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八十二:出産





「・・・みんな、落ち着いた?」



あれから暫く経って、アタシはようやく落ち着きを取り戻して、微笑み合ってる嫁に確認を取る。

にっこりまったりムードで顔を上げる嫁達に、こんなこと告げるのは苦しいが、いかんせん時間がないから、仕方ない、よね。


「みんなに、聞いてほしいことがある。アタシ達の種族の、出産とかについて。」


真面目に切り出すと、メシアが、あっ!?て顔した。

やっぱ、忘れちゃってたよね。


「アタシの種族は、多分他の原種よりも血が濃く強い。だから、これからの出産ペースとかがアタシ寄りの種族の方法となるから、【これから】の展開が結構早いんだ。」


頭に?マークつけている他の嫁が、理解して真剣に聞き出した。


「まず、胎児が糧にするのは、アタシ達の魔力。これは他の種族と変わらない。だけど、相当に膨大な量を喰らうから、その供給をがんばらないといけない。」


主に、アタシの理性が、だけど。


「そして、最初に産まれてくる姿は卵の状態だ。その卵の状態で、更に殻を割って外に出てくるまで、同じように魔力を与えなければならない。

そして。

殻から出てくるまでが、大体、今日から数えて一週間後くらいだ。」


「ちょっ・・・一週間!?早いね!?」


クロムの突っ込みはごもっともだが。


「うん。短期決戦じゃないと、母体が危険になる。」


アタシがそう言うと、何か考えてたセエレが口を開いた。


「ご主人様、膨大な魔力を与える、と仰いましたが、それはどのように?長期的にゆっくりと与えるのは無理なのですか?」

「ああ。アタシの種族は、遠い昔に読んだ過去の情報では、卵自体の魔力を吸い取る力が強すぎて、それに抗って少しずつ与えた場合、途中で卵が死に、結晶化して空に還るそうだ。普通、といっても皆からしたら過剰、に与えた場合、産まれるまで3日、孵るまで入れると一週間くらいだな。」

「なんと・・・。それでは、膨大な魔力は、どのようにして出せば良いのでしょうか?自発的としても、一週間は流石に無理でしょう?」


ああ、やっぱセエレも突っ込むよね、そこ。

どんな魔族でも、意識的に放出し続けて、もって3日でぶっ倒れるもんなぁ。

あからさまに言うべきか・・・うーむ。


そんなん悩んで言い淀んでたら、メシアが口を開いた。


「えっとね、まず、頑丈な結界を姉さまが張って、それで、その、その・・・魔力で中をいっぱい満たすの。」


うん、がんばってくれてありがとう、メシア。

ここからはアタシが説明するわ。


「うん、で、膨大な、特濃な魔力が自然に出る行為をアタシ達がするんだが・・・生物達は、何をしたときに一番無意識に魔力を放出すると思う?」


すると、セエレは少し考えてから、あ、という表情になった。


「それは、交尾をするということ、ですね?」

「ずいぶん、ストレートだな!?でも、正解!」


うわあ、正解って言った途端、メシア以外の嫁の顔がデレ状態になったよ。

その行為自体が結構な地獄なんだけどな。


何て思ってたら。


「みんな、聴いてほしいの。

あんなに気持ちいいのが、更に凄くなって、一週間も続くの!メシア達、姉さまのお嫁さんは、がんばって発狂しないようにしなきゃならないの!!凄く大変なのよ!?」


最後らへん、泣きそうになりながらメシアが叫んだ。


「あ~、さっき言った、母体が危険ってのが、それで。まあ、確かにソレのせいで大昔は失敗して、発狂したり色情狂になったり、嫁さんが壊れることがあったみたいだけど・・・でもそれって、嫁さんが耐えられなかったこと以外に、旦那側がやり過ぎたって事もあるんだ。だから、アタシも理性を失わないように、がんばるから、安心して。」


少し不安げな表情の黒呼やクロムも、アタシの言葉で安心したのか、期待を込めた目で見つめてきた。

なお、セエレは強めな通常営業で、既にうっとりしてる。


「俺は、別に、フミエの側にずっと居れるなら、狂ったって構わない。それに、夢と違って、凄かったから、もっと、ほしい。」

「うん、僕も、がんばるから、いっぱい愛して、子供産ませて・・・?」

「セエレは、ご主人様のものです。全て、ご主人様に委ねます。それに、私はご主人様にしか、狂いません。」

「うん!メシアもがんばるから、姉さま、お手柔らかに、ね?」




・・・・くぅっ!!嫁が、可愛いッッッ!!!!


一瞬、萌えまくりになったが、実はこんなんで時間使ってる場合ではない。

やることやってから、戦場へゆかねばなるまい!



「よし!じゃあ、まずは準備してからだな!」


アタシは有無を言わさず、1人ひとり嫁を抱えて階下へ降り、風呂へレッツゴーした。


なお、他に量産した分身により、部屋の清掃やら簡単な軽食やらを準備し、

他に、お昼に帰ってきた皆の為にランチを用意して、よっすぃ~&月呼宛に書き置きをひとりお留守番の琥珀へ託した。


そして、お風呂上がりの嫁を連れて寝室に戻り、とりあえず軽食を食べ、黒呼やクロムの職場に休暇の連絡と、嫁自身の身支度を済ませてもらった。



もちろん、その間に声も魔力も外に漏れない様な、対出産用の結界もしっかり張ったので、準備万端!



事が始まる前に少しだけ、腹ごなしに優しいティータイムを過ごしてから・・・・





「さて・・・準備は、いいか?」


相手が正当なる嫁達となったからこそ、新月以外でも、ヤる気が出てる事に自分自身安心しつつ、嫁を組み敷いて問えば笑顔で頷かれ。


最大級の快楽、悦びの宴、開始となった。



夜とは違い、日の光の元で見つめる嫁の痴態は凄まじく。

昨晩、本当の嫁になった証が、4人全員の首もとに浮かぶ様は、アタシを非常に興奮させた。

直ぐにでもブン投げたい理性を我慢して保ちつつ、もちろんヤバくなったら、もうひとりの分身にドツかせ、ものすごく特濃な魔力渦巻く空間にて、3日3晩とにかく睦みあった。


そして。


意識が朦朧としている嫁達が、掌より少し大きいくらいの卵を全員無事に産み落とし、その卵達が魔力を吸い易い様に準備していた棚に鎮座させてから、再び宴へと戻っていく。


お腹の中に卵がないぶん、深く快楽を味わい、まあ、いささかやり過ぎた感は否めないものの、もう半分の過程を何とかこなしていったのだった。



そして、懐妊してから一週間後。


正直、喉が潰れて、微かに呻くくらいしか出来ない嫁を抱き起こし、その目の前に、ものすごく大きくなった卵を配置する。

嫁達は、身体に力が入らないからか、掠れた吐息と、卵に手を伸ばす仕草をし、あとは卵を見つめていた。


つーか、よくこれだけ魔力吸って大きくなったなぁ!?というぐらい、個々が大きい。


そして、中から殻を突き破ろうとする大きな音も聴こえてくる。

いや、これ、むしろ・・・



アタシは無言で、一つ一つの卵の廻りに更に結界を張った。


卵の中の子供達もそれを察したのだろう。


突如として、中で暴れる音が大きくなった。


暴れるっつーか、むしろ、黒い雷とか、光の炎とか、尋常じゃない大技出してないか!?


そして。


ーーーバギィィィ!!


「「あ・・・・」」


一番最初に、アタシとメシアの卵が二つとも割れて、中から黒・白の翼を持つ子供が、いや、既に高校生くらいの姿を持つ子が、産まれたのだった。


「ね、さま、う、まれ、た」


カッスカスの声で、メシアが喜びを表す。

でも、先ずは。


「・・・眠れ。」


アタシは子供達に眠りの魔術をかけ、防音の術もかけた上で、メシアの側に連れてきて、寝かせた。


「名前決めるまでは、このまま、な?」

「あ・・・そう、ね、でも、よかっ、た。」


一瞬不思議そうだったが、アタシの言葉を聴いて府に落ちたメシアは、そのまま双子の髪に触れたりして、幸せそうに微笑んでいた。



その後、相次いでセエレ、黒呼、クロムの子供達も産まれ、同じ処置をし、側に寝かせる。


成し遂げた安堵からか、嫁達は子供達に少し触れてから、そのまま気絶してしまったみたいだ。


なので、アタシは全員をその姿のまま空間に浮かばせて、お布団を綺麗にし、空気も綺麗にし、割れた殻も掃除して収納してから、ベッドの上に嫁と子供を下ろした。


その後、気絶している嫁達の身体の回復と、全員に簡単な寝間着を着せて、アタシも見張りを残して眠る事にしたのだった。





それから、暫く経って。



先に目を覚ましたのは、やはりアタシだった。


美味しいお水を飲んでから、嫁と子供を見つめる。


なんだろう。


結婚する前は、あんなにもぼんやりした感情だったのに、今はこんなにも、愛してるって嫁達に対してハッキリ思える。


現代日本で人間だった時は、1人だけ愛するって思ってたのに、魔族に戻ったら、こんなにも、意識が変わるものなのか。


ふと、そんな事を考えて苦笑した。


でもなぁ。


嫁達がみんな、純粋にアタシを好きだって思いを寄せて必死になって、嫁になるって言ってくれて。


各々で個性的な愛情表現で、真っ直ぐアタシに向かってきてくれたからこそ。


日々過ごしていく中で、アタシも嫁達に側に居てほしい、失いたくない、誰にも渡さない、好きだって思ってたのは事実だから、こうなるのは当たり前なのかな?


それに、子供も産まれて、アタシはすげー幸せだ。



あとは、目覚めた嫁達に異変がない事を、確認しなきゃな。



念のため、子供達一人一人に結界、というよりはバリアのようなものを張り、今一度、深く眠るような術と防音の術をかけて、アタシは嫁達が目覚めるまで、考え事に耽るのだった。







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