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第25話 美少女がしつこくて部屋が決まらん!

 さあ、問題はこっからだぞ。

 一応、四階には四部屋しかない。

 その点だけを考えれば、天然娘と行動をしても特に問題はないだろう。

 だが、コイツの場合。さっきのような事が起きる可能性は十分だ。

 あえて高いリスクを冒す必要はないだろう。


 

「なあ、赤月。よければ最上階くらいは別行動にしないか?」

「えー。何でですか?」

「実はな、俺も訳あって部屋を探さなければならないんだ。頼むから、分かってくれ」

「ならなおの事、一緒に動いた方がよくないですか?」

「へ? なんでだ?」

「だって二人でいろいろと意見を出し合いながら決められるじゃないですか」

 おっ。なるほど!

 いやいや。何も同じ所に住む訳じゃないんだから、話し合う必要なんてないだろ。


「確かにお前の言う事も一理あるかもしれない。だが、ゆっくりしている時間はあまりないんだ、とりあえず辛抱してくれ」

「でも……一人じゃ不安です」

 たく。手のかかる奴だな。

 なぜこうも孤独を嫌がる?

 もしかして我が家がやけに広いもんだから、恐怖感を抱いてるのか?

 正直かなり謎だが、現状のままではらちがあかない。適当に言いくるめるとするか。


「そんなに心配する必要もないぞ。呼べばすぐにでも駆け付けるつもりだからな」

「本当ですか?」

「ああ」

「では、一秒で来てくれますか?」

  

 バッカモーン。

 超人じゃあるまいし、瞬間移動みたいな事が出来る訳ないだろうが。 


「そりゃ、いくら何でも無理だ。だが、十秒あればいける」

「えー。ダメなんですか。なら、却下です」

 あーん!人がせっかく気を遣って答えてやったというのに。

 一体、何なんだ。ひょっとしてケンカでも売ってるのか。


「冗談はよしてくれ。普通に考えて実現困難だろ」

「だったら。しっかり同伴してください」

 たっく。別に何秒かかろうがいいじゃないか。

 なんつう頑固娘なんだ。言いたい事は山ほどあるが、話が進展しない以上しょうがない。

 この場だけでも赤月に合わせて難を逃れるとしよう。

 

「分かった。要求通りにする。文句ないか?」

「ありがとうございまっす。これで安心して部屋探しをする事が出来ます」


 

 ふー。案外あっけなく信じてくれたな。

 あとは天然娘が余計なちょっかいさえ出してこなければ、上手くいくハズだ。

 一応、釘を刺しておくか。


「そら、よかった。だが、くれぐれも用がないのに呼ぶなよな」

「はーい。分かってまーすとも」

 何だかコイツを見ていると、はてしなく不安になる。

 本当に大丈夫だろうか?まもなく階段付近で赤月と別れ、廊下へと移動を行う。


 よーし。ようやく自分の事に意識が向けられるぞ。

 よかった。よかった。にしても、やっぱ四階はいいな。

 他と比べ、装飾がちょい暗めで全体的に落ち着いた雰囲気が漂っている。

 さっそく見て回ろう。と、ちょっと待った。

 赤月は今、どこにいるんだろう?

 出来る事なら、あいつとはかちあいたくないな。


 たぶん俺が赤月のいる部屋にいってしまったら。

 わー。私達って心底気が合いますね。是非ご一緒しましょう。

 なんて言ってついてくるに違いない。なるべく慎重に行こう。


「すざくさーん」

 な……

 もしや、もうお呼びがかかったのか?

 いやいや。さすがにそれは。なんてたってまだ別れてから数分弱しか経ってないんだからな。

 空耳かなんかだったんだろう。

 

「すざくさーん」 

 う、うぐ……

 幻じゃなかったのかよ!

 全く何なんだ、もう。


「すざくさーん」

 あー。うっさい。さては応じるまで続ける気だな。

 あんにゃろー。とっとと黙りやがれ!と本当なら吐き捨てたい所だが、約束は約束だ。

 止むをえまい。

 

「すざくさーん。早くー」

「今向かっている。大人しく待ってろ」

「はーい」


 急いで声のした四〇一号室に入り、奥へと進む。

 すると、ベッドに横たわる赤月が目に入る。


 おい。何をしている?

 今は睡眠タイムじゃないだろうが!

 

「こんにちは。少し時間がかかりましたね。あまりに遅かったものですから、毛布をかけて眠ろうかと思ってたくらいです」

 そうか。だから、目がドヨーンとしていたのか。

 そら悪い事をしたな……

 

 ってアホか!たったそん位で睡魔に襲われていたら、きりがないわ。

 いっその事、ゲンコツでも食らわしたろうか!と口にしたいのはやまやまだが、怒りをぶつけても意味はない。ここはじっと堪えよう。

 

 

「すまん。とても悪いと思っている。だが、割と早かっただろ」

「何を言ってるのですかー。しっかりはいと仰ったにも関わらず、一分もかかって。一体、どうしてくれるのです? おかげであくびが出てしょうがありません」

 んな事知るかー!だいたい最初の時点で難しいと判断がいくだろ。

 バカなのか、コイツは。というか文句があるなら、せめて起き上がってからにしろよな。


「いろいろと不満がある事は分かった。頼むから、許してくれ」

「分かりました。いいでしょう」

「助かる。さすが、出来る女は違うな」

「えっへん!」

 またすぐ調子にのる。

 ホント、驚く程単純だな。


「で、わざわざ声をかけた理由は何なんだ? 早く教えてくれ」

「あ、え……訳ですか。そ、それは、その」

 コイツめ。さては用もないのに連呼しやがったな。

 ふざけやがって。


「何も話はないみたいだな。なら、俺は戻らせて貰う」

「あ、ちょっと」

 ドアをキツく閉め、再び四〇三号室へ向かう。

 

 たく。こんな調子じゃ、あっという間に日が暮れちまう。

 とっとと回るぞ。


 


 



 





 


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