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「知らない番号」

「これ……知らない番号から」

母親の声が少し硬い

凛の呼吸が浅くなる

リビングの空気が急に重く感じた

「……何て来てるの」

掠れた声で聞く

母親は一瞬迷ってから、画面を見る

「……“スマホ返してあげて”って」

凛の血の気が引く

短い文

でも

それだけで十分怖かった

母親も表情を強張らせる

「番号、知らない」

当然だった

でも

タイミングが悪すぎる

凛はソファの端を握る

スマホを預けた直後

まるで見ていたみたいだった

そのとき

インターホンが鳴る

ピンポーン

凛の肩が跳ねる

母親も固まる

夜の家に響く音が、やけに大きかった

数秒

誰も動けない

もう一度

ピンポーン

凛は息を止める

「……お母さん」

声が震える

母親はすぐ玄関へ行かず、モニターを確認した

映っていたのは

一ノ瀬

神谷

凛の体から一気に力が抜けそうになる

母親も小さく息を吐いた

「びっくりした……」

玄関を開ける

「すみません、これ」

一ノ瀬がコンビニ袋を持って立っていた

「凛、今日ほとんど食ってないから」

神谷も後ろで軽く頭を下げる

凛は呆然と二人を見る

さっき別れたばかりだった

「……え」

一ノ瀬が少し気まずそうに視線を逸らす

「駅前で買ってたの忘れてた」

コンビニのおにぎりと飲み物

本当にそれだけ

でも

その普通さに、凛の緊張が少し緩む

「……ありがとうございます」

小さい声

神谷が凛を見る

「ちゃんと食べて」

静かな声

その瞬間

母親のスマホがまた震えた

全員の空気が止まる

母親がゆっくり画面を見る

新しいメッセージ

《その人たち、また来た》

凛の呼吸が止まる

《安心する?》

玄関の空気が、一気に冷えた気がした

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