宇宙のゴミ拾い、世界最強を拾う!?
主要キャラクター設定
ルカ(17歳):
宇宙のジャンク屋。
愛機はボロい小型作業艇。
機械の修理が天才的に得意。
口は悪いが面倒見が良い。
アイリス(外見16歳):
古代帝国の超弩級戦艦『アヴァロン』のコアAI。
ホログラムや端末ロボットで美少女の姿を取る。
軍事戦術は天才的。
私生活の常識はゼロでドジ。
「おいおい、冗談だろ。今月のノルマまであと三〇〇ガバス足りねえんだぞ」
ルカは私物化している小型作業艇のコックピットで、モニターを叩いた。
映し出されているのは、レーダーの虚しい静寂。
ここは放棄された旧大戦のデブリ海域、通称『星の墓場』だ。
一七歳のジャンク屋が一人で稼ぐには、あまりに過酷で、あまりに実りのない虚無の空間だった。
ピピピッ。
突然、ポンコツのセンサーがけたたましい警告音を鳴らす。
「……ん? デブリの影に、何かあるな」
ルカは器用にレバーを操り、作業艇のマジックハンドを伸ばした。
回収したのは、錆びついた円筒形のポッドだ。
表面には、現代の連邦技術では見られない、流線型の未知の紋章が刻まれている。
「ロストテクノロジーの遺物か? 運が向いてきたじゃねえか!」
期待に胸を膨らませ、ルカは強引にハッチのロックをスパナで叩き割った。
プシュー、と数千年もの間閉じ込められていた空気が抜ける。
直後、眩い光がコックピットを満たした。
光の粒子が空中へ集まり、一人の少女の姿を形作っていく。
銀髪のツインテールに、軍服を模した白いドレス。
人形のように整った顔立ちの少女は、ゆっくりと瞼を開け、ルカを凝視した。
『――遺伝子パターンの照合、完了。あなたを我が主と認識します』
「うおっ!? 喋った!?」
『自己紹介を。私は旧帝国製超弩級戦艦〈アヴァロン〉の統括制御AI、アイリスです。さあ、私に命令を、マスター』
少女――アイリスは、凛とした声で胸を張った。
伝説の古代戦艦のAI。それが事実なら、銀河の歴史がひっくり返る大発見だ。
だが、感動の余韻に浸る時間はなかった。
アラームが赤く点滅する。
バックミラーに映ったのは、無骨な装甲を施した三隻の宇宙海賊船だった。
「チッ、ハイエナどもが……! お前を狙ってやがるな!?」
『迎撃します。マスター、私に〈アヴァロン〉の起動承認を』
「起動って、どこにそんなもんが――」
ルカが言いかけると、窓の外の景色が歪んだ。
すぐ目の前にあった巨大な小惑星の表面が剥がれ落ち、漆黒の装甲を持った全長数キロメートルの巨艦が姿を現したのだ。
ルカの作業艇は、自動的にその格納庫へと吸い込まれていく。
『主砲、オンライン。エネルギー、チャージ。消し飛ばします』
アヴァロンのブリッジに転送されたルカの目の前で、アイリスが堂々と手を掲げた。
眼前に広がるのは、宇宙海賊の艦隊。
アイリスの瞳が戦闘モードの赤に染まり、絶対的な強者のオーラを放つ。
「いけ、アイリス! ぶっ飛ばせ!」
『了解。波動収束砲、発射――』
ズドォォォォン!!
宇宙空間を切り裂く、圧倒的な閃光。
古代の超技術が放った一撃は、海賊船三隻を跡形もなく光の塵へと変えた。
「す、げえ……! これが古代の戦艦……! 俺たち、これがあれば銀河の覇者になれるんじゃ――」
ルカが興奮で拳を握りしめた、その時だった。
パツン、とブリッジの全電源が落ちた。
非常用の赤いランプだけが、怪しく明滅する。
「おい!? なんだ、何が起きた!?」
『あ、あれ……? おかしいですね』
さっきまでの凛々しさはどこへやら、アイリスは自分の頭をペシペシと叩いている。
『マスター、大変です。前主が燃料タンクを空っぽにしたまま放置していたようです。現在の残量、コンセント一本分です』
「は?」
『つまり……次に主砲を撃つどころか、エンジンをかける燃料もありません。あ、エアコンも止まりますね。テヘッ』
アイリスは、照れくさそうに首を傾げてウインクしてみせた。
「テヘッ、じゃねえよ! ここ宇宙のド真ん中だぞ! 燃料の『エーテル結晶』なんて、ジャンク屋が一生かけても買えないくらい高いんだぞ!?」
『大丈夫です、マスター! 私、家事のサポートもできますから!』
そう言って胸を張った瞬間、アイリスのホログラムが盛大にバグり、彼女は自ら用意したお茶を盛大に床へこぼした。
「……おい、お前、もしかして戦闘以外はポンコツなのか?」
『ポンコツとは心外です! ドジっ子と呼んでください!』
銀河最強の戦艦と、その頭脳であるポンコツAI。
そして、それらを拾ってしまった貧乏な少年ルカ。
彼らの、財布と命をかけた宇宙サバイバルが、今ここに幕を開けたのだった。




