番外編 決意と不安(ピアナ)
ピアナ目線の物語は……あれ?初めてでしたよね?
兎に角、ピアナ目線の短い物語となっております。
行っちゃった。
私は引き留めたい思いをぐっとこらえて2人を見送った。
それにしても、自分を大切に、か。昔のルルナだったら絶対に言えっこない言葉だなぁ。
ルルナも、ヒロミ君と過ごす内に変わって行ったんだろうな。……心の底から。私なんか彼に励まして貰っても、何にも変われなかったのに。
「はぁ……」
こうやって、離されていくんだろうなぁ。私も、変われたのかなぁ……。
けれど、2人に教えてもらった事は、忘れてない。それに、この心のあったかさも……。
「会いたい」
もう一度、今すぐにでも。2人とも、独り占めしたい。大好きな2人に。愛してる、2人に。
……でも、愛してるのは、2人だけなんだよね、多分。今はもういない父上を合わせても、たったの3人。だけど……。
ルルナに言われて、自信がついた。私を大切に思ってくれてる人は、それよりもずっと多い。
そして彼等の上に立つ者として、私も彼等を愛さなければならない。少しずつでも良いから、そうしないと、みんなが幸せになる事なんて、無理だから。
「愛を……」
注ぐんだね。今は私を単なる都合のいい存在だと思っている人は少なくない。彼等が提示した契約内容を確認しても、それはよく分かる。
けれど、ちゃんと使命を果たしていれば、みんな分かってくれる筈。だから……私も、頑張る。
「だけど……」
どうしても愛す事の出来なさそうな人が、1人だけいる。何故なら、彼女が私を憎んでいるから。
表面上の態度は愛そのもの。だけど、ちゃんとその憎しみは外に漏れて……いや、私にきっちりと向けられている。
私も出来る限り大事にしようと思ってる。だけど、伝わらない。それは……やっぱり、権力とか、そういうのが原因なのかな、とは思うけど、それでも割り切る事は出来ない。ちゃんと関係は本来あるべきものでありたい。
ましてや私は今や女王。会う機会こそ少なくなっているけれど、感じる憎しみは前にもまして強くなっている。
「はぁ……」
どうしたら良いのかは分からない。どうしたら、セインと仲良く出来るのか……。
でも……。前に、ヒロミ君に慰めてもらったように、或いは、今日ルルナに教えてもらったように……そして、今自分が誓ったように。一歩ずつ歩んで行きたいと、そう思った。
「ふわぁぁあ」
眠気が私を襲う。いつもなら、まだ未だ書類の山と格闘していた筈の時間。だけど……。
「えいっ!」
私は思いっ切りベッドへと飛び込んだ。ふかふかなベッドの柔らかさが、大好きな2人の優しさのようで、自然と身体の強張りをほぐしていく。
「……おやすみなさい」
私は愛する2人へ……これから愛していくであろう国民や、セインへと、今日最初で最後の挨拶をし、温かくて優しい暗闇の中へ、意識を手放した。
もう、父上の夢も、重圧に潰れる夢も、見る事はなかった。
第1章と同様に、登場人物の紹介だけ済まして第2章を締めさせて頂こうと思います。




