11話 呪い屋ギネヴィア
めちゃくちゃ休んですみません!
どれだけ休んでも更新自体はしますので!
更新されなかったら先でめちゃくちゃ悩んでるんだなーって思ってください!
私は夢での出来事をケイに語った。
電車にいつの間にか乗っていてアーサー王の容姿になったカイロスと話をしたこと、そしてカイロスに魔法をかけてもらったお陰でマーリンの所までマーリンの所まで辿りつけたことを話した。
「マーリンに会ったのですか!?」
「うん、そうなの。アーサー王伝説の原作者だって言ってたよ。ビックリしたなぁ」
「マーリンがアーサー王伝説の原作者?
いや、ですが……貴方を疑う訳ではないのですが、本当なのでしょうか」
ケイの言うこともごもっともだ。
マーリンの言うことが事実なら、彼は自分を創作物に登場させたことになる。
そんなことをする人はあまりいないと思うし、アーサー王伝説を最初に書いたのがマーリンなら何故あっちの世界にもアーサー王伝説があるのかという話になるし。
ん?なんかややこしいな。
そうなのかーってぼんやり受け入れたけれど、やっぱちょっと変かもしれない。
「それもそうですが、アーサー王が太陽神によって作られたというのがどうにも……アーサー王は聖剣によって全く老いなかったとはいえ、人間であったはずです。
その話では明らかに突然アーサー王が連れてこられた風なので赤ん坊だった可能性もありますが、アーサーは私の家に来た頃から既に赤ん坊でした。
そこがイマイチその、時間が経っていないような気がするというか……何か違和感を覚えるのです。
それに、本当にマーリンが言ったのなら合っている可能性は高いでしょうが、これがマーリンに見せかけた誰かの犯行だったとしたら我々を欺こうとしていることになります」
「わ、そういう可能性もあるのか。
うーん……でも、嘘を言っている様には見えなかったよ。それにカイロスが連れてってくれたし、マーリンじゃないっていうのは違うと思いたいけれど」
「いや、そもそも地球のアーサー王伝説とこの世界のアーサー王伝説って同じなのかな?」
「と、言いますと?」
アーサー王伝説ってなんというか、色々な人が書いてるんでしょう?
元々はマーリンの書いた話が元だったけど、何らかの理由で地球にアーサー王伝説が普及して、めちゃくちゃ流行ったとか、あるかもしれない。
「なるほど、それなら確かに辻褄が合いますね」
「まあアーサー王の生まれた時期とかは分かんないけど、もしかしたらまたマーリンに聞けるかもしれないよ」
「……私はマーリンとはいえ、いやマーリンだからこそあまり迂闊に男の居城になど行って欲しくないのですが」
「そうなの?正直女の人を取って食うようには見えなかったから、大丈夫だと思うよ?」
「いいえ、あの男はここぞと言う時にサラッと取っていく男です、サラッと!!私には分かります」
「そ、そう……」
サラッと取っていくのかは分からないけれど、本当かどうか分からないってことは頭に留めておいた方がいいのかも。選択肢を入れておくだけでも違うし。
「ところでやっぱり周囲の見回りとかした方がいいと思うんだ。このままだとパンも尽きるし」
「ええ、賛成です。近くの森に野生動物や魔物がいるかも知れませんからね。安全の為にも一度見てみるのもいいかと」
「それと街にも行かないと。同じ日本の転生……転移……同じ日本人がいるか探したいな!」
あ、まだまだ弱いからレベルも上げたい。
やることが多いけどがんばろう!
「という訳で森に来たよ」
「誰に話しているんですか?」
「いや、なんかそういう雰囲気で」
生い茂った深い緑の木々とどこまでも広がる青い空。森だ。森だね。それ以外形容しがたいくらい森だった。
そんな穏やかな空気の中、謎の物体が突如として探検隊に襲いかかる……!!
いや、どんなノリ?もしかして私、ちょっと浮かれてるのかな?
「イノシシですね。私の後ろに!」
「うん、よろしく」
イノシシだったのか。確かによく見るとイノシシだ。茶色い物体が突然やってきた様にしか見えなかったな。視力の差だろうか?それとも単純に戦闘経験の差?
そうこうしている間に前に立つケイ卿にイノシシが飛びかかる。
「セイッ!!」
ゴン!!!
素手で殴りかかった!?拳骨!?
まさか素手で殺られるとは思わなかっただろう。イノシシの白目を向いて倒れた様を見て絶対拳骨されたくないなと思った。
「ご無事ですか?」
「うん、無事だよ」
イノシシ絶対これ脳震盪起こしてるよねとは思いつつ久しぶりのお肉に浮き立つ。
ここのところパンばかりだったからちょっとお肉が恋しかったのだ。
ヒョイパクで一口二口で終わるんだもの、お肉バンザイである。ガブリと齧って骨をしゃぶりたい。鳥肉……鳥肉を食べたい。軟骨!!軟骨!!!!
「昼飯にしようこれ!いややっぱり朝飯にしようこれ!」
「確かにパンでは味気ない。肉を食べましょう」
ケイも賛成のようだ。
当たり前である、だって肉だ。肉は万物の……万物の何かは分からないけれど肉は肉になるんだ!であるからして肉!!!肉!!!!
「そして出来たのがこちらの焦げ焦げのお肉です」
「生焼けかどうかが分からないのでよく焼きましたが、少々焼きすぎたようですね」
「硬〜い、苦〜い、なんか熱〜い……」
よくよく考えてみたら私焼き鳥苦手なんだよね。焦げやすくて焼き加減全然分からないから。現代人故とか関係ない。
茹でる方がまだ分かりやすいというか、適当に茹でておけば安全と思えるというか。
メイドさんを召喚したい。
今すぐじゃなくていいけど広すぎる家を掃除ができる料理上手なメイドさん或いは執事さんが欲しい。
「クロノスいる?」
「おう」
ふよふよ〜っと姿を表したクロノスはなんだかいつもより……なんて言ったらいいんだろう。
厳つい?ラフ?
とにかく自然体のような気がした。
「あれ?化粧変えた?」
「化粧なんか元からつけてねぇよ。呪い屋に押し売りされてたモンの呪いが解けて自然体に戻っただけだろ」
「呪い屋……どこかで聞き覚えがあるような」
呪い屋とはまた随分と物騒な商売である。
でも儲かりそう。貴族主義には人を貶めたい人が一定数いる偏見がある。
「キャッチコピーは『貴方の人生呪います!』かな?」
「いや顧客を呪ってどうすんだよ。占い師のキャッチコピーだろそれは」
確かに。
「悩んでたとこに押し売りされてもうずっとあのままかと思ってたから解けてよかったわ」
「悩んでたって何に?」
「あー、俺がもっと態度よかったら今やれることあったのかとか……些細なことだよ」
なるほど、ヤンキー時代を振り返っているコンビニのバイト(40)の悩みって感じだ。なんとなくそんな感じがする。
「安い賃金で無茶振りされてヤンキーになんてならなきゃよかったみたいな感じ?」
「そんな感じ」
「ほんとにそんな感じなんだ……ちょっとは怒られるかと思ったのに」
「昔事実で怒ったら拳骨落とされたから」
「誰に?」
「アマ…………なんでもない」
アマ……?女?
まあ本人がなんでもないって言ってるならいいか。
「あの、聞きたいのだが」
「あ?」
ケイはクロノスに質問があるらしい。
というかクロノス、ヤンキー座りで後ろを向くと完全にヤンキーだな。
「呪い屋とは……呪い屋ギネヴィアのことでは?」
「呪い屋ギネヴィア?」
アーサー王伝説のギネヴィアなら知っているが、そんな王女様と呪い屋という物騒な単語になんの関係があるのだろうか?
まさかギネヴィアが呪い屋なんてことはないよね?
昔どこかの小説で奥様は魔女なんてフレーズを聞いたことがあるが、そんなことがあるのだろうか。
「呪い屋ギネヴィアとは我々の時代にアーサー王を支持して政敵を呪い殺した魔女です。まあアーサーは彼女に会ったことはないのですが」
「なるほどな」
怖っ!!!ギネヴィアって言ったらアーサー王の奥さんとかランスロットとの禁断の恋とか恋じゃないとかそんな感じだよね!??あれっこの場合私との関係性はどうなるの!?どう表わすのが正解なの!?
クロノスは一呼吸置き、考える素振りをすると話し始めた。
「確かに呪い屋ギネヴィアって名乗っていた。多分同一人物だろ」
「私としては名を継いでいるのだと思ったのですが……」
「いや、あれは本人だ」
「何かそう言えるほどの根拠があるのですか?」
「『アーサー王復活』って書かれた紙が机に大量に貼ってあったし……」
「……それは完全に本人ですね」
血みどろなイメージだった呪い屋ギネヴィアが一気に現代のオタクみたいな感じになった。どっちかって言うと田舎に大量にある犬の絵とか宗教の格言みたいなアレか?
「呪い屋ギネヴィアはアーサー王に心酔し、アーサー王に求婚していた。どちらにしろ太陽神に身を捧げるアーサーは求婚を受けるつもりはないようだったが……今のリラをどう思っているのか分からないのがどうにも」
「アーサー王復活って書いてあるんならアーサー王って思ってるんじゃないの?」
「そうかも知れませんね……リラに執着を向ける可能性は高い。用心した方が良さそうです」
「ただあの頃はアーサー王が亡くなって数百年経ってたから、あの紙は多分祈りとか願いとかそういうもんだったんじゃねぇかな」
アニメで推しが死んだ後にサイボーグになって戻ってくることを願ったことがあるから気持ちは分かるかもしれない。推しは戻ってこなかったけど私はここにいるし。
あれ?何聞こうとしたんだっけ。




