失踪するイモムシさん
今日のイモムシさんは何かとてもぐったりしています。
昨日、私がふきだまりに行っている間に、きっと大変な思いをしたに違いないです。
「イモムシさん、助けてあげます!」
回復魔法をイモムシさんにかけてあげました。
そうしたら、イモムシさんはのたうちながら、絶叫しました。
「ピギャ―――!」
「イモムシさん!今、助けてあげます!」
今度は違う系統の回復魔法をかけてあげました。
「ピギャピギャー!!」
「イモムシさーん!」
こんなことが5回ほど繰り返された後に、イモムシさんは窓へと猛ダッシュして、窓を突き破って、どこかに行ってしまいました。
「イモムシさん!お行儀悪いことしちゃ駄目でしょ!あれ、いない……」
私が窓の外を見ていると、扉が開く音がしました。
そこにはレイエさんがいました。目の下にはどす黒いクマがあって、顔になんかヒビ入っているみたいです。
??
ヒビ?
レイエさんは力のない声で、
「メリッサ嬢。俺は、……実はイモムシの友達なんです。イモムシに魔法をかけちゃいけませんよ。あいつは……魔法をかけられるのが、嫌いなんですから」
そうなんですか。
知らなかったです。
「いいですか、とりあえず……」
レイエさんは魔法で窓を修復してから、
「とりあえず……、イモムシに魔法はやめろ」
わかったです。
「あ、ですが、メリッサ嬢。イモムシは魔石が好きですよ。懸賞で当たっていませんか?」
それはおちん◯さんへのプレゼントです。
だから、イモムシさんにはあげられません。
「そんな嫌そうな顔するなよ。持ってんな」
持ってますよ。
「ちょっとだけでもイモムシにくれたら……、えっと……お菓子今度持ってきてあげますよ。イモムシは俺に必ず、魔石もらったって報告しますよ」
駄目なの!
「意外とケチだな」
レイエさんはそう言って、力のない目で部屋を後にしました。
数分後に、イモムシさんが戻ってきたので、急いでポシェットに入れました。
いつもこのイモムシさんはぐったりとしています。前世で悪いことをしたのかもしれません。
「イモムシさんは前世で悪行をしたので、元気がなくなったんだと思います。このままだと、ギャンブルで借金まみれになったレイエさんになってしまいますよ!」
「ピギャ!?」
「ギャンブルの人は嘘つきなんですよ!だから、私もレイエさんに本当のこと言わなかったの!」
「ピギャピギャ!」なんか怒ってるような声を上げています。
私は隠していた懸賞で当てた魔石を取り出しました。本当に小さい欠片ばかりで、お店では取り扱えないくらいの粗悪品なのです。
「おちん◯さんだけにあげるのは不公平なので、ちょっとあげるね!えっと、どれにしようかな」
「キャッキャ!」イモムシさんが嬉しそうに叫んでいます。
魔石はピンクや赤とか色とりどりだけれど、すごく真っ黒い魔石があります。
「これはおちん◯さんっぽくないからいらない!イモムシさんにあげるね!」
私はイモムシさんに小さいどす黒い魔石をあげると、すぐに食べてしまいました。
「黒いのが好きなんですか?」
「キュキュ!」
イモムシサンが頷いたので、黒い魔石を皆あげました。でも、ちょっとしかないけど。
夕方になったら、王様がお仕事から戻ってきたので、手紙を渡しました。
王様はそれを読みます。
「イモムシさんのお給料は黒くてばっちい魔石にしてください……か。メリッサ、イモムシは給料なくて大丈夫だ。あいつはイモムシだから、そういう契約はないんだ」
あー、残念。
王様が、
「メリッサ。俺は来週から、大陸会議に行くからしっかり留守番頼んだぞ!」
私は頷きました。
大陸会議は数年に一度、大陸の王様たちが集まって、色々な話し合いをするんです。
集まる場所は持ち回り制で、毎回、違う国が選ばれます。
王様は私が作ったテントウムシさん護符をネックレスにして、お洋服の下につけています。
「この護符も会議にちゃんと持っていくからな。お土産待ってろよ」
私は頷きました。
お土産楽しみです!




