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バトルファイル  作者: クバ


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22/22

バトルファイル 013-4 VSアップグレード

対海賊護衛会社キリサメの前身である、武装輸送船構想はエースを軍から引き抜けた事から始まった。


輸送船操舵手をしていてプリーニオ。

そしてパイロットとして引き抜いたエース。

この2枚のカードが揃った事で、戦闘単位となり、武装船輸送会社ハヤタカは企業された。


ミスファイアリングスラスターを開発し、海賊共の言うロケットワーカーの試作機が出来た事で、海賊船を逆襲拿捕するビジネスモデルが確立。

宙間輸送会社を売却して武装輸送会社に。

武装輸送会社を売却して対海賊護衛会社に。

企業売却の際にスタッフを一人も漏らさずに、スライドさせる方法で、ミスファイアリングスラスターなど機密性の高い情報も、守ってきた。


エースはこの会社に戦術と規律をもたらし、キリサメの自由な風土はエースにユーモアと余裕をもたらした。


古参とは比べるべくも無いが、ラルズにもエースとの思い出はある。

操縦や戦闘術だけではない。戦いの根底にある兵士の志を教えてくれたのはエースである。

目標を定め、記録を付け、成長を確認して自信とする。エースが教えてくれた事だ。


ビーム兵器に詳しいからと解説されても、背後からのレーザー射撃をタイミングでことごとく回避するあの操縦センスは、認識はすれど理解には程遠い。


残り時間わずか。胃を締め上げる焦燥感はシェイク耐性を貫通して、ラルズの心も締め付けられていた。




00:00


願う時間は終わった。無感情にゼロを並べるタイマー。


護衛対象からも小型艇を借りて、総力を上げて捜索したが、機体の残骸や破片も発見されず、この瞬間エースは死亡認定となった。


大方の予想通り、プリーニオは心労で倒れ、ハンチョウがパイロット登録された。


追い払っただけの海賊は、必ずくる。復讐に燃えて。







捜索分の遅れを取り戻すために、人型機動兵器を先行偵察させての高速運行が開始しされた。

ラルズとハンチョウの負担は大きかったが、ラルズはやることがある方が楽だった。考えなくて済む。

チャペルの予約が増え、今まで交際を秘密にしていたペアが人前で隠さなくなった。

皆、それぞれにエースを悼み、死と向き合い、今の大切さを認識した。


運行再開直後、エース死亡に沈むヒュウガ乗組員と、運行遅れに苛立つ護衛対象のシロナガス級乗組員との間で小さな諍いがあったが、ヒュウガ食堂のおかげで今は落ち着いている。


ヒュウガ食堂。

交代で食事に来ていた護衛対象船の乗組員6名がテーブルに着いている。

ヒュウガ乗組員とは違う緑の制服で、一目でお客さんだと分かる。


緑制服1

「喪章とか自己満足だと思ってたけど、サインとして機能してたんだな」

緑制服2

「確かにね。はしゃぐなって伝わってくるわ」

緑制服3

「なんにせよ揉めた奴らのせいで、この食堂が使えなくならなくて良かったぜ。ココに比べたら我が社の食堂は冷凍庫にテーブルが付いてるだけだからな」


思わず笑いそうになるも、喪章を見て自制する緑制服のグループ。


その時、食堂に警報が鳴る。


即座に動く者と動かない者。緑制服のお客さん達はキョロキョロしながら腰を上げる。


ツナギを着た整備員

「待って」


ヒュウガ乗組員共通のツナギを着た女性が、そう一言だけ言って、広げた両手をお客さん達のテーブルに向ける。

ハンドサインは本能に作用して、お客さん達の発言と行動を抑制した。


ブリッジクルーが出ていった後、ツナギを着た人たちが周囲のテーブルに残されたトレイを重ねて回収箱に入れ始める。


ツナギを着た整備員

「乗ってきた小型船に移動して、ブリッジの指示を待って下さい」


整備員はお客さん達のトレイも回収し、まとめて回収箱に押し込み、食堂から出ていった。

警報から一連の動きを見て呆然とするお客さん達。


カン!


フライパンを叩く音にハッとするお客さん達。


料理長

「あんた達は小型船で待機!だろ?!急いで!」


料理長の声に背中を押されて食堂を後にするお客さん達。


緑制服1

「凄い船だな」

緑制服5

「どのフェイズで誰がしゃべり誰が動くのかまで、完璧にシステム化されてわ」

緑制服6

「人がシステムを完全に理解して、全体が淀みなく動いてるのが凄いよな」

緑制服2

「独特な宇宙機や指揮系統ばかり話題になるが、この船の強さの源泉は乗組員か」


鳴り止んだ警報にキョロキョロしながら、お客さん達は自分たちが乗ってきたランチと呼ばれる小型船に滑り込んだ。座席に着きベルトを締めると通信パネルにヒュウガのブリッジクルーが映し出される。


ブリッジクルー

「警報対象は漂流船。接触しないように本船を挟んで反対側のハッチから母船に戻って貰います。コースとタイミングの指示を見逃さないようにして下さい」

緑制服1

「了解。指示を待つ」


マイクを切って顔を見合わせるランチ内の緑制服達。


緑制服2

「漂流船?捜索してた宇宙機か?」

緑制服1

「いや、遭難者発見ならこんな固い対応にゃならんだろ」

緑制服2

「ならいったい……」


ヒュウガ食堂にランチに来たお客さん達は、小型船ランチの中で発進ローンチの指示を待つ落ち着かない時間を過ごしていた。



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