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彼の友人は彼女の敵  作者: 石月 ひさか
ライバル
23/90

3

20時半。


深雪は言われた通り新宿駅の西口前にやって来た。


給料日後だからだろうか。


平日にも関わらず、たくさんの人で賑わっている。


柱に寄りかかりながら、鏡を出して化粧と髪型をチェックする。


今日の服はピンクのデコルテ魅せカットソーに、白いミニスカートを合わせた。


ストッキングにヒールを履いたが、やはり少し寒いので、薄手のコートを羽織って来た。


まだ公一が来る気配はない。


鏡を戻そうとバッグに手を入れた時、スマホが振るえているのに気付いた。


「もしもし。今どこにいるの?」


『駅前だよ。深雪はどこにいる?』


「どこって、私も駅前よ」


言いながら、辺りを見回す。


少し離れた所にスーツ姿の公一がいるのに気付いた。


向こうもキョロキョロと周囲を見ている。


目が合ったが、気付かなかったのか、すぐに反らされてしまった。


「なんだ、すぐ近くじゃない。待ってて。すぐに行くわ」


スマホをポケットに入れ、駆け寄る。


後ろから近付いて手を握ると、公一は驚いたように振り向いた。


「どこ見てるのよ。さっき目が合ったのに」


公一は、ぽかんと口を開けたまま呟く。


「あれ深雪だったのか……。なんか今日は雰囲気が違うな」


「うん。頑張ったから」


普段は比較的膝丈のワンピースを着ている事が多い。


今日は気合いを入れ、少しだけ路線にしてみた。


「似合う?」


「あ、あぁ。なんかちょっとアレだけど……」


言いながら視線を下げた瞬間、強く肩を掴まれる。


「お前、またそんな服着たのかよ!」


どうやら胸元の開き具合が気に入らないらしい。


香ヶ崎は、昔の深雪の事を男だと認識したままだろう。


こうして女である事をアピールすれば、何かの拍子でバレる可能性も薄れると思ったのだ。


「だけど、なんで谷間なんか見せる必要があるんだよ」


そう説明したが、公一は不満そうだ。


「だって、新しく買ったから着たかったんだもの。ほら、行きましょう」


腕を取り、歩き出す。


公一と一緒にいる為、おかしな男に声をかけられる事はない。


だが擦れ違う男達は皆、無意識だろうが胸に視線を落としているのが分かる。


改めて、男は本当に胸が好きなのだなと思った。


公一も周りの視線には気づいているらしく、黙って深雪のコートのボタンを閉めた。



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