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聖女じゃなかったので、翻訳チートで商人通訳として生きていきます!  作者: 角まがり


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じゃない方と伯爵 (1)

今日も読みにきてくださってありがとうございます!


その人物は、どかっと椅子に座りながら


「俺はアデル・モンテーロ。この地の領主だ。お見知り置きを、じゃない方のお嬢さん?」


そう言ってにかっと笑う渋めのジェントルマン。


未亜は頭の中がパニックだった。


(りょ、領主様!!まさかの自らご登場!)


ひとまず挨拶を!と思い


「は、初めまして。未亜と申します。」


思わず日本式で前で手を揃えてからぺこりとお辞儀をしてしまう。


「ミア嬢か。いい名だな。やっと名前が知れた。」


そうやって屈託もなく笑う姿を見て少し緊張が解けてくる。


「あ、あの。誰かお探しでしょうか。必要ならお呼びいたしますが...」


領主に呼びつけられたら、誰でも仕事を放り出してやってくるだろう。


ん?

そう言って少し考える素振りをした後、


「いや何、王宮で噂の『じゃない方』が我が領地に住まいを移したと聞いてな。一度会っておきたかったんだ。」


「王宮も教会も手玉にとり、尚且つうちの領地の出世頭とも言えるこのリオ・ソラル商会長が虜になっていると聞けば、誰でも興味が湧くだろう?」


そう言ってウインクを投げてくるイケおじに、


「て、手玉に取るってなんですか?人聞きの悪い!そんなことしていないですし、会長も虜になったりはしていません。」


そう言い返すミアの目をじっとみた領主様は、


「ふむ。分かっていてそうしたわけでは無さそうだな」


「なんのことですか?」


「いやなに。どうやって、この町であるマルティナにくることに決めたのかと思っていてね。」


「海が綺麗そうだったので、海の幸が美味しいところにしたいなと思って。」


そうやってふふふと笑う。ここ数日は魚介類が続いていたので、今晩あたりお肉が食べたいなぁ。などと不謹慎なことを考えていたら


「なるほど。ミア嬢。ミア嬢はなんの気無しにこの地を選んだのかも知れないがこの土地はこの国の考え得る土地のなかで一番ミア嬢に合っていると言っても過言ではない、のだよ」


そう言って人差し指を立てる。

「まず、マルティナは貿易の要であり、防衛の要でもある。ここを抑えられると流通が滞り、他国の軍が国の中枢に侵攻することになる。よってこの地を治める俺は、同じ貴族のなかでも王宮内で力を持っているし、どの派閥にも属してもいない」


「次に」

そう言って徐ろに中指もあげ、ピースサインを作り

「次に、聖光教会だが、この地は聖光教会の女神を信じるものが少ない。王都から距離があるというのもそうだが、この地は元々海の神、アルテナの信仰が盛んでな。聖光教会のようなぽっと出の女神信仰は浸透しにくいのだよ。」


確かにこの地にある聖光教会の教会は街の外れにあるかなりオンボロなものだ。人も少ないから今日みたいにリックは呼び出されることもしばしばある。


「よって、ミア嬢、君が選んだこの街は王宮からも国教からも一番遠い場所なんだよ。君は無意識のうちに、この王国の中で一番自分の身を守れる場所に自分を誘ったんだ。」


そう言ってミア嬢の背中をバシバシと叩く。なんとも豪快な領主である。


「『じゃない方』がくると聞いてからは、こちらも準備をかなりしていたのだが...まさか何も言わずに入領し、一軒家で3人暮らしをしているなんて考えもせず!あれよあれよと仕事が決まり、しかもその通訳の技術もピカイチと聞く。これは一度会ってみなければ!と思うのは自然なことではないか?」


そう言い切ったあと


「だから今日は会えてよかったよ。」


笑顔でそう言われると免疫がない未亜は顔が真っ赤になってしまう。


「あ、あの...」


未亜が言葉を返そうとすると


「あっれー、おやっさんじゃん!」


ディオゴが元気よく扉から入ってきた。


「どうしたの?こんなに朝早くにうちの事務所なんかで」


そうやって気軽に領主様に声をかけるディオゴにハラハラするが、向こうは慣れているらしかった。


「いやなに。ちょっと時間ができたのでな。お前らの自慢の通訳士に挨拶でもと思って。」


そうやってウィンクをこちらにする。全てが様になるのだから困ってしまう。


「あとは、1つ確認しておきたいことがあってな。ヴィセンテはいるか?」


そう言ってさっきまでの優しい雰囲気から急にシリアスな雰囲気に切り替えて領主様はディオゴに声をかける。


それを受けてディオゴも

「もしかして例の件?何か進展あった?ヴィセンテなら後10分もしないうちに事務所来るはずだよ。今日は港での予定がないはずだし...」


そう言ってディオゴがちらっと未亜の方を見る。


(あ、これ私が聞かない方がいいやつだ、きっと。)


「あ、あの。私、多分お邪魔ですので、別のところで仕事していますね。」


そう言って、自分の机の上のものを移動させようとした時、領主様はにやりと笑って


「いや、ここにいてもらおう。もしかしたら我々だけでは気づけないことに気づくかもしれん。」


なんとなく、未亜は嫌な予感がしていた。体中が警告を発し、背中には嫌な汗がツーと伝って来る。


(耳を抑えて聞こえない振りできないかなぁ)


そんな未亜の現実逃避とは裏腹に領主様はいきなり爆弾発言をする。


「実は、最近、贋金問題で困っていてな...」


はい!?贋金問題?


また少しずつ事態が動いていきます!

良かったらブックマークしてお待ちください。

次の投稿は来週の水曜午後7時の予定です!

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