あの子のこと
放課後になり、家族でも友人でもない、あの子の家にたどり着きチャイムを押す。
インターフォンごしに僕を招く声を聞き、家の中に入っていく。鍵は開けておいてくれたらしい。広い家の、薄暗い廊下を歩くとギシギシと床がきしんだ。
一室のドアを開けると、小学生の女子が椅子にちょこんと座っている。
その目には怯えも不信もない。
そのまま僕は、肩が触れあうくらいの距離に立ち彼女を見下ろした。
「さあ、はじめようか」
「わたし…… 自信、ないです。こんな…… はじめての、」
始めは順調だった。彼女は淡々と受け入れてくれて、僕と言葉を交わしながらも細くて長い棒と格闘しつつ、最後まで至れると確信していた。
「あぁぁぁぁっ!」
でも途中で彼女が暴れだした。
紙を引き裂き、ランドセルの中身をぶちまけ、部屋のぬいぐるみをベッドへ、壁へ、あらゆる所へ投げつけた。
「~ちゃん」
僕は彼女を柔らかく抱きしめる。ほんの少し女性の体となり始めた、華奢で無垢な体。
彼女の呼吸が次第にゆっくりと落ち着いてきた頃、涙で目を赤くした彼女は口を開いた。
「ごめんなさい……」
「気にしなくていいよ。続き、やってみようか」
そうして彼女はやっと、最後まで至った。