第22話 魔法使いデビアス
一連の騒動が集結し、引継ぎも済んだので私は正式に領主となった。
そんなある日、私はパルポロムの屋敷へ招待されていた。
「ラフィアット様 ようこそいらっしゃいました。まだ落ち着いていないというのにお呼び立てして申し訳ありません」
「いえ、大丈夫です。何もしていないと返って色々考えこんでしまうので…」
父の死から、まだ数日しか経っていないというのに、非常に時間の流れが遅く、そして重く感じていた。
「今日お呼びしたのは、先日お願いされた魔法の教師についての紹介の件となっております」
「ありがとうございます。それで教えてもらえそうでしょうか?」
「そこは条件次第という話でした。一度直接お会いしてみるのがよろしいでしょう。本人はずっと家にいるらしいのでいつ来ても構わないと言ってました」
パルポロムはそう言いながら、その魔法使いの場所を示した簡易的な地図を手渡してくれた。
翌日
ノワールとナラタを連れて、魔法使いの家の前に到着した。
「地図によるとここみたいだね」
「ん…。少し緊張する…」
「ZZZ…」
(緊張すると言いつつ無表情だ…。ナラタはいつも通り寝ている…)
扉の前に進み、軽くノックをしたが中から反応は無かった。
「あれ?留守かな?」
ずっと家にいるという事だったが、買い物にでも出かけているのだろうか?
もう一度今度は強めにノックをした。すると。
「勝手に入っていいぞ!」
中から荒っぽい女性の声が聞こえてきた。
留守ではなさそうで一安心した。そのまま扉を開け3人で中に入る。
中はホコリっぽく、全く手入れされていなそうだった。
(汚い…。だらしない人なのかな…)
廊下を進むと、階段があった。すると
「こっちだ!」
階段の上の方から声が聞こえてくるので、そのまま声の方へ向かう。
上ると吹き抜けの広い部屋となっていた。2階はこの部屋しかないらしい。
驚いた事に部屋の中央で床に本を読みながら寝転がっている人がいた。
「えーと。パルポロムさんの紹介で来たんですが…」
「来たか。パルポロのやつからは話は聞いてるよ。魔法を教えて欲しいんだって?」
その女性は立ちあがりながら、めんどくさそうに答える。
風貌は黒髪のロングで、いかにも魔女といったものだった。
年齢は若そうに見えるけど、長い間魔法使いとして活躍していたと聞いたので、少なくとも30歳は越えているのだろう。
「ふぅー。条件は簡単だよ。1カ月で金貨10枚。魔法適正がある事。この2つだ」
金貨10枚は少し高いが、株式の配当により少し蓄えがあるので問題ない。
「分かりました。しかし、適正はどうやってみるのでしょうか?それと人数はこの3人に教えて欲しいのですが、問題ないですか?」
「いいだろう。3人で金貨10枚な。適正は今から見る。そこに並びな」
そう言いながら、魔女は壁際を指した。
指示された通り、壁に並ぶと頭に手を置かれる。
「ふむ。坊やはギリギリだねぇ」
(ギリギリ?セーフ、アウトどっちなんだ?ギフトで調べているのか?)
「まぁ、合格でいいだろう。次にそこの眼鏡の子。…ほぅ。あんたは良い感じだな」
「…ん」
「次は…。なんだあんた寝てるのかい?起きな!」
ボコッ!容赦の無いゲンコツがナラタの頭に直撃した。
「イタタタ…。ひどいよ…」
「睡眠系のギフトかい?私の前では禁止だよ!さてと、あんたの魔力量も測るよ」
そう言いながら、先ほどゲンコツを食らわせた部分に手を当てた
「…!! これはすごい。寝坊助はかなりの逸材だね」
「うん…ありがとう…イタタタ…」
先ほど殴られた部分がよほど痛かったのか、ナラタは頭をさすりながらも喜びの言葉を発した。
以前【市場調査】で調べたので、ノワールとナラタは適正がある事が分かっていたが、自分自身に(ギリギリらしいが)適正がある事が分かり非常に嬉しかった。
「自己紹介がまだだったね、私はデビアス。早速だけどもう教え始めても問題ないかい?」
自己紹介を受け、こちらも慌てて全員名乗る。教えを乞う前に先ほどの測定について、質問を行う。
「その前に1つ質問いいでしょうか?」
「なんだい?年齢以外の事だったら答えてやるよ」
(年齢はタブーっぽい…。【市場調査】で調べるのもやめておこう…)
「先ほど、どうやって適正を調べていたんですか?あれも魔法でしょうか?」
「いんや、あれは私のギフト【魔力天秤】だよ。本来は初対面の人にはギフトを教えたりしない方がいいが、まぁ坊やたちならいいだろう。このギフトはレアとはいえ大した使い道はないしね」
「レア?」
「王都で区分されているギフトの等級さね。知らなかったのかい?」
初耳だった。ギフトについてかなりの種類が存在すること自体は把握していたが、等級で人的に分けられていたとは…。
「知らなそうだね。ギフトには大きく3つの等級がある。コモン、レア、そしてスペシャルだよ。まれに何も持たずに生まれてくる人もいるが、殆どの人はコモンギフトの持ち主だ」
続けて説明を受けたが、要約するとギフトの等級は、親から受け継ぐ事が多いとの事だった。なので冒険者や貴族、王族ほどレアギフト、スペシャルギフトの持ち主が必然と多くなり、農民や商人はコモンギフトを持つことが多いとの事だった。
確かに、アタナスの領地でも殆どの住人が、少し力持ちになる、少しだけ喉が渇きにくい、畑を耕す速度が少し速いなど、自分たちに比べて微妙なギフトの持ち主が多かった。ゲン達がギフトに恵まれているのも、皆冒険者の子供だからなのかもしれない。
「王都で区分って事は、相手がなんのギフトを持ってるか分かる装置とかあるんですか?」
単純に疑問に思ったので、そのまま口にする。
「装置があるのかどうか分からないが、鑑定専用のギフトはある。王都に入る前に必ずギフトの鑑定を受けなきゃいけないからね。だから嘘をついたりはできないって事だ」
なるほど…。確かに何のギフトか分からない人間が入り混んでいたらセキュリティなんてあったもんじゃない。
(機会があれば、私のもう1つのギフト【通貨保有量】がどういうものなのか調べるために王都へ行くのもいいかもしれない)
「話が逸れたついでだ、あんた達のギフトを念のために聞いておこうかね」
「私は、【市場調査】と【通過保有量】です」
「【魔法阻害】……」
「【睡眠学習】と【自動行動】だよ」
(ナラタも2つギフトを持っていたんだ…!どんなギフトなんだろう?後ほど聞いてみよう)
「へぇ…。二人がギフト2つ持ちとは、中々珍しいじゃないか。しかし、私も大体のギフトを知ってはいるが、【市場調査】と【通貨保有量】は聞いた事が無いね」
デビアスの話では、【自動行動】はコモン等級、【魔法阻害】はレア等級、【睡眠学習】はスペシャル等級との事である。
残念ながら私のギフトは両方等級が分からず仕舞いだったが、ギフトについて多くの知識を得る事が出来たので、そこは喜ばしい事だった。
「さてと…。それでは魔法の授業を始めようかね」
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