がした。
遺産として残された一軒家でのいつもの食事風景、寂しさなんてとっくの昔に麻痺している。
「さて、学校行かなくちゃな」
そして、またいつもと変わらない一日が始まる……
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窓から入る朝日の光が眩しい。
たまらず目を開けると、そこは別荘の一室、隣にはミウがいる。
昔の夢でも見ていた気がするが、よく思い出せない。
あまり良い夢ではなかったようなので、無理に思い出そうとは思わないが…。
トントン
ドアがノックされる。
「カナタさん、ミウさん。食事の用意が出来ましたよ」
スラ坊の声に、俺はベッドから起き上がる。
まだ気持ちよく睡眠中のミウを抱えて階段を下りていった。
カダゴトと馬車に揺られ、俺たちは遠征の旅に出ていた。
Eランクになっての初依頼は、スクレの村近辺に出現した魔物の調査だ。
王都から南東へ向かってフォセットの街を介し、そこから東へさらに進んだ所にその村はある。
元々はフォセットのギルドの依頼だが、どうやらあちらも人手が足りないらしく、王都ギルドに依頼が回された形だ。
ある程度舗装された街道の周りには草原が広がり、そこから運ばれる自然の匂いに鼻をくすぐられる。
この街道の先にはフォセットの街があるとのこと。
花と緑に囲まれた綺麗な街らしいので、少し楽しみだ。
「たまには遠出もいいね〜♪」
ミウが俺に話しかける。
ミウは現在、馬車の窓から俺と供に景色を堪能中である。
「そうだね。たまにはね」
俺もその景色を見ながら、すっかりくつろぎモードだ。
ユニ助も今回はあまり飛ばして走ってはいない。
まったりとした空気が馬車内を占領する。
「……ゆったりとした旅行は良いもの」
ミサキもその空気に呑まれたようだ。
思えば最近、何かと慌ただしかった。こんな時間もたまには良いだろう。
あれから4日、俺たちはフォセットの街へと入る。
ちなみにまったりしていたのは初日のみで、2日目からはユニ助に飛ばしてもらった。
流石にあのペースでは、村にいつ着くかわからない。1日だけでもまったり気分を味わえたので良しとすることにする。
街中は、いたるところに色とりどりの花が植えられていた。
一角では、かなり広い土地を使った花畑も見受けられる。
「きれいだね~♪」
「うん、落ち着いたらもう一度来ようね」
そんな話をしながら、俺たちは情報収集をする為、街のギルドへと入っていった。
「すいません。スクレの村の魔獣調査を受けたものですが、何か新たな情報が入っていませんか?」
受付のお姉さんに聞いてみる。
「は〜い。ちょっと待っててね」
分厚いファイルを取り出し、ページをめくり出す。
「う〜ん。特に無いわねぇ」
「ごめんね~」といった感じでお姉さんが答える。
「分かりました。ありがとうございます」
お姉さんにお礼を言い、俺たちはギルドを出る。
「何もなかったね」
頭の上から声がする。
「ああ、でも急いで行こう」
ここからユニ助の足でも急いで6日はかかる。
その間に何が起こるかわからない。
俺たちはフォセットの街をろくに見ることもなく出立した。
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