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第10話 日照りの装置

 バカーンの企みを知り、機をうかがっていたが、すぐにその日はやってきた。


 冒険者地区で奇妙な装置を見つけてから数日後、緊急でパルポロムが父を訪問しているとの事だったが、私にも同席を願うとの事だった。


 「パトリック様 急な訪問で申し訳ありません。いかんせん緊急事態でしたので」


 部屋には、父上、バカーン、ジェイグ、そして私が同席していた。


 「パルポロムよ。色々と息子が世話になっている。改めて礼を言わせてくれ」


 「滅相もございません。ご子息の知恵をお借りして逆に私が助けられている立場ですので、こちらこそお礼を申し上げさせてください」

 

 そう言いながら、パルポロムは深々と頭を下げた。


 「早速ですが本題に入ってもよろしいでしょうか? 先日冒険者地区から見つかった装置について調べるようジェイグ殿から依頼をされていたのですが、それが何なのか判明しましたので、報告に参りました」


 「そうか…。その件はラフィアットからも聞いている。してなんなのだその装置は」


 「驚きました。これは雨の多い他国で開発された天晴箱という装置で、起動すると付近を晴れにするというものらしいです」


 「なんだと!?」


 「元々は、洪水などを防ぐため大雨を制御するために開発されたとの事でした。この事から考えうるには、アタナスの日照りは何者かの策略のようです」


 その場にいる"私以外"の全員が驚き、声を失った。


 この装置のせいで何人が不便な生活を強いられているのか?そもそも何の目的で日照りにしているのか?考えれば考えるほど怒りも湧いてくるだろう。その怒りのため、皆は声を失っているようであった。


 引き続き、パルポロムは装置について説明を続けた。


 要約すると、魔力供給が必要な魔道具の一種で、一定期間ごとに魔力の供給は必要なものの、魔力切れ以外では止まる事のない装置との事だった。

 

 これは私の推測だが、この領地に雲自体は発生しているが、魔力的な力で雨に変化しないようにしているのだと思う。


 気圧的な変化が起きていないのであれば、装置が止まればすぐにでも雨が降り出すだろうと思い、パルポロムへ質問した。


 「その装置はもう止まっていそうですが、すぐにでも雨が降るのでしょうか?」


 「それが、この装置の範囲だとあくまで冒険者地区の範囲にしか効果がなさそうとの事でして、今の状況を見る限り、居住区に1つ、商業地区に1つづつ埋まっているというのが専門家の回答でした」


 「なんと……。皆で協力し、すぐに装置を見つけてまいれ!」


 バカーンは明らかに青ざめていた、小さい声で返事をし、そそくさと出ていった。


 「ク…。私の領地でこんな事をしてタダではすまさぬ。ラフィアットよそなたも解決に向けて知恵を貸して欲しい」


 「承知しました。私の方でも対策を考えてみようと思います」


 冷静にそう伝え、私はその場を後にした。


 そのまま自室には戻らず、この件を全員へ相談すべくゲンたちの住む家で向かった。


 



 「以上がこの前の装置について分かったことだよ」


 「クソッ!きたねえ真似をしやがる。この前のノワールの怪我のこともある。見つけ次第それを使ってる奴らをボコボコにしてやる」


 私が説明を終えると、ゲンは声を荒げてそう答えた。


 犯人がバカーンである事を説明すると、今すぐに殴りこみに行ってしまいそうなので、まだ誰にも伝えてはいない。


 「でも、居住区と商業地区は結構広いわ。どうやって見つけるか良い案はあるのかしら」


 「その事なんだけど…」


 そう話しながら、街の地図を私は広げた。


 「この地図は街全体のものを指すんだけど、僕のギフトで調べたところ。この範囲の人たちが他よりも温度を高く感じているんだ」


 「マジですごいギフトだな。そんな事も分かるのかよ!」


 「便利よね、万能だし」


 「ははは、そこまで使い勝手のいいものではないよ」


 ジェイグも含めて簡単には、ギフトの説明はしている。ただ、アンケートになじみのないこの世界では、いまいちみんなに理解はしてもらえていなかった。


 「ラフィアット様。それではこの2つの範囲を調べて参ります」


 「いや、できれば両方同時に見つけたい。1つを見つけている間に動きを読まれてほかの場所へ移されたりするとまた調べなおしになってしまうからね」


 「なるほど、ではどうやって同時に動きましょうか?」


 「私に1つ考えがあるので聞いてほしい」


本作をお読み頂きありがとうございます。


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