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帰還

 ましゅ丸たちと別れ、村に帰る途中。

 森に入ってすぐの辺りでアーリオ(アーシェの父)たち捜索隊とも合流することができた。


「アーーーシェーーー!」


 アーリオは私たちに気づくやいなや、大声で叫びながら全力で走って来きた。

 一方、娘のアーシェも父の姿をみつけると一目散に駆け出す。


「パパァァアアア!」

「アーシェ! 生きていてよかった!」


 走りながら泣き出したアーシェを、アーリオがギュッと力強く抱きしめる。


「パパ、苦しいよぉ」


 そう言われても黙って娘を抱きしめる父の姿には、もう二度と離すまいという強い意志が感じられた。

 彼の目の端に光るものが見えた気がした


 私も、自分が迷子になったときのことを再び思い出す。


(また会えて本当に良かったね……!)


 ◇


「本当に心配したんだぞ。

 怪我はないか? どこか痛い所はないか?」


 抱きしめていた手を一旦離し、今度は頬をペタペタと触る。

 心配でたまらないといった様子で、何度も確認をする父。


 だが、アーシェは服は汚れてしまっているものの、怪我などは一切ない。念の為アイカが治癒魔法をかけたからだ。


「パパ、平気だよ。妖精さまとお姉ちゃんと、あと、せいじゅーさまが助けてくれたの!」

「ん……? いま、聖獣様と言ったか?」


 アーリオは、娘の口から出た"聖獣様"という言葉に驚く。


「え、うん。白くて、おっきくて、あったかかったよ!」

「白くて大きい……まさか。 アーシェ、おでこに模様がなかったか?」

「うんあった! あかいの!」

「間違いない……本当に聖獣様だ……!」


 アーリオに遅れて追いついてきた捜索隊の皆が、聖獣様という単語を聞いて驚きの声をあげる。


「本物なのか?」

「いや、今まで見たことのある者はいないと言うし……」

「盟約って、おとぎ話じゃなかったのか」


 村人たちの反応は様々だったが、その顔を見ると半信半疑といった様子だった。それを聞いたアイカが「妖精は信じてるのに聖獣は信じてないってどういうことですか!?」と騒ぎ出しそうになったので、素早く掴んで取り押さえておく。

「私はあんなにひどい目にあったのに!」と抑えた口の中でモゴモゴと言っている。


(村に来てすぐに揉みくちゃにされたこと、まだ根に持ってたんだね)


 抜け出そうともがくアイカを抑える私を背景に、アーリオが捜索隊の面々に「娘から聞いた特徴からすると本物だろう」と説明をしていた。


「あとね。お姉ちゃんがね、ましゅ丸って呼んでた!」


 それを聞いた捜索隊の面々が騒然となる。


「なんだと!? 聖獣様に名付けなんて……! 機嫌を損ねたら村が大変なことになるぞ!」

「大丈夫だよ。ましゅ丸嬉しそうに返事してたし! キュイーって可愛く鳴くんだよ!」


 アーシェがましゅ丸のマネをしながら説明する。


「そうか良かった……」

「聖獣様が心をお許しになっているということか」


 名付けに対して答えることで一種の主従関係のようなものが成立するのか、ましゅ丸が返事をしたことをアーシェが説明すると一同は安堵した。


「それってつまり村の初代と同じってことか?」

「いや、名付けを許すということは、自分よりも上位と認めたということのはずだ。初代も流石にそこまでは……」

「それじゃ初代以上ってことなのか?」

「ああ、そうだ。なるほど、昨日の収穫の多さにも納得だ」

「これで村も安泰だ……! 村長に報告しなければ!」


 こうして捜索隊の話しも一段落したところで、一行は村への帰路についた。


 ◇


 村で一番森の近くに位置する風車小屋のところで、シェリーナ(アーシェの母)や村長が皆の到着を待っていた。


「ママ!」


 父と手をつないで歩いていたアーシェは、母親の姿を見つけると父の手を離し勢いよく走り出した。


「アーシェ! どこにいってたの!? 心配したんだから!!!」


 母親もそう言いながら駆け寄り膝をついて、アーシェをギュッと抱きしめる。


「私の一番……失う……かもって……」


 捜索に出る前から抑えていたのであろう感情が溢れ出し、母親の目からぽろぽろと大きい雨粒のような涙が落ちる。


「ママ……ごめんなさい……!」

「お願い……こんな……二度と……しないで」

「う……んっ……!」


 アーシェは母の言葉に、涙をながしつつも力強く答えた。


「アーシェ、おかえり。無事で本当に良かった」


 そう言って父が二人を優しく抱きしめた。

 家族の愛が痛いほど伝わってくる光景を、私は涙がこみ上げてくるのを感じながら見守っていた。


 ◇


 それから私たちは村長に食事を放り出して行ってしまったことの謝罪をした。その際に、捜索の魔法や私の身体能力についても説明を求められたのだが……。


「全て私の力です。村に危険はないので安心してください」


(アイカがそう言うと皆あっさりと納得しちゃった。

 詳しい説明は全然していないのに)


 そして、私がクラウチング猛ダッシュでえぐってしまった地面を直す。もちろんやるのはアイカの魔法を使ってなのだが、そのついでに地面を舗装すると、村人が非常に驚いていた。

 特に村長は、普段は歳のせいで下がっているまぶたを力強く押上げ、目を大きく見開いて驚愕していた。その後、目涙を流しそうなほど大げさに感謝していたのがとても印象的だった。


(そのうちアイカの彫像でも作り始めそうだね)



 そうして、込み入ったことが終わって落ち着いた頃。


「妖精さま! お姉ちゃん! 一緒にご飯食べよう!」

「アーシェ、しっかりお礼と言わないと伝わらないだろう」

「娘がご迷惑をおかけしました。よろしければ今夜の夕飯でも」

「今日は娘が世話になった。ぜひお礼をさせてくれ!」


 そう言ってアーシェ一家が今日の夕飯のお誘いに来た。


「アイカ、どうする?」

〈私は美味しいご飯なら何でも食べたいです!〉

「決まりね!」


「それじゃあ、お言葉に甘えて。よろしくお願いします」

「やったー!!! お姉ちゃんとおっしょくじー!」


 私の言葉に、アーシェが飛び跳ねて喜んだ。

 そして、私の足元に抱きついた。


「ママのお料理ね、すっっっごく美味しいんだよ!」


 私は膝を折ってアーシェと目線を合わせて言う。


「そうなの!? すごく楽しみ!」


 そう言いながら、アーシェの頭を優しくなでた。


(なんかすごく気に入られちゃったみたい)


 そうしていると、娘の言葉を聞いた父が力強く肯定した。


「ああ、母さんの料理は世界一だよな!」

「世界一だなんてそんな……! 大したものはつくれませんよ」


 シェリーナさんは照れて否定してるけど、尻尾が嬉しそうにブンブン振られちゃってるよ。


(獣人って、尻尾と耳に感情が全部でちゃうんだね。みんなそうなのかな?)


 そんな3人のやり取りに、家庭の暖かさを感じて一緒に食事をするのが楽しみになってくる。



 こうして、アーシェは無事に家族の元へと戻ることができたのだった。

次回、食事。


**************************


読んで下さってありがとうございます!


先日の活動報告で申し上げていた件について

プロの編集者様への添削依頼用の原稿ですが、無事に提出できました!

応援ありがとうございました!!!

詳しくは本日の活動報告にて!


さて……

村まで帰ってきました!

獣人たちは感情が耳とか尻尾で丸わかりなので

色々と気楽に接することができて自然体でいる遥香です。


そして、実はそろそろ最初の村でのお話も残りわずかとなってきております!

これからだんだん旅っぽくなっていきますので、お楽しみに!



もし『二人の旅が楽しみ!』『どんなことが起きるのかワクワクする!』と

思って頂けたら嬉しいです! もし、よろしければ小説評価☆☆☆☆☆や感想でご意見で聞かせてください!

ブックマークもしてくださってありがとうございます!

続きを書く原動力になっております!!!

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