第97話 港町に迫る大津波! Eランク釣り師、女神と力を合わせて海を救え!(9)
「釣りっていうのは、魚を釣り上げるだけじゃない。水の中にいる相手を感じ取って、糸を通してつながることでもあるんだ!」
俺の中で、何かがつながった。
前世で何度も経験した、あの感覚──
ルアーに魚が触れた瞬間──
竿先に伝わる、小さな振動──
魚がどちらへ走ろうとしているのか、どれほどの力で引いているのか、目に見えなくても、糸を通じて伝わってくるものがある。
ならば、この異世界でも同じだ。
俺は、魔力ラインを海へ伸ばした。
波の内部を探る。
水の流れを読み、魔力の偏りを探す。
そして――。
「見つけた!」
波の中心。
そこに、巨大な魔力の塊があった。
しかも、その魔力は、海底神殿と同じ紋章を持っている。
「キュモポレイア! 波の中心を見つけた!」
「何じゃと!?」
「海底神殿の魔力とつながってる! でも、これを引き寄せるには、もっと強い力が必要だ!」
キュモポレイアは、歯を食いしばりながら叫んだ。
「ならば、わらわの魔力を貸す!」
「いいのか!?」
「構わぬ! そなたを信じておる!」
その言葉と同時に、女神の手から青い光が放たれた。
光は俺の竿へ流れ込み、リールが激しく回転し始める。
《カチカチカチカチカチッ!》
竿が大きくしなった。
まるで、海そのものが掛かったかのようだった。
「うおおおおおっ!?」
腕に、凄まじい力がかかる。
足元の石畳が砕けた。
俺は歯を食いしばり、竿を支える。
波の中心にいる何かが、こちらの存在に気づいた。
そして、反撃してきた。
海面が爆発した。
水柱が何本も立ち上がり、港の防御陣を叩く。
「きゃああっ!」
「防御陣が!」
魔導士たちが悲鳴を上げた。




