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既視感あるくない?  作者: むぅむぅ星人


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第109話「キースの策略」

ーーヴァレン峠・前線拠点。


キースは一つの報告を聞いて驚いた。

『シュヴァルツアドラーの捕虜二人が目覚めた。』


キースは当初二人をアウグスト研究所へ送る事を考えていた。

が、それが破綻してしまった。

「スタビライザー無しで三日で復活か。すげえな。

 しっかし、狙いが外れたな―。」


感心していたキースの所へ、レイがやって来る。

「聞いたか?アイツらもう復活したらしいぞ。

 スゲーな!」

自分と同じリアクションをするレイをキースは呆れて見る。

が、レイを見て閃く。

「レイ、相談があってな。

 ちょっと人気のない所で話そうーー」


そう言いながら、キースは強引にレイを連れ込んで行った。



ーー臨時司令室。


ジェイソン・モリス少将の元へキースとレイが訪れる。


モリスは拠点整備で忙しかった。

「ウォレン少佐か。

 見ての通り私は忙しくてな。」

キースは一歩出る。

「はい。それで捕虜の件で提案があります。」

モリスはパソコンを操作しながら言う。

「目覚めたらしいな。

 彼らに尋問する気か?」

キースは頷く。

「はい。シュヴァルツアドラー中隊員、限界突破……

 彼らの事を調査するなら、自分が打ってつけだと思います。」

モリスは一考の後、答える。

「そうだな。ここはまだ完成していない。

 人員不足でもある。

 この状況だ。敵の情報なども引き出せると好都合だ。

 説得するなら君が適任だろう。」

キースは更に一歩出る。

「では!」

モリスはキースの目を見る。

「彼らの尋問を任せる。」

キースは一礼する。

「賢明なご判断に感謝いたします。

 ヒューマン大尉を補佐に付けるので、ご安心下さい。」


キースとレイはモリスの元を離れる。

キースとレイは一息つく。

「案外簡単に通ったな。」

「あぁ。だけど、これからだぞ。」

「あーあ。これから痛い思いしなきゃならんと思うと気が滅入るなぁ。」

「ごめんな、また付き合わせて。」

「良いって事よ。」



ーー拠点のある倉庫部屋。


簡易尋問部屋として、倉庫の一室が当てがわれた。


エミールとレティシアに対してキースが対面している。


キースが切り出す。

「ホワイトファング隊のキース・ウォレンだ。」

尋問が自己紹介から始まって、エミールとレティシアは驚いた。

「へぇ。アンタがホワイトファングの……」

「なんのつもりだ?」

キースは笑顔で答える。

「身構えないでくれ。これは尋問じゃないんだ。

 ……あと大声を上げないでくれ。」

レティシアは察知する。

「エミール、コイツがミハエルの言う男なら……信じれる。」

エミールは未だ身構えている。

「しかし……彼らは宿敵ホワイトファングだ。」


警戒を解かないエミールに、キースは言う。

「ミハエル・ファフナーの事を話そう。

 PLFに拉致されたが……

 あれは俺が仕組んだ。」

エミールは逆上する。

「き、貴様!

 中佐をあのような悪党に売ったのか!」

レティシアはエミールを抑える。

「待ちな。

 コイツの言う事……最後まで聞こうじゃないか。」


キースはレティシアに頷き続ける。

「先ず、ミハエルはもうすぐ解放されるだろう。

 そして、PLFなんだが…テロ組織じゃない。

 彼らはこの島の平和を取り戻す為に戦ってる。」

レティシアは背もたれに深く体を預ける。

「なるほどねー。

 アイツにPLFの事を知らせる為に、ひと芝居打ったって訳だ。」

キースはレティシアを見て笑顔で答える。

「君は察しが良いな。話が早くて助かる。」

「この子みたいに頭は固くないからね。

 いいよ、続けな。この子はアタシが抑えとくから。」

そう言ってレティシアは、自慢げにエミールの頭を軽く抑え込む。

「くっ!僕を子供扱いするなと……」

「いいから黙ってな。」


抑え込まれて不服そうなエミールを気の毒に思いながら、キースは続ける。

「そうだな。まず君たちが体験した限界突破の話をしとこうか。」

「限界突破?」

レティシアが身を乗り出すと、キースはタブレットを見せる。

タブレットにはフォスター博士の限界突破理論が映されていた。

レティシアとエミールは一読する。


警戒していたエミールが感嘆する。

「こんな事が僕に…

 しかし、これは貴様らにとって機密事項なのでは?」

キースは静かに頷く。

「あぁ、その通りだ。

 レイ、外は大丈夫か?」

レイが外の様子を確認する。

「あぁ、OKだ。

 まっ、今こんな所をうろつく暇人はいないだろ。」

レイの笑顔を見て、キースは続ける。

「俺たちはミハエルと協力したいんだ。」

レティシアもエミールも言葉を無くす。


キースは驚く二人に付け加える。

「ここまで何度もミハエルの戦いを見てきた。

 アイツは戦争を望んでない。

 …そう考えているんじゃないか?

 限界突破するほどミハエルのことを想ってる君らなら、分かるだろ。」

キースの言葉にレティシアは呟く。

「そうだね…確かにアイツは一刻も早くこのバカげた戦争を終結させたい一心だ。」

キースは更に表情を和らげる。

「やっぱり、アイツは俺たちと同じ想いなんだな。」

落ち着いたエミールが続ける。

「中佐はお優しい方だ。

 味方のみならず、敵の損害も懸念される。

 軍人でありながら敵の事を気遣われる……僕はそんな中佐を尊敬している。」


キースは頷く。

「同感だ。軍人である以上戦う必要はある。

 でも、誰だって傷つくのも傷つけたくもないはずなんだ。

 それでな……」

キースは表情に真剣味を加える。

「俺たちと君たちで――この戦場の被害をコントロールできないかと思うんだ。」


レティシアが反応する。

「ははーん。

 あの時の…アタシらがヴァレン峠でしてやられた妙な共闘だね。」

キースは驚く。

「ホントに察しが良いな!

 俺たちなら、あの時みたいに共闘して…

 戦闘を最小被害で終わらせられるんじゃないかと思うんだ。」

レティシアはやや挑発的に言う。

「アンタの気持ちは分かったよ。

 ミハエル並に理想が先行してて笑っちゃうね。

 でもね……今ウチらを仕切ってるクラウセンって奴…

 アイツはアンタらの思い通りにならないよ。」

キースはレティシアを見る。

「分かってる。

 でも、その前に君たちが俺たちと対等に渡り合える実力が必要だと思うんだ。」

エミールが反応する。

「確かに、先の戦闘では遅れを取った。

 しかし!それは性能差だ!」


キースは頷く。

「そうだ。アスカロンで俺たちが新型の君たちに負けたように…

 君たちは新型のエクスカリバーで俺たちに負けた。

 …つまり、お互い同性能ならーー」

「力は均衡…

 思うように戦果を出せない司令部は、エース対決より他に充てさせる。

 そして、パンピーども相手に無双して不殺しまくるって訳だ。」

レティシアの鋭い切り込みに、キースは一瞬固まる。


レティシアは固まるキースを他所に続ける。

「アンタの理想は大層なもんだ。

 それで、アタシたちにくれんの?

 …その新型エクスカリバーっての?」


キースは迷わず頷く。

「あぁ。そのつもりだ。

 ホントに話が早くて助かるな。」


キースがあっけらかんと爆弾発言するので、レティシアも思わず口が半開きになる。

「ア、アンタ本気なの?」

キースは変わらず真剣だ。

「あぁ。いま戦況を俺たちの理想にするには、それが一番早いと思う。」

レイが思わず呟く。

「な。やっぱそー言うリアクションになるよな。

 コイツ頭のネジ外れてんじゃないかと思うけど……本気なんだ。

 信じてやってくれ。」


レティシアとエミールは俯き考える。

「確かに、中佐も同じ事を考えるかも知れない…」

「だね、ミハエルとアンタはそっくりだ。

 いいよ。信じようじゃないか。」



ーーキースはレティシア達の脱走計画を説明する。



「随分と強引なやり口だね。」

レティシアは説明にケチをつける。

「貴様ら、騙して……いる訳でもないか。

 ヴァルター中尉。彼らもコレが限界なんでしょう。」

エミールはキースたちを察して言う。

レイが頷く。

「あぁ。なんせこの計画、今さっき考えた様なもんだから。」

「あはははは!思い付きかい!」

レティシアが思わず笑う。


しかし、キースは真面目に言う。

「でも、思いつきこそ、思いがけないとも言える。

 幸いこの拠点は建設中だ。隙はいくらでもある。

 ……危険な作戦だが、よろしく頼む。」

レティシアはキースの目を見る。

「ホントのアイツにそっくりだね。

 やってやるさ。アイツの為にも……」

エミールも言う。

「その想い……必ず中佐にお届けしよう。」


キース達は固く握手をする。


ふと、レティシアが言う。

「そう言えば、ヴァレン峠のドローンの娘。

 アタシたちの頭にも伝わってきた歌声…

 あれが、クラウセンの兵に勝つ突破口かもね。」

キースはハッとして頷く。

「なるほど。彼らも感情が無いわけない。

 ありがとう、参考になった。」


レイが頭を掻きながら言う。

「そんじゃ、やりますか。

 壮大な思いつき脱出劇を。」


キースは、いよいよミハエルと想いを交わす決意をする。

しかし、その代弁者を果たして無事送り出す事が出来るだろうか。


レティシアとエミールの決死の脱出が始まろうとしている。

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