第26話 美少女が俺の裾を掴んで離さない
「すざくさーん」
おのれ……
性懲りもなく何度も何度も。
今度という今度は絶対に許さん!
四〇一号室へ再度足を踏み入れる。
「よう、待たせたな」
「あれ? どうなされたんですか? お顔が怖いですよ」
「そりゃ、そうなるさ。誰かさんが邪魔ばかりしてくるせいで一向に部屋探しが進まないんだからな」
「それは困りましたね。どこのどなたです? そんなふざけた事をしてるのは?」
「ほう。あくまでしらばっくれるという事なのだな。であれば結構。俺が傍若無人な態度に鉄槌を下してやる!」
「す、すいません。今のは可愛い冗談です」
「もう遅い」
「きゃー」
赤月の脳天めがけ、渾身のゲンコツをお見舞いする。
「ふー。すっきりした。じゃあ、お前も頑張れよ」
「…………」
沈黙する赤月を放置し、一旦外へと出る。
さすがの奴も、今回で懲りたハズだ。きっと、静かになるだろう。
以後迷惑娘が声をかけてくる事はなく、最終的に四〇三号室を新たなマイルームに決定する。
ふっ。やっと一段落したな。
何だかホッとした気分だ。
そういや、あいつの方はどうなったんだろう?
廊下に出てみると、今正に四〇二号室へ入っていく赤月が目に入る。
どうやらまだ終わってないみたいだな。正直、少し残念だ。
だが見た限り、四〇一と四〇二に選択肢を絞ったようだ。
さほど心配は要らないだろう。飴でも舐めながら時間を潰している間に五分、十分、十五分と時は刻々と過ぎていった。
まじか……
待ってさえいれば運命の瞬間が訪れると思ってたが、全然進展なしじゃないか。
さすがにこのままじゃらちがあかない。
「おーい、順調に進んでるか?」
ちょうど四〇二号室から出てきた赤月に声をかけてみる。
「はーい。滞りなく」
嘘つけー!
だったらなぜ未だにブラブラしてるんだ。
ひょっとしてバカなのか?まあいい。本人が言うなら、任せよう。
「分かった。なら今まで通り頑張ってくれ。ただ、俺の方は既に決まって暇だから下で待ってる」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
「なんだ? 俺がいないと寂しいのか?」
「いえ。すざくさんがどの部屋に決まったのか知りたくて」
だから、引き留めたのか。
遠慮せず、さっさと聞けばいいものを
「一応、四〇三号室にした。幾分居心地が良くてな。ま、おまけ程度に覚えておいてくれ」
「……フ、フフ」
な、何だよ。いきなり怪しい笑みを浮かべて。
途端に不安が増してきたぞ。
「じゃあ、私も同じとこに住みまっす!」




