第10話 俺、異世界で赤に染まる
HPは残り2で止まっていた。本来ならランク1なんてオークの攻撃をくらえば即死だったはずだ。女神様お手製のドレスのおかげで助かったのだがどうせなら、なにも効かないような無敵ドレスにして欲しかった。もし、そうであったならアスティナのドレスに穴が空くこともなかったはずだ。
「はは、俺はどんだけアスティナが好きなんだよ・・・」
「初級ポーションはあれで最後なの・・・、ごめん、ごめんねアスティナ」
「気にするなって、さっきも言っただろ・・・」
例え初級ポーションがあったとしても、この傷では助からないと直感で理解できた。それは道中で飲んだ初級ポーションで効果を知っていたからだ。俺はそんな彼女を落ち着かせるために、頭を撫でてあげた。
「あっ、ごめん・・・エリン血がついてる方で撫でちまった・・・」
「ふふ、そんなこと気にしないで、洗えばすぐとれるわ・・・」
どんなことがあってもエリンだけは助けることを再度、自分の心に刻み込み、俺は血狂いの乙女を発動する決意をした。俺のHPはまだ2残っている。これならこいつの発動条件は問題ない。ただこれを使ったら、俺は間違いなく死ぬだろう。
だってそうだろ、HPを半分支払うってことはもうHP1だぜ。そして俺の腹から絶賛出血中、これはもうあとは出血死一択だろうよ。それでも清々しいほどに死の恐怖を感じない。俺は今度は笑顔で彼女に向けて話しかけた。
「それじゃー、エリンちょっとあの豚さんを倒してくるわ」
「一緒にいるって、フォレストエルフに誓ったんだから、わたしも行くわ!」
「だから、それなんなんだよ・・・、だけど、ありがとうなエリン。でも、それはダメだ・・・」
そういうと俺はエリン対してある能力を発動した。
「眷属の魔眼!!」
ちゃんと効果が発動しているようだ。なぜなら急にエリンが人形のように動かなくなったからだ。
「エリン全力でオークから逃げろ!!」
正直なところこんな命令をしたところで彼女が生き残れるかは分からない。ただ目の前で死んでほしくないという俺のエゴだ。それでも彼女といた6時間は、俺があっちの世界でも得られないほどの感動を与えてくれたことは確かだ。あ、やっぱ一番はアスティナだな。
「さて、俺の推しカードの能力を見せてやる!!」
「血狂いの乙女!!」
そう口に出した途端、俺は大量に吐血をした。いやいや、もう腹からも血が出てるのに口からもとかなにこれ。すると、その血が急に動き出し魔法陣に変化していった。
「この能力って、本当はこんなにグロい感じなのかよ。テキストだと相手フィールドに存在するクリーチャーカードを全て破壊する。だけだもんな・・・それにあれ、不死族よりもどちらかというと魔人族っぽい見た目なんだよな・・・」
その魔法陣からは見たこともないクリーチャーが現れたのだった。そして感想を述べたところで、俺の意識が途切た。
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