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第52話 私はミジンコ程度にしか思ってません

 こんちくしょうが。

 魔法でやり合うなんて絶対に許さんぞ。

 俺が我が家の平和を守るんだ!周囲を見渡してみると、上へ上がっていく二人の姿が目に入る。


 いた。待てー。

 決して気付かれぬよう、一定の距離を保ちながら距離を詰める。


 よーし。どうにか離されずに済んだぞ。

 とりあえずはよかった。だが、やはり一番気になるのは花崎がどのような表情をしてるかだ。

 残念ながら、現状ではうしろ姿だけで何も分からない状態だ。こら、参ったな。

 しかし、今に至るまで会話がない事を考えると……


 

 はー。今日はなんて日なんだ。

 怒涛の勢いでトラブルが起きてるじゃないか。

 ホント、まじでしんどい。それでも歩き続けていると、前を行く二人が三〇三号室の前で突如足を止める。


 予想通り、誰もいない場所か。

 正しく暴れるには持ってこいと言えるだろう。

 だがしかし、魔法なんて使った日にはあちこちでとんでもない被害が出るのは必須だ。

 なるべく穏便に事が収まればいいが。二人が中へ入っていくのを見計らい、部屋のすぐ真横まで移動を行う。


 よし。幸運な事にドアは開けっぱなしだ。

 と言ってもまあ、こっから見えるのは花崎だけだがな。

 やれやれだ。おまけに肝心の当人はというと……



 鬼状態ではないが、未だに険しい表情のままだ。

 とても気を抜ける状況ではないぞ。


「私に何か用があるらしいけど、一体何なの?」

 ふー。とりあえず会話からやり取りが始まったか。

 よかった、よかった。さすがにいきなり詠唱が始まったら、シャレになんないからな。

  

「は、はい。実は、先程の四〇四号室での出来事についてなのですが、あそこで私が話した事は全て嘘なんです。許して下さい」

 えー!まさか、あいつが約束を守って謝罪をするなんて。

 驚くのを通り越して俺は感動しているぞ。赤月よ。どうか今の調子で頑張ってくれ。

 

「それは石野君との関係についても当てはまるの?」

「そうです。調子にのって変な事を口にしてしまいましたが、私はすざくさんの事なんてミジンコ程度にしか思ってません。どうか安心して下さい」


 よし。完璧なまでの否定だ。

 よもや花崎も不信感を抱く事はあるまい。

 まあ、何だか嘘を付いているようで心苦しいがな。

 とりあえず今は怒りを鎮めるのが最優先だ。細かい事には目をつぶろう。

 と言いたい所だが……


 ミジンコ呼ばわりだけは勘弁してくれー。

 俺は微生物が大っ嫌いなんだ。せめてニワトリくらいにしてくれ。


「なーんだ。やっぱ思った通りだったみたいね。最初から何となくそんな気がしてたわ」

 ほざけー!だったらなぜバカみたいに怒り狂ってた?

 ハッタリも大概にしろよな。

 

 

「だってあいつは超ドジではてしなくいくじなしっぽいもの。自ら行動を起こす訳ないわ。対するもえこちゃんも、至って清楚に見える。おそらく出会ったのもごくごく最近なんでしょうから、たった数日足らずで怪しい関係になるなんてありえない。私はそう踏んでいたわ」


 ほー。黙って聞いてりゃよくもぬけぬけと。

 やってくれるじゃないか。昨日は見事な程、感謝の言葉を述べていたというのに。

 途端に手のひらを返しやがって。もう絶対に許せん!

 と、本来なら頭にきてもおかしくないが、奴の発言はかなり的を射ている。

 悔しいが、受け止めざるを得ないだろう。

 

 だが、お前は大きな思い違いをしている。赤月は決して控えめ女子ではない。

 奴は間違いなく、己の欲望に正直な肉食女子だ。そこん所をしっかりと認識しておかないといつか痛い目に遭うからな。覚えておけよ。


「なんだ。お気付きになられていたのですか。なら、よかったです」

「私ももえこちゃんのホッとした顔を見てたら、気持ちが安らいできたわ」

 

 よし。花崎の顔にもうっすらと笑みが。

 くくくく。もはや、さっきとは別人だ。

 

「でも、一つだけ分からない事があるのだけど聞いていいかしら?」

「はい」

「もえこちゃんはどうしてあんな大嘘を付いたの?」

「え? そ、それは……そのですね……」

 

 やべえ。明らかにテンパってやがる。

 頼むから、焦ってろくな事を口走らないでくれー。

 

「もえこちゃんどうしたの?」

「す、すいません。理由でしたね。実は私、花崎さんのような可愛い人を見るとかまいたくなってしまって。それでつい。ごめんなさい」

 バ、バッカヤロー。なんだ、その苦し紛れの答えは。

 そりゃあいつは美人だし、とてつもなく可愛いさ。

 だが、んな事突発的に言われても多くの人間はバカにされたと思うに違いないぞ。

 はー。せっかくのいい流れが。

  

「フフッ」

 


 



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