第79話 Eランク冒険者、潜水艇を作る!?(19)
キュモポレイアが満足げにうなずいた。
「(うむ。なかなかの成果じゃ)」
「(訓練って、こういうことだったのか?)」
「(もちろんじゃ。水中での感覚を磨き、魔獣を探し、釣り上げる。そなたの能力に合った訓練じゃろう?)」
うむ、確かに……。
ただ泳ぐだけより、ずっと実戦的だ。
俺は女神に向かって親指を立てた。
「(今回は、ありがとう)」
キュモポレイアは、一瞬だけ目を丸くした。
それから、照れくさそうに笑った。
「(ふふん。わらわを誰だと思っておる!)」
その直後──海底の砂が、突然、大きく巻き上がった。
俺たちの足元を、巨大な影が横切る。
「(……新作)」
キュモポレイアの声が、低くなった。
「(今の訓練は終わりじゃ)」
俺は竿を握り直した。
「(何かいるのか?)」
「(うむ。しかも、少々厄介なものがな)」
珊瑚礁の奥から、巨大な甲殻を持つ魔獣が姿を現した。
全長は三メートルほど。
甲羅は黒紫色……。
左右のハサミには、赤い魔力が流れている。
そして、その頭部には、見覚えのある紋章が刻まれていた。
【三叉の槍】
海底神殿と同じ紋章だ。
『魔獣を確認』
『種族:アビス・クラブ』
『危険度:C』
『注意:古代遺跡由来の魔力反応を確認』
「Cランク……!」
俺は息をのんだ。
Eランクの俺が、正面から戦う相手ではない。
しかも、あの紋章……海底神殿と関係があるのは間違いない。
アビス・クラブは、俺たちを見つけると、巨大なハサミを振り上げた。
水が震える。
次の瞬間──鋭い水流が飛んできた。
「(新作!)」
キュモポレイアが叫ぶ。
俺は横へ飛び退いた。
水流が、さっきまで俺のいた場所を切り裂く。
砂が舞い上がり、珊瑚が砕けた。




