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第29話 ちょっと服を脱いでちょうだい

 えー!俺が訪れたのは確かに二〇二号室のハズだよな。

 なのに、なぜコイツが……


 あー。しまったー。

 いろいろあり過ぎてすっかり忘れていたが、ここは約一時間程前に麻宮のモノとなったんじゃないか。

 こりゃ、まずいぞ。精神的ショックが相当大きいからか、麻宮は声も発さずに座り込んでしまった。

 こうなってしまったからにはもはや土下座も辞さない覚悟だが、現状況で謝罪をしても大した効果は

見込めない。となれば。


「ごめん」

 一言だけ謝り、猛スピードで部屋をあとにする。

 

 ちっくしょう。やっちまったー。大失態もいいところだ。

 きっと今回の件で完全に嫌われただろうな。

 そう考えると無性に悲しくなる。気力で四〇三号室前へたどり着くも突如うしろから手を掴まれ、後方へずるずる引っ張られていく。


 はー?いきなり、何だよ。

 訳が分からないぞ。てか、なんて物凄い力なんだ。

 必死に踏ん張ろうとしてるにも関わらず、全く止まる事が出来ない。

 一体、誰がこんな事を。振り返ってみると、黄金に輝く金髪頭が目に入る。


 確か、今日やってきた奴等で髪が明るかったのはA子こと花崎永遠しかいない。

 たっく。強引過ぎるにも程があるってんだ。

 何様のつもりなんだよ。状況も分からぬまま引っ張られ続け、あっという間に中へと連れてこられる。

 

 もしかして俺に聞きたい事でもあるのか?

 まあ今日は共同生活初日だから、だったとしても不思議じゃない。

 だが、仮にそうであってもだ。もっとマシなやり方はなかったのか?

 力が強すぎるあまり、怖くて声も発せないじゃないか。やがて二階へ到着すると、

花崎が突如二〇一号室の前で立ち止まる。

  

 わざわざ自室に呼んだという事は、きっと重要な話をしようとしているに違いない。

 にしても、一体どんな内容なんだろう?ドアを開けて部屋へ入っていく花崎に続き、奥へと進む。


 うーん。ちょい待てよ。

 今の今まで考えつきもしなかったが、こういうパターンもありえなくないか。

 実は私……

 

 

 極度の寂しがり屋で一人でいられないの。

 だから、ちょっとでいいから一緒にいてくれないかしら。

 なんて事もあるかもしれない。ムフフフフフ。

 まもなくベッドの前までやってくると握っていた手をそっと離し、花崎がすぐさまこっちを振り向く。

 

 

 お、おい。いかにも不機嫌ヅラじゃないか。

 もはや、文句を言われる感じしかしないぞ。



  

「まず始めに。無理やり連行してごめんなさい」

 えー。少し前の表情は何だったんだ?

 意外な展開過ぎて頭が混乱しているぞ。

 


「いや。謝らなくてオッケーだ。何か聞きたい事があったから、あんな行動に出たんだろ?」

「う、うん」

 


 可愛い。なんだ、この可憐な少女のような反応は。

 思わずキュンとしてしまった。

 

「で、肝心の要件というは何なんだ?」

「えっと、質問というよりはお願いに近いかもしれないんだけど大丈夫かしら?」

「ああ」

「じゃあ、さっそく。でも勇気を振り絞って喋るからには絶対に私の言う事を聞いてね」

 


 え?いつの間にかおかしな流れになってやしないか。

 何やらよく分からないが、とりあえず目をつぶるか。

 

「分かった。俺も男だ。全身全霊で受け止めたいと思う。安心してくれ」

「そう。良かったわ……フフフフフフ」

 何だよ、いきなり。めちゃくちゃ不気味に笑っているぞ。

 途端に不安になってきた。

 

「フフ。では私の命令を聞いて貰おうかしら。いい? 心して聞きなさい。今すぐ服を脱いでちょうだい」

 



 

 

 



 

 



 



 

 


 

 

 



  



 


 

 

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