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7.情報を求めて

私は急いで海斗の能力を確認した。


【名前:戒場カイバ 海斗カイト

Lv.2

HP77

MP61

力70

守89

速69

魔攻51

魔防85

運92


・経験値ブースト

・火耐性、水耐性、土耐性、風耐性、氷耐性、雷耐性、打撃耐性、毒耐性、麻痺耐性、眠り耐性

・女神の加護


確かにLv2って表記されて能力値も上がってる。

レベルアップの理由はあんまり思いたくないけど、一つだけ心当たりがある。


「ねぇ、海斗もしかしてレベルが上がったのってさっきの息子さんを気絶させたからじゃないかしら?」

「俺もそう思う。……であれば、これでやる事はわかったな」

「な、なによ?」

「片っ端から村人をぶん殴――――」

「はい却下、ダメでーす! 暴力反対!!」


やっぱり、そう言うと思った。そんな事したら私達が悪人に思われるわ。

それに、悪評が広まったりしたら、勇者達に私達の存在を知られるかもしれない。


「では、どうするんだ? 魔物も盗賊もいないんだぞ。勇者を倒すにはレベル上げは必要だ」

「そ、それはそうだけど……でも、そんな事してレベル上げなんて絶対にやらないで! 誰かを犠牲にして勇者を倒す事は違うと思う」

「甘い考えだな。……まぁ、いい、俺も村人を倒してまで上げるのは不本意だ」


確かに私は甘いかもしれない。

でも、こんな方法でレベルを上げるなんて間違ってるし、女神である以上やりたくない。


「とりあえず、今は情報が必要だし大きな街へ行きましょう。村よりも何かしらの装備はあるはずよ」

「ああ、わかった。……まぁレベルは何かしら方法を探そう。元よりそのつもりだったしな」


海斗は私を試したのか分からないけど、もし村人を使ってレベル上げを許可していたら、女神()に対して幻滅していたと思う。


私たちは大きな街を目指すため、村の出入り口である門の辺りに居たおじさんに道を尋ねた。


「あー……ここからだとコルマンドが一番近いんじゃないかなぁ」

「ありがとうございます。そのコルマンドってどの辺りにあるんですか?」

「場所で言うなら海を渡った先になるよ」

「う、海を渡るんですか!?」


となると港に移動してそこから船に乗らないと行けないし、航海したとしてもその街にたどり着くまでかなり時間がかかりそう。


「まぁ、今は勇者様達のおかげで海を渡る必要も無くなったし、便利な世の中になったなぁ」

「え? 海を渡る必要がない?」


また出た、勇者達の話。それに今回はコルマンドへ行くのに海を渡る必要も無いってどう言うこと?

不思議そうな顔をしているとおじさんが教えてくれた。


「ああ、魔法使い口木戸クチキド様によって魔法陣が各地に作られたじゃないか。それで大陸間や街への移動がずいぶん楽になった……って、この話は常識じゃないか、逆に知らない方が珍しいよ」


――――魔法陣が各地に作られた!?

そんなの初耳だわ。もしかして各地を旅している時に作ってたとか?

天界で常に勇者達の動きを見ていたわけじゃないから見逃してたのかしら。


「あのー……ちなみにここから一番近くの魔法陣はどこにありますか?」

「それなら村から真っ直ぐ行けばあるよ。少し遠いけど日が沈むまでには辿り着けるはずさ」

「あ、ありがとうございます」


私はぺこりとお礼をすると、海斗と一緒に村を出た。おじさんの話だと、ここからしばらく歩くことになる。

相変わらず周りは山と草原に囲まれている、本当にさっきまで居た村は片田舎といった所だろう。


魔法陣に着くまでしばらく掛かるし、海斗について気になる事があったので聞くことにした。


「ねぇ、レベル上げの事だけど、もしあの時私が村人を倒してレベルを上げるように言ったらどうしたの?」

「なぜそのような事を聞く」

「んーなんとなく?」


一緒に歩きつつ海斗は少し考えるように沈黙になる。

私は黙った海斗の顔を覗き込むと彼はゆっくり口を開けた。


「……仮にお前が村人でレベル上げをしろと言ったとしても俺はやらんな」


――――やっぱり私が思った通りね。海斗は私を試そうとしたんだわ。

人間を傷つけるなんて女神失格だから、そんなこと許可する訳ないのに。


「もう、私がそんな事言うわけないでしょ。女神なんだから、人間の味方に決まってるじゃなーい!」

「ああ、そうだな。もし村人を倒せと言ってきたら、お前が女神で無い事も確定する事になる」

「はい?」


うん? コイツ急に何言いだしてるの?

女神じゃない事が確定するってまだ私のこと疑ってたのかい。


「そうなれば、勇者を倒す前にお前を倒すところだった。だが、今回の一件で少しは女神と言う事を認めてやってもいい」


――――いや、怖っ!!

確かに初めての出会いの印象は良くなかったけど、場合によっては私を倒そうとしてたの!?


「ま、まぁこれで少しは私の事を信じてくれてもいいでしょ?」

「ああ」


確かにちょっと出会ってから女神っぽいところ見せれなかったし、私にも落ち度はあるわ。

でも信じてくれてるみたいだし、とりあえずよかった……かな?



私達はしばらく歩くと人集りが出来ているのを遠目で確認出来た。距離で言うとあと500mぐらいだろうか、あれが魔法陣で間違いない。


「あー……疲れた」

普段自分の足で長距離を歩く事などなかったため、私の足は棒のようになっていた。

そして、背中の羽が使えない事に腹立たしさを感じる。


魔法陣の近くまで来るとそこには『魔法陣 コルマンド行き』と書かれている看板が立てられていた。

六芒星のような紋章が描かれた全長10mほどの巨大な魔法陣は淡い光を放ち、人々はその中へ入り吸い込まれるように消えていく。


「ふーん、これが口木戸紗恵クチキド サエが作った魔法陣ね。みんな利用してるからたぶん罠とか無さそうに思えるけど、いざ入るとなるとドキドキするね」

「そうだな」


海斗は返事をすると一人で魔法事の中へ入っていった。

それを見て私も慌てて追いかける。


「ち、ちょっと! 少しくらい躊躇とかないのぉぉぉぉぉおお?」


話しながら魔法陣に吸い込まれたからだろうか、私の声は響きまるで体がクルクルと回る。

まるで何かに足を強制的に引っ張られている感覚のようだ。


気付いた時には目の前に大きな街の門が見えた――――ここがコルマンドでいいのかしら?

だが、状況整理の前にグラグラと平衡感覚を失う、魔法陣のせいで足元はおぼつかなかった。


「はぁはぁ……それにしても気持ち悪かったわ」

「そうか?」

一旦、膝に手をついて呼吸を整えた。

顔色の悪い私とは対照的に海斗はケロッとしている。


「ふぅー……少し落ち着いたし、とりあえず情報を集めましょう」


私たちは入口にいた門番みたいな人に話しかけた。とりあえずここがコルマンドでいいのか知りたいわね。


「あ、あのーここってコルマンドですか?」

「いや、ここはベルフェアと言う街だ、コルマンドの経由地点の街って言った方が分かりやすかな。ちなみにコルマンド行きの魔法陣は街の西側にあるよ」

「はぁーまた、魔法陣か……」

再び魔法陣に入らなければならないと思うと少し気が滅入る。


各地にあると言う魔法陣を実際に目で見てわかる。あれは旅の道中で作れる物ではない。

人間界に来てからどうも疑問点が多すぎるのだ。


「……ちなみに魔法陣はいつ頃完成したんですか?」

「えーと、確か勇者様達が魔王を倒してからだから……そっから口木戸(魔法使い)様が6年かけて各地を回ってるから――――全て完成したのは4年前って事になるな」


「そんな……嘘でしょ……」



――――そう、私が人間界に降り立つまでに、すでにこの世界は10年の年月が流れていたのだ。

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