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元トレーダー、金アレルギーなのに金本位制の異世界に翻弄される  作者: 夜明け一葉
第3章

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第75話『文字』

昼過ぎ、リナが店に来た。


「天秤座で契約の立ち会いをしてほしい。店を借りる」


「また増やすの」


「保存食の試作場だ。今の作業場では薬草の匂いが食品に移るから、別の場所が要る」


リナが頷く。


「分かった。行こう」


老店主と合流して天秤座へ向かった。担当者が契約書を出して、内容を読み上げ始める——リナがいるので、その場で確認できる。


「物件の所在、月賃料銀貨一枚と小銀貨三枚、保証金銀貨三枚、賃貸期間六ヶ月更新、備品として地下の温度維持魔道具を含む、修理費用は借り主負担……標準的な内容だね」


「地下の魔道具の条件は問題ないか」


「入ってる。修理が発生したときだけ費用がかかる形」


「分かった」


リナが担当者に確認を終えた旨を伝える。老店主が先に署名する。


「署名をお願いします」


担当者がこちらを向く。少し間があった。


ペンを受け取る。毎朝練習してきた形を思い出しながら、ゆっくり書く。


ケイ。


担当者が確認する。リナが横から覗き込んで、少し目を止めた。


「……書けてる」


「名前くらいはな」


「最初は線も曲がってたのに」


「うるさい」


担当者が書類を整えて控えを渡す。保証金と初月賃料を払う。


リナが横から少し目を丸くした。


「自分で払うの」


「今回は出せる」


「そっか」リナが少し間を置く。「……保証金と今月分合わせて銀貨四枚以上飛んだけど、残債と二月後以降の家賃、大丈夫?」


「計算した。厳しいが払える」


「試作が上手くいかなかったら?」


「その場合も今の収益で対応できる範囲だ」


リナがもう一度頷く。余計なことは言わず、ただ数字を確認した、という顔だった。


天秤座を出る。


老店主が「七日後には部屋を明け渡せる」と言って別れた。


リナが並んで歩きながら言う。


「保存食って何を作るつもりなの」


「野菜を長持ちさせる方法を試したい。ダンジョンで倒れる冒険者は食事の問題だと思っている」


「それが解決できたら、また面白いことになりそうだね」


「まだ試作も失敗している段階だ」


「でも場所はできた」


「それだけだ」


店の前で別れる。リナが帳面を確認すると言って出ていく。


今日の仕込みが残っている。作業場に戻りながら、七日後から裏通りの場所でシュゴリーフの試作を始められると頭の中で確かめる。


---


【借金メモ・75話終了時点】

前話(74話)終了時:資金銀貨七枚と大銅貨五枚・残債大銀貨一枚と銀貨七枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

75話収入:初級ポーション(作淡濁:緑)二十本(小銀貨一枚×二十=銀貨二枚)+初級ポーション(作澄:緑)七本(大銅貨八枚×七=小銀貨五枚と大銅貨六枚)=銀貨二枚と小銀貨五枚と大銅貨六枚

75話支出:従業員給与ミレイ(大銅貨七枚)+フィア・ソル・充填×二(小銀貨一枚と大銅貨六枚)+食事分(大銅貨一枚)=小銀貨二枚と大銅貨四枚

残債充当:銀貨三枚を充当→残債大銀貨一枚と銀貨七枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚から充当→大銀貨一枚と銀貨四枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

ケイの資金:銀貨七枚と大銅貨三枚

残債:大銀貨一枚と銀貨四枚と小銀貨一枚と大銅貨二枚

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【所持アイテムメモ】

ポーション類

 初級ポーション(作淡濁:緑) × 20本(今日仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作淡濁:緑・試作強化版) × 1本(ミツロウソウの雫一滴添加・効能確認待ち)

 初級ポーション(作澄:緑) × 7本(今日仕込み分・翌朝棚補充予定)

 初級ポーション(作濁:黄緑) × 大保存瓶三本(満杯・保管中・旧在庫)

 初級魔力ポーション(作淡濁:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨三枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作澄:白) × 製造中(ケイ直接・小銀貨四枚で販売中)

 初級魔力ポーション(作濁:白) × 大保存瓶一本目充填中(4本/20本)


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読んでくださってありがとうございます。

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