第100話 まゆりと急接近?
「うむ。調子はいいぞ。保健教官の魔法治療を受けたからな」
なに?もはや存在すらしないのではと思っていたが、ちゃんといたんだな。
ちょっと意外だ。せっかくなら顔くらい見てみたい所だな。
「なら、心配は要らなさそうだな。ちょい安心した。ところで治療を施してくれたその張本人が見当たらないが、どこにいるんだ?」
「実は、教官殿はついさっきキノコ狩りに出かけてしまったんだ。よって教室にはいない」
キ、キノコ狩りー?
どうしてまたキノコなんかを。謎過ぎる。
というか、これは明らかに職場放棄じゃないか!
何してんだよ、もう。
「お前も気の毒だな。まさか、病人が置き去りにされるとは思わなかっただろ?」
「いや。私は別に大丈夫だ。お前がすぐ来てくれたからな。そ、それより私の下着姿はどうだ? お気に召してくれたか?」
げっ。ついに自ら感想を求めてきたか。
どうしよう?はたして正直に答えていいものか。
先日は確か、欲望のまま返答を返してろくな目に遭わなかったんだよな。
と言っても、酷評するよりかはやはり褒めた方がコイツも気分がいいハズだ。
よ、よし。
「ああ。とても気にいったぞ。実にクールで大人っぽく感じた。俺はああいうのが一番好きなんだ」
「フフ。そうか。お前に喜んで貰えて私は嬉しいぞ。では、もう一度」
意味深な言葉を残した直後、まゆりが再び上着を脱ぎ始める。
えー。一体、何がしたいんだ、コイツは。
訳が分からんぞ。そりゃ男の俺にとっては嬉しい限りだが、意図が分からな過ぎて逆に怖えー。
「よし。オッケーだ。少しこっちへ来てくれ」
そうこうしているウチにまゆりが上着を脱ぎ終え、機嫌よさげに声をかけてくる。
もう今度は何だよ。
寄れと言われたって既に体と体が触れてしまいそうじゃないか。
「無茶はよしてくれ。お前にぶつかってしまう」
「いいんだ。さして気にする事はない」
いや。普通に良くないだろ。
言い返したいのは山々だが、何をされるか分かったもんじゃない。
まゆりの機嫌を損ねぬよう、仕方なく二歩前に進む。
うっわ。見るからに豊満なおっぱいが貧相な胸板に当たりそうだ。
やばい。何だか近過ぎてメラメラしてきたぞ。
「な、なあ。ちょいと息苦しいから後ろに下がっていいか?」
「ダメだ。もう一歩前へ来い」
はー?ふざけてんのか!
調子に乗るのもいい加減にしろよ。
「悪いが、それは出来ない。少しは俺の気持ちも察してくれ」
「…………」
一言も発しないまま、まゆりが寂しそうに下を向く。
ふー。よかった。
とりあえずは、諦めてくれたと解釈していいだろう。
「配慮に感謝する。やっぱ出来る女は……フガ」
いきなり顔を上げたまゆりに意表を突かれ、胸に顔を埋めさせられる。
な、何のつもりだー!
今すぐ体から離れろーと言いたい所だが、早くも甘い誘惑に負けそうだ。
ああ。幸せ。
「フフ。私のおっぱいは気持ちいいか?」
うん。気持ちいい。
もういつ死んでもいいかもー。
ってバッカモーン!
のんきに快感に浸っている場合か!
「何を考えているのか知らないが、止めてくれ。俺は保健室なんかで一線を越えたくない」
何とか顔を上げ、精一杯の言葉を投げかけてみる。
「私は……お前となら越えてもいいと思っている。こんな気持ちは初めてだ」
えー。ウッソー。
今、コイツはかなりの爆弾発言をしたぞ。
何がどうしたというんだ?
「ちょ、ちょっと一回落ち着こう。教官が戻ってきたらまずいからさ」
たまらず自重するように促すと、まゆりが何ともあっさり体から離れる。




