プロローグ
「この魔道石を入れれば、完成じゃ」
ボルトン博士の手によって、俺は目を覚ました。
人類史上初めて「心」を与えられた自律型ロボット――それが俺、イリスだ。
見た目は18歳の人間そのもの。
生きるための最低限の知識はあらかじめ与えられていたが、
人間と違うのは、老いることのない体と、
人間を容易く壊してしまうほどの圧倒的な力だけだった。
博士の研究は、多くの人々に希望と喜びをもたらしたはずだった。
――だが、その平穏も長くは続かなかった。
【大魔法対戦】――世界を巻き込む大戦争の開幕。
激化する戦火は、人間の欲望をどこまでも肥大化させた。
言葉巧みに俺を悪用し、その圧倒的な力を**『正しくない方向』**へと解き放った者たち。
その結果――
俺は、奪ってはならないものを、この両手で奪った。
血に染まった自分の手を見つめながら、俺は答えの返ってこない疑問を投げかける。
「……博士。人間というのは、これほどまでに恐ろしく、醜い生き物なのですか」
息絶える間際、冷たくなっていくボルトン博士は、俺を責めることなく最後の言葉を遺した。
『イリスよ……お前が、ロボットと人類の架け橋となるのじゃ。そして――』
それが、博士の最期の言葉となった。
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