01 ゲオルグは軍事顧問官
21歳の誕生日を迎えた、宇原康太は突如走行していた自動車に巻き込まれた。康太は自動車に吹き飛ばされ、康太の命は跡形もなく消えてしまった。
「康太、どうして康太が……」
棺桶に納まれた康太の遺体に両親はすがって泣き続ける。
親戚一同は、康太の両親を慰める。しかし、慰めようとする親戚の顔は誇らしげではなく、むしろ冷ややかな顔を見せる。
「康太は、無職だったんでしょう。大学受験に失敗して」
親戚の一人、康太の母親のおばにあたる友利は冷たい言葉を刺す。
「康太は私たちの息子よ!そんな事言わないで」
康太の母親は、泣きながら大声を放つ。
◇◇◇
「あれ?ここどこだ?」
康太は辺りを見回す。
冷たい土の壁。外からやってきた涼しい風が頬をなでる。康太の眼前には『軍事天巡局』と書かれた大きな建物がずっしりと構えている。
「おはようございます!ゲオルグさん~」
康太のもとに、小さな女の子がやってくる。
「ゲオルグ?誰だ?」
康太はすっとぼけている。
「ゲオルグはあなたのお名前ですよ。もしかして自分の名前すら忘れちゃったんですか?」
康太は納得しがたい感情に包まれる。
「そ、そうなのか……」
「君の名前は?」
ゲオルグは、背の小さな女の子に問いかける。
「私はシジスです!」
「もう一つ聞いてもいいか?」
「構いません!」
「僕はどこにいる?僕は一体何者なんだ?」
「今私たちがいる場所は、『軍事天巡局』という軍事の中枢にあたる施設の目の前にいます!」
「そして、ゲオルグさんは軍事天巡局の軍事顧問官です!」
「軍事顧問官?」
シジスは、腰に携えている大きな書物を読み始める。
「軍事天巡局における軍事顧問官は、かなり高い役職のひとつです!」
「ほ、ほう……」
「シジスがこの王国を案内します。ついてきてください!」




