第53話 2人の美少女が急接近。しかし……
あ、あれ?いきなりどうした?
明らかに笑う場面じゃないだろ。
もしや、頭に血が上りすぎておかしくなったんじゃ。
「もう。やーね、もえこちゃんたら。私ってそんなにキレイ?」
なにー!さてはコイツ、全て真に受けやがったな。
凄え。正に単純王だ。おそらく余程のバカでもお世辞と見抜けるだろうに。
なんておめでたい野郎だ。何だかますますコイツの事が分からなくなってきたが、
状況は間違いなく良くなってきている。もしかすると、このまま和解するかもしれないぞ。
「はい。目がパッチリしているからかクールでかっこいいですし、何より笑うとキュートです。そのギャップがたまりません」
「フフ。どうやら、もえこちゃんにはしっかりとした眼力があるみたいね。素直に嬉しいわ。ありがと」
「いえいえ。あくまで思った事を口にしたまでですから」
「またまた謙遜しちゃって。人がせっかくお礼を言ってるのだから、ちゃんと受け取とりなさい。でないとくすぐっちゃうわよ」
「えー。ひどい。私は何も悪い事なんてしてないのに」
「フフ。引っかかったわね。今のは冗談よ」
「もう。からかわないで下さいー」
「フフフフフフ」
こりゃ、事の他いい展開になってきたな。
既に二人は、仲直り出来たと判断してオッケーだろう。
実に望ましい状況だ。
「フフ。意外とユーモアもある人だったんですね。ちょっとびっくりしました。それはそうと、私の事は許してくれたんでしょうか?」
「え? 何の事? 最初からもえこちゃんには怒ってないわよ」
は?だったら、何に対してイライラしてたんだよ。
ま、まさか……
「なんだ。なら、よかったです。私はてっきり、激怒させたのは自分だと思い込んで食事も喉を」
嘘付けー!
普通にガツガツ食べてただろうが!
全く。なんていい加減な事を。
「ですから、今の言葉が聞けて嬉しいです。でも、私でないなら誰に憤りを?」
いよいよ核心に迫ったか。
知りたい気持ちの一方でいささか不安だ。
悪い予感が当たらなければいいが。
「そんなの決まってるじゃないの。全ては……あいつが悪いのよ」
「それはもしかしてすざくさんの事ですか?」
「ええ」
やっぱりかー!
何となく気配はしてたが、まさか本当に的中するとは。
一体、俺が何をしたというんだ?
「正しく思った通りでしたね。何かひどい事でもされたんですか?」
「まあ、別にいいふらす事でもないんだけどね。そもそも事の発端は昨日。人の許可も取らずに部屋へ入ってきたかとおもいきや、虫も寄り付かない恐ろしい女と言ったのよ。信じられないでしょ」
ぬかせー!俺は意外に優しいとは口にしたが、あとは何もだぞ。
というか、お前が強引に連れ込んだくせになんで勝手に侵入したみたくなってんだ。
普通におかしいだろ。
「あじゃー。なかなかドぎついですね」
「でしょ。挙句の果てに今日だって家中を回ったのにどこにもいないし、未だにあいさつすらしてこない。もう何なのよ」
ちっくしょう。ここぞとばかりに文句ばっか垂れやがって。絶対に許せん!
と本来なら怒りが爆発してもおかしくない所だが、残念ながら怒号をとばしてもどうなる訳でもない。 軽率な行動は出来るだけ取らない方がいいだろう。
とは言え、このまま花崎の怒りがヒートアップすればさらに当たりが強くなるのは確実だ。
頼む、赤月。俺のフォローをしてくれー。
「花崎さんもいろいろと大変な思いをされているんですね。何となく気持ちが分かります。だって私もすざくさんからちょっかいを受けてるんですから」
な……
昨日からちょくちょくちょっかいを出してきてるのはそっちだろうが!
「たく。あいつはホントーにどうしようもない奴ね。まさか、ここまでゲスとは。たぶんもえこちゃんも怖い思いをしてるんでしょうけど、安心してちょうだい。今度あいつが何かしてきたら火で燃やすから。大丈夫。心配は要らないわ。さあ、頭を撫でてあげるから来なさい」
「はーい」
何がはーいだ。
こっちはどっかのバカのせいでエラいとばっちりを受けてるというのに。
冗談じゃない。この恨みは絶対に忘れないからな。
覚えておけよ。
「おい。こんな所で何をやっている?」




