第18話 いざ王都へ
「おぉ…」
「すごいね〜♪」
「……立派」
「ふん、まあまあだな」
俺たちは、久々に別荘に来ていた。もちろん仲間になったミサキを招待するためだ。
だが、ミサキだけでなく俺たちも驚いていた。
家が100坪位の大きさに拡張されており、家庭菜園もかなりな広さになっていた。
「あっ、お帰りなさいませ、カナタさん、ミウさん、ユニ助さん。それと、いらっしゃいませお客様」
メイドならぬ管理人スライムが出迎えてくれた。
「ただいま、スラ坊。紹介するよ、新しく仲間になったミサキだ」
「……どうも、嫁のミサキです。娘のミウ共々、よろしくお願いします」
いや、違うから。
「むすめ、むすめ〜♪」
ミウは嬉しそうである。
「そうなると、高貴な出である我は、何になるのかな?」
ユニ助が口を挟む。
「……こちらが使用人のユニ助。適当によろしく」
「何だと!? 偉大な我に向かって使用人だと!」
ユニ助が怒鳴る。
「……冗談、ちゃんとした仲間。安心して」
「…うむ、ならばよい」
ユニ助の扱いもだいぶうまくなってきている。
そんなやり取りをしているところで、スラ坊がぷるぷる体を震わせながら俺に報告をしてくる。
「実は急に家が大きくなりまして、びっくりして表に出てみたら庭まで広くなっていて、2度びっくりですよ。中には温泉の風呂も出来たみたいなので、1番風呂は是非カナタさんが入って下さい」
温泉か、いいね! 是非入るとしよう。
「……混浴、そして目覚める愛、ポッ」
ミサキが顔を赤らめながらぼそっと呟く。
いいえ、目覚めません。
「ミサキさん、実は男女別々に大浴場がありますので、出来ればそちらの方に…」
スラ坊が空気を読んだのか、もっともな提案をしてくる。
「……残念」
心底残念そうだ。本気だったのか……。
「ミウはカナタと入るよ〜♪」
まあミウなら良いだろう。
「ほう、温泉か。我も入ってやろう」
「いや、ユニ助は庭で水浴びね」
「何故だ〜!」
ユニ助が吠える。
だって汚されたら困るもん。
でも、しょうがないから最後に入れてやるか。
「王都に行こうと思う」
居間に集まっている皆に向かって、俺は宣言した。
「せっかくこの世界に来たのだから、俺はいろいろなものを見て回りたいんだ。王都ガルドだけでなく、ほかにもいろいろな国に行こうと思う。みんなの意見を聞きたい」
ちなみにミサキには、異世界から来たことを伝えてある。
これから仲間としてやっていく上で、そんな隠し事はしたくなかった。
「ミウはカナタと行くよ! あたりまえだよ!」
「……夫婦はいつでも一緒。気にしなくて良い」
「まあ、どうしてもと言うなら我もついて行ってやろう」
「私は留守番でしょうけど、一生懸命別荘を守りますよ」
みんなが賛成してくれた、有難い。
「じゃあ先ずは王都を目指すということで、早速明日出発しよう!」
「お〜っ!」
王都行きが決定した。
次の日、ゲートから出た俺たちは、馬車で王都へ向かっている。
余談だが、ゲートの出現地点の一つをバレン村付近に設定しておいた。
これならいつでもダグラスさん夫妻に会いに行ける。
たまに修行をしてもらうのも良いだろう。
かなりキツいけど、その分身になるからね。
王都は、バレン村の南西、馬車で2週間程かかる。
南南西に進路をとって、ベラーシの街を経由して向かうのが通常ルートとのこと。
サトミさんやドルムさんに挨拶をしておくのも良いかもしれない。
そう考えている間も、ユニ助の引く馬車は、かなりの速度で進んでいく。
以前乗った定期馬車に比べ格段の速さなので、あと2日あればベラーシの街に着くだろう。
「カナタ、王都に着いたら先ず何をするの?」
ミウが聞いてくる。
「う〜ん。とりあえず図書館には必ず寄ることにして、冒険者ギルドに顔を出すくらいしか考えていないなぁ」
「……王都近くにはダンジョンがある。たまに良い装備が出現する。チャレンジすべき」
ダンジョンか…。入ってみるのも良いか。
「ミウも頑張るよ!」
すかさずミウがアピールしてくる。
「……もちろん私もいる。完全制覇は決定事項」
「わかった。ダンジョンも予定に入れよう。ただし情報を集めてからね」
新たに予定が決まった。
「そうか、王都に行くのか。まあ若いうちに見聞を広げておくのは悪くねえ。まあ頑張れや!」
街に着いて先ずは武器屋を訪問。
ドルムさんは俺たちの旅立ちに激励をしてくれた。
「はい、ドルムさんもお元気で。また近くに来た時には寄らせてもらいます」
俺は深々と頭を下げた。
「そうだ、ちょっと待ってろ!」
そう言うと、ドルムさんが奥へと引っ込む。
しばらくして、ドルムさんが1つの杖を持って来た。
「餞別だ。そっちの嬢ちゃんにくれてやれ」
ドルムさんは俺に向かって杖を放り投げた。
魔道士の杖
魔法威力5%UP
なかなか良い物のようだ。貰ってしまって良いのだろうか。
「遠慮なんかするな! 冒険者は常に生死に関わっているんだ。貰えるものは貰っておけ!」
「ありがとうございます!」
「……ありがとう。役立てる」
俺とミサキがお礼を言う。
「ああ、それでいい」
ドルムさんは頷いた。
次に来たのはギルド、受付に立っていたサトミさんに旅立ちの報告をした。
「そうですか…。寂しくなりますね」
ネコミミが垂れている。
「また来た時には顔を出しますから、絶対に!」
俺は力説する。
いや、決してネコミミの魅力を前に決心が鈍っている訳ではないぞ!
「……なるほど、カナタはネコミミ属性」
後ろで呟くミサキを、なるべく気にしない様にしながら話を続ける。
「そういえばギルドの拠点の移動には、何か申請が必要ですか」
「いえ、必要は無いですよ。ギルドカードはどこの国でも共通です。ギルドカードを見せるだけで良いですよ」
なるほど、それは便利だ。
「カナタさんならきっと王都で成功しますよ。でもたまには顔を見せてくださいね」
「はい、いろいろありがとうございました」
最後にしっかりと握手をして、俺はギルドを後にした。
うん、やわらかかったなぁ。
「……アリシアさんの言う通り、注意が必要」
ん!? 急に寒気が?
……気のせいか。
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