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「早乙女の本性」

 俺は裏切られたのか?

 一緒に世界を創ろうと言われたのに。


 俺はあいつに……早乙女に、騙されていた。

 でも、不思議と憎しみはない。

 俺の人生はクソみてぇだったな。

 何かを成し遂げたわけでもなかった。

 早乙女っつーバケモンと出会ってから目標は出来たわけだが、それを夢半ば。


 これが、走馬灯か。

 走馬灯を知ってはいたが、見たことはなかった。

 無数の光が俺の目の前に現れ、その光がずっとずっと、遠くに移動していく。


 それを追いかけていくとあの時、この時に起きたありとあらゆる出来事が浮かび上がって来た。


 早乙女との出会い。一条との喧嘩。赤城との対決。

 EW攻城戦……


 最近起きたことはぁ、どれも刺激的だった。

 だけど、やり残したことはいっぱいある。

 

 早乙女と新世界をまだ創ってねぇーし、一条をフルボッコしてやってねぇー。


 まぁ、一番の心残りは母親への恩返しかなー?

 俺は迷惑ばっかかけてきたな。

 あぁ〜、最後に恩返ししてやりたかった。


 俺の人生は後悔だらけじゃねぇーかよ。

 そんなもんだろ。早乙女に暗殺されたんだから。


 早乙女、お前の決断のせいで俺はやらなきゃなんなねぇことが山積みのまま、死んでしまった。

 だが、それを恨む訳じゃない。俺はお前に命を捧げるとあの日、あの時に決めたんだからな。

 お前はどれだけの犠牲を払ってでも新世界を創ってくれ。


◯ ◯ ◯ ◯


「ふふふっ………ふふふっ……ふはははははは……!!」


 赤城は、腹を抱えて大笑いした。

 その笑い声はまさに魔王。

 畏怖する、その笑い声は僕の心に強く響く。

 

「君、相当ぶっ飛んでるねぇ。クラスメイトを殺すなんて、信じられないよ!!」


 随分と楽しそうな赤城。僕は君と違って、愉悦を求めて殺害したわけではない。歴とした目的がある。


「君と、一緒にするな」


 赤城は地に伏している、黄道の長髪を掴んで上に引き上げた。強制的に上半身は上に引き攣られて腰は反る。


「黄道……!! ”起きろ”」


「……んあ……っ」


 眠たそうに目を手で擦る黄道。やがて、目が覚めると目の前の悲惨な光景に笑みを引き攣られせる。


「……え? 早乙女様がやったの?」


「そうだ」


 黄道は嬉しそうに後頭部を掻いた。


「はははっ……ようやく本性見せましたか」


「元々、隠していたつもりはない。僕は目的を達成するためなら、誰だって殺す」


「……それは、家族もか?」


「ふふふっ……家族は例外だ」


 僕は家族のために平和な未来を築こうと考えている。家族を殺してしまっては目的は破綻するだろう。


「まだまだ、君は甘い。その甘さを捨てなければ俺には一生、届かないよ。守るべきものがいればそいつが足枷になって、自分が弱体化してしまう。そんな奴らは死ねばいい……。早乙女、お前には家族は殺せない。代わりに、俺が殺してやるよ」


「家族を殺せば俺は……リミッターが外れるぞ?」


 リミッターが外れた僕が、どんな行動をするのか赤城はよく知っている筈だ。

 

「俺がやらなくとも……いつか君は”家族を殺す”。何年か何十年、先かはわからない」


 家族を殺す? 何を言ってるんだ、こいつは。 

 僕にとって家族は、一番の守るべき存在。それが無ければ生きることさえ困難なはず。僕がそんな馬鹿なことをするわけがない。僕にとって家族は……◼️◼️なのだから。


「まぁ、本気じゃない今の君と戦っていても埒があかない。引かせてもらうよ」


 赤城は興味が薄れたのか、僕に灰色の目を向けた。

 

「……今更、引く? 東雲の命を無駄にする気か? 僕は東雲の友達だった。ここで総戦力を挙げて、倒させてもらう」


「はぁ……哀れだな」


 今もなお、僕らの兵科は戦を続けている。赤城の方が少し押しているようだ。そこに黄道が加わるとどうなるだろう? 僕の部隊は壊滅の危機に晒される。

 だが、それは東雲の部隊がないと仮定しての話しだ。僕は今、殺した東雲のスマホを手にしている。

 つまり、このスマホを使えば指揮官継承が出来て東雲の部隊も僕が動かせるだろう。


 僕は2つのスマホを合わせた。

 こうすることによって指揮官を継承できる。


「ふふふっ……これで僕が奴らを動かせる」


 赤城は満面の笑みを元東雲の部隊メンバーに向ける。殺気に満ちている眼、そして笑み。思わず逃げ出したくなるだろう。


「”突撃しろ”」


 ドス黒い声。これを聞けば多くのものが恐怖の声を上げて、従う。従わざるおえないのだろう。

 たとえ、この戦いに負けて死んでも僕に殺される方がよっぽどきつい。


「ふはははっ……!! ついに狂ったか」

 

 僕は今、ただの突撃をさせている。兵力はおそらく相手の方が二倍。平地戦ではまず勝ち目はないだろう。だからこの勝負は捨てる。僕の兵士を置いて。


「竜騎士。僕と一緒にこい」


 僕はその場から逃げた。空を高く飛翔し、森の方へと飛行した。森は平地の両端にあり、この奥を突き進むと村がある。当然、激戦区なのでクラスでも有数の実力者たちがここで戦っている。

 


「何故……逃げたのですか?」


 竜騎士が真っ直ぐ前を向いたまま、臆せず尋ねる。


「怖いからだよ」


「……は?」



 暫くすると、森に着いた。森の上には、何体かの竜騎士が攻戦を繰り広げていた。巨大な炎を噴き、鋭い爪で戦うドラゴンは規格外。兵科の中でもトップクラスの強さを誇るのも納得だ。

 だが、竜騎士には弱点がある。それは最強ではないということ。つまり、普通に罠には掛かる。


 ドラゴンを操縦している、騎士を狙えばドラゴンは抑制できず適当に暴れ回る。クラスメイトたち本大勢死ぬだろうが、確かクラスメイトは東の森から村へと向かっていたはずだ。


「指揮官は無能だな……。荒くれ者の竜騎士を全く制御出来ていない」


「早乙女さんは凄いですよね……」


 突然、竜騎士が小言を呟いた。


「何がだ?」


「観察力や分析力がすごく高いですし、高BPである俺たち、竜騎士も制御出来ています。普通じゃあ出来ないですよ」


 一般的には、BPが高いほど制御しづらい。だが、奴らの場合、ドラゴンではなく操縦主の竜騎士を制御すれば容易。


「……とりあえず、森の上の奴らを狙おうか」


 竜騎士は人間と同様の造りになっているので、米や野菜、肉を接種しておけば充分だろう。しかし、ドラゴンはそうはいかない。食事の量が極めて多く、通常ルートでは入手できない。だから、竜騎士を狙ってコントロールを失った、ドラゴンを喰らう算段を立てた。


「三から四体いますよ? 俺が突っ込んでいけば即死です」


「大丈夫だよ、竜騎士。僕に考えがあるから」



 



 


 




 

 





 



 



 

 

読んで頂き、ありがとうございます。

次回は他のクラスメイトたちに視点をあてて、進めていきます



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 基本的に更新頻度は高めなので、ブクマ登録もして頂ければ幸いです。


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