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異世界アンケート無双 ~腕力が無くても知識と調査で無双できるんです~  作者: myura9mo(ミュラクモ)
2章 アタナス領主編
23/25

第23話 魔法の訓練

 「さてと…。それでは魔法の授業を始めようかね」


 魔法はどうやら、外で習うらしい。デビアスに連れられ裏庭に移動する。裏庭は少し荒れてはいたが、十分な広さだった。日本の近的弓道場と同じ広さで大体300平米くらいである。


 「じゃあ、今から教えるが、私はチマチマしたのが嫌いでね、あそこに的を用意した。今から一度実際にやって見せるから、その後で各自この初級魔導書を使って魔法を放ってみな」


 そう言いながら、デビアスは左手に魔導書を持ち、真ん中あたりのページを開いた。その後、右の人差し指で文字をなぞってから、その手をパーにして的に向かって突き出す。

 

 すると、何もない空間からいきなり火の玉が生み出され、的を燃やし尽くした。


 「さぁ、やってみな」


 (え…。そんな無茶苦茶な…)


 魔導書を受け取り、開いて見よう見真似で構えてみたが、何も起こらない。


 他の二人も流石に同じ表情をしている。


 「すみません、デビアスさん…。何も起こらないんですけど…」


 「はぁ…手が焼ける坊やだね。自分の体内の魔力を右の人差し指の先にまず移動させる。移動させた魔力と魔導書の文字をリンクさせ合成する。できあがったもんを手のひらから放てば発動だ。ページは文字があるならどこを開いても構わないよ。その魔導書は火の玉(ファイアボール)しか出せない初級のやつだからそれ以上に難しい動作は必要ないよ」


 (体内の魔力を移動…?なんだそれは?)

 

 ふと、子供のころにカ●ハ●波を出そうとしていた姿を思い出し、思いっきり力んでみたが何もでなかった。そりゃそうだ…。


 「そんな説明じゃ、できる訳ないと思うんですが…」


 「そうかい?隣を見てみな」


 「え?」


 言われた通り隣を見ると、ノワールとナラタ2人とも小さいながらも火の玉を出現させていた。


 「できた…」


 「すごい!これたのしい!」


 ナラタに至っては、同時に3つの火の球を生み出し的に向かって連打していた。


 「そんなバカな…」


 「体内の魔力の感じ方は人それぞれなんだ。魔力量が多い人の方がコツを掴みやすい傾向にだから、坊やもへこたれず掴むしかないよ」


 その後デビアスにマンツーマンで教えてもらい何度か試してみたが、結局は出来ず仕舞いに終わった。  

 

 次の授業は二日後との事なので、それまでにコツを掴んでおきたい。


 帰ってからノワールとナラタと相談をしたが、二人とも無意識のうちみたいで、言葉では上手く説明できないようだった。


 (ギフトは無意識のうちに理解できていたけど、今回の魔力というのは全然概念が分からない…)


 自室でもお腹に力を入れたり、複式呼吸したり、色々試してみたが進展はなかった。





 次の日の朝、居住区の視察をアルティアと行っていた。

 

 ジェイグが王都へ向かったため、代わりにアルティアが護衛を引き受けてくれていた。


 この護衛に関しては、私に内緒でジェイグが直接アルティアにお願いしたとの事だった。アルティアとは話も合うし、一緒に居て楽しいから嬉しいのだが、男として守ってもらうというのは複雑だった。


 (ちなみに、ジェイグの話だとアルティアはゲンやシュウよりも強いとの事だった。素手ならジェイグでも勝てないとの事である)


 「うーん、私は魔法が使えないと思うから、そういう体内の魔力とかは分からないな~」


 「そっか…」


 歩きながら、昨日の授業で悩んでた話をアルティアに相談していた。 


 「武術なら教えてあげられるんだけど、ごめんね役に立てなくて…」


 「いや、こっちこそ急に魔法の質問してごめん!」


 気まずい空気になりかけたので、今は一旦魔力の事は忘れて視察に集中しよう。


 「それで今日は優先して向かうところはあるかな?」


 「そういえば、昨日近所に住むサンブンさんが怪我をしたらしいの、まだ子供は小さいし5人もいるから大変そうだって聞いたよ」


 「なるほど、最近5人目が生まれたから、この後どれくらい稼げばいいかを相談されていたけど、無理しちゃったのかな…。それなら私にも責任があるし、すぐに向かってみよう」


 



 到着すると、家の前で子供たちが遊んでいたので中へ案内してもらう。


 「誰か来たのか?…こ、これはラフィアット様!」


 部屋の中には、サンブンがベッドに横たわっていた。私の姿を見て、慌てて起き上がろうとしたので制止する。


 「すみません、出迎える事も出来ずお見苦しいものを見せてしまって…」


 「気にしなくてそのままで大丈夫です。怪我は大丈夫でしょうか?この前ライフプランを確認した限りは、そこまで無理な仕事をしなくても良かったはずですが、一体どうしたんですか?」


 「いつも通り、出来上がった野菜を輸送していたんですが、道中で山賊に襲われまして…」


 「なるほど…。確かに最近山賊の被害が多くなってきているとパルポロムさんにも聞いておりました。護衛の冒険者は雇っていないんですか?」 


 「いえ…。雇ってはいたんですが、山賊に遭遇した際にいなくなっておりまして…。」


 「逃げたんでしょうか…。その冒険者の見た目とか。それ以外に他に何か気になった事はないですか?」


 「見た目は、禿げ頭で眼帯をしている大男でした。そういえば、いつもは依頼受領書の確認を最初に行うんですが、今回の冒険者は紛失したと言っていました」


 (かなりきな臭い…。冒険者だったとしても失格だな…)


 話を聞き終わったのでサンブンさんの家を出て、アルティアに相談する。


 「ティアさっきの話どう思う?」


 「護衛の冒険者は5人も居たらしいし、山賊が出たくらいで逃げ出すのかな?少し怪しい話だと思う」


 「そうだよね。とりあえず冒険者ギルドにその話を報告しに行こう」





 冒険者ギルドに到着し受付で先ほどの話を聞く。


 「そのような冒険者は、アタナスでは登録されておりません」


 「なんですって?」


 「また、サンブン様の護衛の依頼は別の方が受けていたはずなんですが、ドタキャンされたと仰っていました」


 (やっぱり…。依頼を横取りか…。山賊とも繋がっているかもしれない)


 手口としては、まずギルドで依頼の張り紙を見て、その時間より少し早く向かう。そして依頼受領書を無くしたと嘘をついて出発させるというやり口だろう。


 被害が増えないように、この事件を周知させようと受付に説明しようとしたところで、背後から声をかけられる。


 「よぅ!ラフィアット少年!」


 「ライリーさん!」


 声の主は、ライリー冒険団のリーダー ライリーだった。挨拶とティアの紹介を済ませてから、少し話をする。


 「今日も株式の情報確認かい?」


 「いえ、実はこういう理由で…」

  

 「ふーん。難しい話だな。その話だと依頼受領書の確認をせずに出発したサンブンさんの自業自得になってしまう。にしても、その禿げ頭に眼帯ってのは見た事ねえな。お前らは知ってるか?」


 ライリーは回りにいた4人の仲間に確認する。


 3人は知らないと首を振ったが…。


 「昨日酒場で見たかもしれへんわ」


 1人の女性冒険者が訛った口調でそう答えた。


 「そういえば、昨日1人で酒場に行ってたな。詳しく話してやってくれ。ニル」


 話を聞く限り、禿げ頭で眼帯の男が、昨日羽振り良く飲んでいたとの事だった。一緒に飲んでいた男たちも見ない顔との事だった。


 【市場調査】ですぐに冒険者区内に、サンブンさんの護衛を引き受けた人間がいるか調べたところビンゴだった。


 「ねぇ、ラフィ。その依頼を引き受けた人に会いに行こうよ。もし(わざ)と騙したんだったら許せない!」


 そう言いながら、握り拳を作りバキボキ鳴らしながらアルティアが言った。


 (確かにティアの言う通り、許せないのは私も同じ気持ちだ。このまま冒険者ギルドに任せたとしても、すぐに解決できるかどうかは分からないし…)


 「分かった。ただ危険すぎたりした場合は、すぐに逃げる約束だよ?」


 「うん。分かった。危険を感じる前に全員倒せばいいんだね?」

 

 (おいおい…大丈夫だろうか…)


 ライリーにお礼を言い、冒険者ギルドを後にする。向かうのは酒場だ。


 すると


 「待ってやー!うちも手伝うでー」


 先ほど、情報を教えてくれたライリーの仲間の女性が駆けつけてきた。


 「いいんですか?えーと…」


 「ニルヴィリアや。坊ちゃんが株式を作ってくれたおかげで、楽させてもろてるしな、それに何より坊ちゃん可愛いからサービスや」


 「間に合ってます!行くよ!ラフィ!」


 「えっ…でも…」


 アルティアは、青筋を立てながら、ニルヴィリアが話を終える前に遮り、断った。

 

 「なんや、やきもちか?お嬢ちゃん、坊ちゃんの事好きなんかいな」


 「☆□△〇〇☆!!」


 そう言われ、アルティアは顔を真っ赤にしながら言葉を詰まらせる。


 (ティアの反応を見る限り図星なのだろうか…。私もティアに好意を寄せてはいるが、中身の精神年齢は40歳越えてるしな…)


 嬉しいが複雑な心境であった。


 「それにな、酒場にはその年齢で入っても相手にされへんと思うで」


 確かに、ニルヴィリアの言う通りである。

  

 結果的に、アルティアも納得し同行してもらう事になった。


本作をお読み頂きありがとうございます。


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