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第48話 私達は男女の関係です。

 プッ。なんだ、そりゃ。

 普通に面白すぎる。

 


「私は赤月もえこと言いましゅ。ここには昨日やってきましゅた。まだいろいろと分からない事が多いですが、よろすく願いします」

 ププ。いいぞ、お前はよくやった。

 確かにいろいろ変な所はあったが、最低限の事は伝わったハズだ。

 きっと何とか。

 

「プッ。ププ」

 えー!

 花崎。一体どうしたー?

 まさか、いきなり腹を抱えて笑い出すなんて。

 あまりに意外過ぎて頭が混乱してるぞ。


「フフ。もうやーだー。何をどうやったらそんな話し方になるの」

 凄え。つい数秒前まではブチ切れる寸前だったのに。

 これは正に奇跡と言っていいだろう。

 もしかしたら天然娘には、事態を好転させる不思議な力があるのかもしれないな。


「はー。はー。はー。はー。ごめんなさいね。初対面にも関わらず大笑いしてしまって。あなたの言葉遣いがあまりに面白すぎたモノだから、耐えられなくなってしまったの。ひょっとしたら不快な思いをさせてしまったかもだけど、あなたの事はよく分かったわ。こちらこそよろしくね。もえこちゃん」

 直後、花崎がゆっくりとベッドの方へ移動を開始する。

 そして目の前までやってくるやいなや、花崎が赤月の頭を優しく撫で始める。


 な、何なんだ、この微笑ましい光景は。

 両者共に至福の表情を浮かべているぞ。

 こりゃ、まるで仲のいい姉妹だ。もはや、二人の間には何の隔たりもないと言っていいだろう。

 なんて素晴らしいんだ。

 

 

「そういえば……」

 あれ?めちゃくちゃいい感じだったのに手を止めたぞ。


「さっきは答えて貰えなかったけど、もえこちゃんと石野君はどんな関係なのかしら? よかったら教えてくれない?」

 なんだ。何を言い出すのかと思ったら、そんな事か。

 どうもこうも、俺と赤月は初対面同然でキス以上なんて……


 あー!すっかり忘れていた。

 俺等は昨晩、キスを。

 や、やばい……


 コイツは超が付くほどの正直者だ。

 きっと、素直に答えてしまうに違いない。

 参った。今のままだと天国から一気に地獄行きだぞ。

 どうする?先手を打つか?

 

 いや。無用な策を講じる必要はないだろう。

 さっきだって赤月のおかげでピンチを乗り越えられた。

 おそらくあいつがいくら天然と言えど、昨日の事を話せばどのような修羅場となるか理解してるに違いない。とりあえず今回も、信じてみよう。


「ねえ。もえこちゃん。石野君との事を話して貰えるとありがたいんだけど」

「安心して下さい。私達は至って普通の家主と住人の間柄です」

「そ、そう。その言葉を聞いて安心したわ」

 ふー。寿命が縮まる思いだったが、何とか危機を脱したようだな。

 出かしたぞ、赤月。


「というのは残念ながら、嘘です」

 は、はい?

 一体、コイツは何を?

 

 

「ホントは……男女の関係でっす!」

 な……

 こんの大馬鹿者!

 いきなりなんて事を。今すぐに訂正しろ!


「そ、それはいくら何でも冗談よね?」

「いいえ。真実です」

 くー。どさくさに紛れてなんちゅうとんでもない事を。

 こりゃ、事故が起きる可能性大じゃないか。

 

 てか、言った傍から赤いオーラがにじみ出てきたぞ。

 これは目の錯覚か?はー。んな訳ないよな。

 おまけに表情も恐ろしいったらない。もういつ殴り合いが始まってもおかしくないぞ。

 警戒の最中、花崎が何も言わずに外へと出て行ってしまう。


 


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