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最弱勇者と万能メイド  作者: 浮遊する生物KURAGE
第3章 虹の竜と激動の戦乱
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05話 忌み子

ご無沙汰しております、KURAGEです。

最近5000文字単位で投稿するよりも、2500文字単位の方が良いのではないかと思っておりますが……最初の方を編集するのがだるいので、取り敢えずは今のスタイルで行こうと思っております。

あと、前半部分に関して、“…”を“……”に変える作業を(暇があったら)進めていく所存でございます。まあよろしくって事でオナシャス(^^)/~~~。

今俺の目の前に存在する美しい繭の中には、きっと神竜ヴァイスが眠っているのだろう、と、俺は直感的に理解した。

彼、ないし彼女が自らが眠っている事を侵入者に知らせつつも悠々と眠っていられるのは、圧倒的な自信を持っているからなのだろう。その自信と、気迫と、恐らくは魔力が、この世界に来てから決して長くない俺にもひしひしと感じられる。


「では、このデカブツを覚醒させれば良いのですね?」


そう言ったバゼシスが自らの得物を手に取り今にもその繭へと歩を進めようとしたが、


「ちょ、あんまり荒っぽい事しちゃダメだよ!僕達はヴァイスと交渉しに来てるんだから!」


というデティアの言葉を聞いて剣を鞘に収めた。


「それにしても……どうやって起こそうか?」


このように手間取っている間にも、刻一刻と時間は過ぎていく。タイムリミットまで凡そ1日と半分。移動時間も考えると、決して時間に余裕があるとは言えない。


「んー……あ、そうだ、良い事思いついたぁ!」


「ん?どうしたクルル?」


「ふふん、驚かないで聞きなさいよぉ!……ズバリ、大声で歌って起こすゼィ大作戦!!」


「あー……却下」


「そう……ですね。ベルガー連邦(向こう)にも微弱な音を聞き取れる道具はあるわけですし……」


そんな風に考えあっていた、その矢先の出来事だった。


『私の眠りを妨げるのは何処の何方ですか?』


その美しく透き通った声に、この場にいる全員、否、()()を除いた全員が息を飲んだ。だって、その声は()()()()()発せられていたのだから。

皆そうして何も言葉を発せられないでいたが、数秒の空白の後にルルナが口を開いた。


「貴女様のお眠りを妨げてしまった事、深くお詫び申し上げます。わたくし共は人族の勇者一行及びとある国の王子一行にあります」


『勇者に王子……?半魔や半端者、妖精(ピクシー)まで連れて、一体何用ですか?』


ん……?ピクシーはクルルの事で間違いないだろうが、それにしても半魔と半端者って何だ……?

疑問に思った俺だったが、ルルナはヴァイスとの会話を続けた。


「大変恐縮ながら、折り入ってお願いが御座います」


『……予め言っておきますが、戦争に手を貸せ、等といった願い事は聞き入れませんよ?』


「戦いに手を貸して頂きたい訳では御座いません。ただ、貴女様の御姿を悪しき行いをする人間達にお見せになり、奴等に説いて頂きたいだけなのです」


それを聞いて、ヴァイスは少し考えるような声を出した後、淡々とこう述べた。


『却下です』


「へ……如何様なる理由が為で御座いましょうか……?」


『眠い、動きたくない』


「ええーーーっ!?」


思わず大声を出してしまった。デティアに、しーっ、と諌められるが、これは仕方ないだろう。

兎に角、これだけは言わせてもらおう。何で神の竜がニート生活満喫してるんだよ!!


『ですが、他の何かならば、与える事が出来ます。とはいえ、その前に貴方達の決意を確かめねばなりません』


「……?決意……?」


デティアが不思議そうな声を漏らす。

そうだ、そんなもの、一体どうやって……?


『勇者よ、こちらへ来なさい』


え……俺?疑問に思い問おうとしたが、俺の本能がそれを許さなかった。足が勝手にその繭のの方へと向かう。繭へと近づくにつれ、感じる熱気がどんどん強くなっていく。

熱さに耐えながらも何とか中央付近へ辿り着くと……、


『貴方には少し眠っていてもらいます』


「え……?」


「勇者さ……


ヤマ……


ヒ…………


段々と遠くなっていく仲間達の声を最後に、俺の意識は闇へと溶けていった…………。


〜★〜★〜★〜


俺が目を覚ましたのは、どこか懐かしい殺風景な部屋だった。

いつ見たのかは思い出せないが、多分、何処かで……。


「久し振り」


「うわっ!?」


背後から突然に掛けられた声を聞き、ぎょっとして思わず目を剥くと、そこにはいつぞやの()()()がいた。


「び、びっくりした……。ひ、久し振り」


そう返すと、女神は無言でこくんと頷いた。


「で……俺は何でここに……ま、まさか、また死んだの!?」


「死んでない。魂だけ連れてきた」


「魂だけ……?」


魂なんてあったんだ。……そりゃあ異世界があるんなら魂くらいあってもおかしくないけどさ。


「それで、今日は“祝福”を与えてあげようと思って」


祝福。それは人から神への賛美或いは神から人への赦免や恵みを表す言葉。この場合は恐らく俺に何かが賞与されるという事だろう。


「えと……そりゃまたどうして?」


「いらないの?」


「あ、いりますいります!ところで何を頂けるのでしょうか!?」


危ない危ない。貰えるものは取り敢えず貰っておく、これ大事。


「急に敬語……。まあ良いけど」


そう言うと女神は一呼吸置いてから、聞き覚えのないような呪文を唱えた。


『理を司りし女神が、今世界に干渉す。……()の値を変更せよ』


あまりにも短い呪文だった。だが、それをトリガーに、目の前のあどけない少女は眩い光に包まれて……やがて視界が戻った。


「何も……変わってない?」


「祝福はちゃんと施したよ」


「え……?でも、何も……」


新たな力に目覚めた予感がしたり、左手が闇の力に疼いたりする感じはおろか、特段身体が軽くなったようにも感じない。本当に、何も変わっていないのだ。


()()()()()にね」


「誰だよそれ!?」


「え、知らないの?いつもヒロミの隣にいる、氷使いの可愛い子」


あーはいルルナね。というか、その理屈でいったらクルルも()()()()()だろ……。


「いや、知ってるけどさ……。なんでルルナにだけ?彼女には必要無いだろうに……」


「ヒロミみたいなネタ枠が成り上がるのは面白くない」


「何だよそれ!?」


コイツ……Sか?Sだろ?Sなんだよな!?


「まあそれは冗談だけど。ちゃんとヒロミへと祝福もあるから、安心して」


そう言うと、彼女は突然俺の鼻を指で突いた。その瞬間、俺は()()()での生活を回顧する。こんな事、昔どこかで……いや、むしろよくあった筈だ。一体、これは……?

俺はその思考の先を紡ごうとしたが、それは先程と同じ光に遮られてしまった。

意識が、遠退いていく……。俺が自らの意識を手放そうとした時……。


「はい、終わり。これで良いと思う」


「ん……?」


急に引き戻された意識に掛けられた言葉に、俺は慌てて目を開けた。

そしてそれとほぼ同時に、何処か懐かしくもある声が頭の中に響いた。


(女神・シャーロットの干渉により、特殊アビリティ・限界突破、及び特殊スキル・万物召喚(サモノール)を獲得しました)


「てか女神様……名前、あるんじゃん」


「……それは今はどうでも良い。時間も限られてるから、聞きたい事だけ言って」


「はいはい。限界突破と……万物召喚、だったっけ?どういうものなのか、教えてくれる?」


無名の女神改め女神シャーロットはこくりと頷くと、こう教えてくれた。


「限界突破は、簡単に言うと扱える魔力や魔法の対象を大幅に増やせたり、付与効果の上限値を伸ばせるスキル。万物召喚は錬金魔法や錬金術の上位互換で、魔力があればどんなものでも作れる。術師の想像力がしっかりしていないとすぐ壊れるから、その辺りはちゃんとしてね」


おぉ……。中々役に立ちそうだが……攻撃は出来そうにないな。頑張れば万物召喚でも攻撃出来るんだろうけど……。


「それにしても……俺の時だけ、何か雑じゃなかった?」


「恐らく多分きっともしかしたら気の所為な筈だと思うかな?」


「確信犯かよ……」


俺の呟きを完全に無視したシャーロットは、しれっと、


「もうそろそろお別れの時間」


だとか言ってきた。


「ハイハイソーデスカ。まあ……バイバイ。俺なりに頑張ってくるよ」


「むぅ。……じゃあ、またね」


些か不満そうに言った少女は、最後にちょっと迷ったかのように何か言い足そうとしたが、その声が耳の届く前に俺の意識はフェードアウトしていった…………。


〜★〜★〜★〜


「勇者様っ!!」


わたくしは突然お倒れになった勇者様へと駆け寄ろうとしましたが、ヴァイスの繭が発した突風に吹き飛ばされてしまいました。受け身をとって衝撃を和らげましたが、後から鈍い痛みがわたくしを襲います。


『決意を確かめると言った筈です。次に動いたら容赦はしません』


「そんな……ヴァイス様、勇者様は、今一体……」


『ヴァイスだと!?私をその忌まわしき名で呼ぶな!!』


「へ……?」



ヴァイスという名で呼んだ瞬間激昂し始めた彼女は、更に先程のような風を巻き起こし、わたくし以外のみんなを岩壁へと叩きつけました。

彼女は……ヴァイスという名ではないのでしょうか?


『もう、決意などどうでも良い!この狭苦しい繭から出て、全員殺してやる……!!』


「え……あ、アニングさん!」


「気を付けて下さい!何故かは分かりかねますが、奴が放っている殺気は本物です!」


「はい……全力で、元に戻します」


わたくしは愛刀、フォーリン・スノウの柄に手を伸ばし、臨戦態勢を整えました。

後は相手が行動に出るのを待つのみ。その瞬間、彼女に力を見せつけ、我に返らせれば良いのですから……。

そう思った矢先の事でした。突如わたくしに温かい光が降り注いだのです。


「なに……これ……。あったかい……」


やがて光が晴れると……わたくしの魔力が、なんと2倍にまで増幅していたのです。更に、魔法に関しても精度が上がっていそうな気がします。

更に、異変はそれだけではありませんでした。

なんと、勇者様が小さく呻き声を上げて起き上がったのです!


「勇者様っ!!」


わたくしは思わずヴァイスとの戦闘を忘れて彼に駆け寄りました。


「あ……ルルナ……?ん……あの後……?」


「はぁ……。勇者様……ご無事で、何よりで御座います……」


本当に……良かったです。


『……失礼。感情をコントロール出来ないとは、私もまだまだ未熟ですね。皆よ、私の事はイリスと呼びなさい』


どうやらヴァイス……改め、イリスも、我に返ったようです。


「イリス、ですね。承りました」


後ろを見ると、デティアさんとバゼシスさんも安堵したような表情を浮かべていました。

ただお一人、勇者様だけが、訳の分からなさそうなお顔で首を傾げておいででした。


〜★〜★〜★〜


「へぇー、そんな事があったのか……」


それにしても、イリス、ねぇ……。Iris……ギリシャ神話に出てくる虹の女神、アイリスの読みを変えた……みたいな?

確かにイリスの繭はキラキラと7色に光っているし、あながち間違っていないのかもしれないけど……今は女神というとシャーロットの方を思い浮かべてしまうな。


『という訳で、私はもう一眠りさせて頂く事にします。それでは、さような……』


「させません」


ルルナが繭に向かって手をかざし、力を込める。


『え……幾らーーーとはいえ、ここまでの魔力……出鱈目です!』


「……やっ」


『うわ……な、何を……ご、強引に……や、やめなさい!うわぁぁぁあああ!!』


イリスの絶叫の後……()()は繭から現れた。力強い翼と尾、そして、真珠色ともとれる美しい瞳と鱗……。


「るるなちゃん、すごいね……」


「ボクもそぉーもぅ!てか、もしかして強くなったぁ!?」


「う……出鱈目にも程があります。まさか強引に出してくるとは……。はぁ、こうなったら致し方ありません。そなた等の“お願い”を聞き入れると致しましょう」


そして繭の中から出てきて更に美しく感じられる声を俺達の耳に残しながら、彼女は語った。


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


「ええ、本当に……」


「はぁ……。これで、ピアナ様をお救いする事が出来ます」


「本当だね……」


ふぅ、これで一安心といったところだろうか。


「ですが、まだそれまでには余裕があります。して、人間の勇者よ。この世界について、私が知っている範囲の事を教えましょう」


「ほ、ホントですか?是非お願いします!」


折角起きたからには暇を持て余すのも嫌だ、という事なのだろうか。兎に角、善意は受け取っておくほかない。


「では、先ずそなたの隣に立つ少女……忌み子について話すとしましょう」


「へ……」


イリスの言葉に、ルルナは不安そうな声を上げた。


「未だそやつの隣にいるという事は、そなたは忌み子について知らない、という事なのでしょう?」


「ええ、まぁ……」

「……ゃ」


「ならば良いでしょう。忌み子というのは……」

「……いやっ……」


「忌まわしき悪魔が、気紛れに人界の女性を襲って出来た悪しき子供の事なのです」

「いやあぁぁぁぁぁあああ!!!!」


ダルアスの熱い内部では、悪しき、と呼ばれた少女の絶叫だけが、ただただ遠くに反響しているのみであった。


……異世界生活69日目、未だ終わらず。

諸事情により、第1章に世界観(?)解説を入れたいと思います。完成し次第すぐに投稿するので、是非ご一読下さいませ。

……というか、読んだ方が以降の(第4章予定)ストーリーをお楽しみ頂けると思うので。説明不足で申し訳ありませんm(_ _)m。

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